「なぜゲイカップルだったのか」ノック 終末の訪問者 おもちさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜゲイカップルだったのか
今までのシャマラン作品と比べると、派手さは無いけど面白く鑑賞は出来ました。
その要因の一つは主人公達の関係性。人類終末の選択を迫られるのがゲイカップルなのはどうなのって意見をチラホラ見たけど、自分は逆の意見です。
これが男女カップルとその子供だったらより凡庸な作品になっていたかなと思います。
彼らは同性愛者だって理由でバーで暴力を振るわれるし、結ばれても家族に祝福して貰えない。アジア人の子供を養子にしていたのは、正規のルートでは同性愛者のカップルが養子を迎える事が困難だからじゃないでしょうか(コーディネーターに関係性を偽っていたし)。
子供ちゃんの唇に傷があるのは口唇裂という先天性異常の跡で、受け入れられない家族による虐待や捨て子が問題となることもあるので、彼女が養子に出された事と関係があるのかなと思います。
つまり男女のカップルが結ばれて子供を育むのに比べて、主人公達が〝家族であり続ける事“には何重にも高いハードルが課せられてるんですよね。
そんな困難を乗り越えて紡いだ家族だからこそ、世界と引き換えに誰か一人を犠牲にしなければならないって突きつけられる理不尽と、主人公達がそこでどんな決断を下すのかが、よりドラマチックになるのかなと思いました。
現実社会でも、〝ゲイは世界を滅ぼす“って偏見を元にしたヘイトクライムは海外で起こっているし、日本でも伝統的な家族観を破壊するって理由で結婚の権利すら認めてもらえない現状もあったりして、、、
「でも本当にそうなの?彼らは世界を破壊する様な選択をする人達なの?」って疑問に対する監督の一つの答えが、映画のラスト主人公達の選択に込められているのかな、とも思いました。