「ノック 終末の訪問者」ノック 終末の訪問者 tyshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ノック 終末の訪問者
ノック 終末の訪問者
面白かった。1番感じたのは、短いということ。実際、100分と普段の映画より20分ほど短いのだが、それ以上に40分くらいの短編のように感じた。それもそのはず、この映画最初の展開からあまり広がらない。ロケーションも一緒。壮大にもならないし、移動もしない。
だから気分的にはワンシチュエーションで起きる短編を見ている気分になる。逆に100分もあったことがびっくりだ。全く退屈しなかったし、最初に「主人公たち」と「黙示録の騎士たち」というわかりやすい対立と、どっちが正しいんだ?という問題提起があるおかげで、ずっとそれについて考えて、どの行為、現象にもそれを結びつけて考えるので、全く飽きがこない。そのため、このワンシチュエーションの映画で観客をとどめておくことができるのだろう。また、バッタのメタファーや、黙示録のくだりなどは面白かった。やりすぎると良くないけど、やりすぎない感じだったので好き。
「人間の生の感情が見えたか?」
それに関してはあまりわからなかった。でも、回想がところどころ入ることによって、2人の感情に入り込めたし、だからこそ、縄を解いて銃を手に入れた時の「やってやれ!」的な感情を抱くことができた。2人に感情移入できた。最終的に「ゲイの主人公たち」と「ゲイを軽蔑する90億人」という対立になったのは面白かった。監督はこれを伝えたかったのだと思う。
「謎があったか?」
終始謎だらけ。最初に大きな謎を提起してそれをだんだん解き明かしつつ、それが真実なのか嘘なのかを観客に問いかけていた。謎という分野においてはとても綺麗で美しい謎だったと思う。私はスクリーンの中のその謎にずっと惹きつけられてしまった。
とにかく、批判するものではない。面白かった。特に好きで永遠推せるというものではないが、ワンシチュエーションと同じロケーションで100分自力で持たせてるのはどう考えても他の監督ができる技じゃない。
ちょっと今後の創作のヒントになりそうな映画だった。