「なぜ仲良し家族の3人が選ばれたのか?」ノック 終末の訪問者 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ仲良し家族の3人が選ばれたのか?
それが一番の疑問でした。
100分間、全く飽きずに、見て終える映画でした。
飽きないしラストがどうなることかと気になるしそれなりに面白い映画
でした。
【飽きないでそれなりに面白い】って凄いことです。
おまけにまるで疲れない、これも凄い(褒めてます)
しかしタイトルに書いた、なぜ彼ら3人のうちの一人が犠牲になれば、
ハルマゲドン(世界の終焉)が阻止できるのか?は、理解出来なかった。
ラストにも、なぜ?どうして?そんなに【簡単】と言うと語弊があるけれど、
疑問が消えなかった。要するに説得力が乏しい。
この映画の予告編とあらすじをザッと読むと、家族の3人のうちの1人が
犠牲者になり殉教者にならなければ地球は終末して人類は滅亡する・・・
つまりハルマゲドンを阻止するには生贄が必要なのです。
一人を選べと押し入ってきたリーダーの大男のレナード
(デイヴ・バウティスタ)は言います。
口調は紳士的ですが、体格とタトゥーが威圧的です。
山小屋の窓をハンマーで叩き壊しドアを破って現れる4人。
よく見るとレナード以外は非力な女2人ともう一人も弱そうな中年男。
だが、このシーンは怖かった。
そして次々と起こる事件(?)もゾッとした。
リーダーで教師を名乗るレナードは3人に決断を迫る。
翌朝には、殉教者を決めておけと、言う。
山小屋をノックする4人は多分「ヨハネの黙示録」の人々で、
キリスト教では、彼らは地上の人間を殺す権威を与えられている。
無宗教の私にとってハルマゲドンを防ぐために家族の一人を生贄に
差し出せ!!
なんて思想は非常識を通り越して一種の狂気だと思うけれど、
ハルマゲドンを信じる4人は【善行である】と信じている。
宗教では、その善行の対価として天国へ行ける・・・などと説くのですが、
この映画は天国へ行けるとは言わなくて、何十万人が救われると説く。
しかしそれがレナード、サブリナ、レドモンド、エイドリアンの
4人の訪問者の「死」では駄目で、
エリックとアンドリューと養女のウェンの仲良し《3人家族の内の一人》
でなければならないのか?
この違いを解らせてくれないのが、最大の欠点だと思います。
教師(レナード)に看護師(サブリナ)にコック(エイドリアン)に
ガス会社の社員(レドモンド)
【訪問者の4人】は40代前後のの平凡な人々。
何故彼ら彼女たちが選ばれたのかも、その描写はほしかった。
シャマラン監督の出演シーンを削っても、訪問者4人と、
エリックたち3人がなぜ特別に選ばれたのかは、知りたかった。
ちなみにシャマラン監督の登場シーンは、訪問者がTVを点けると写る
黄色いシャツ姿でコマーシャル番組ののホスト役の濃い系のイケ面です。
(オールドにも運転手役で出演していましたが、
(ヒッチコック監督よりもバレバレに出演してますね)
そしてエリックたちがためらってる内に実際に災厄が起こり、
レナードがテレビニュースを見せると
地震による津波、航空機の落下と爆発、疫病が・・・次々に起こる。
ゲイカップルのアンドリューは終末論を信じないが、
パートナーのエリックは徐々に終末論を信じ始めます。
もしかして自分が犠牲になれば【人類の終焉を救えるのではないか?】
涙を一杯に目に溜めたエリック。彼の揺れ動く心と葛藤が一番の見所でした。
この映画はサスペンスとあるが、一種の宗教関連のジャンルでは
ないだろうか!
人気のあるM・ナイト・シャマラン監督の作品。
なんだかんだ言いつつもツッコミ所満載でいつも楽しみです。
琥珀糖さん
仕事で中々コメントの返信が出来ず申し訳ありません。丁寧なご返信をありがとうございます。
そうなんですね、映画館に行ける日は僕も減っていますが(事情は違うかもしれませんが、、)琥珀糖さんのレビューは臨場感がありますので劇場でご覧になったのではという印象を皆さん持たれると思います。
鑑賞してから自分の中でこの作品は不完全燃焼で、でもどこを特に理解できていないのかを悩んでいましたが、レビューを読ませていただき腑に落ちたような気持ちです。そしてシャマラン監督作品は確かにいつも楽しいですよね。
共感を有り難うございます。
琥珀糖さんがおっしゃるように、この作品はサスペンスじゃなくて、宗教映画だったと考えるのも大いに有りだと思いました。
納得して進んで命を捧げるのではなく、納得できなくとも理解できなくとも死ぬと言うのが、ひょっとしたら宗教的には貴重なのかも知れませんね。それを神が望まれているなら……
それから、妥協ではなく「飽きないでそれなりに面白い」映画こそが、良作の大半を占めているのだと感じました。確かにそうです。