「言いたいことはだいたいわかるが」ノック 終末の訪問者 ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
言いたいことはだいたいわかるが
※自分は禅宗です
ヨハネの黙示録
(すごくかいつまんで言うと)
キリスト教の聖書の中でも異色の
将来に関する予言を記した「黙示文学」
キリストの再臨や災厄
サタンの出現や
最後の審判・天国と地獄
などを記したもので
圧政に苦しむ民衆を
励ますために書かれたなどと
言われているが
現在においても信仰において
用いられている
何をいきなり言い出すと
思うかもしれませんがこの映画
感想としては
言いたいことはわかりますが
日本人の宗教観からはなかなか
理解しづらい映画だと思いました
だから見終わった後にちょっと
調べてわかった感じです
主人公の
エリックとアンドリューは
同性愛カップルで同居しており
家族すらも偏見にあふれ
先天奇形(口唇口蓋裂)のあった
アジア系の乳児ウェンを引き取り
人目を逃れた山奥で暮らしていました
するとそこへ奇妙な武器を持った
男女がやってきて中へ入れろと
迫ってきます
わけがわからんので入れませんが
押し入るように入ってきて
エリックもアンドリューも
拘束されてしまいます
エリックはもみ合ったときに
頭を打って意識が朦朧しています
すると一番大男のレナードは
3人から犠牲になる人間を選べ
そうしないと終末が始まって
何万人もの人が死ぬと言います
エリック達からすれば
ただでさえ人目を逃れてひっそり
暮らしていたところにようわからん
人間がやってきて犠牲になれです
まったく冗談じゃありませんが
「時間が来た」と言うと仲間の
ドタマをかち割って殺してしまいます
そしてテレビをつけると
台風で大災害が起こってますと
確かにやり始めます
それでも犠牲になれとか冗談じゃ
ないので逃げ出そうとしますが
それも許されず狂気の儀式は
続いていきます
どうも男女はイメージに浮かんだ
事が現実でも起こっており
全く知らない者同士集まって
導かれるようにエリック達の
元へやってきたとのこと
そして時間が来ると
コックをしているという
女性が今度はドタマを
かち割られテレビを付けると
今度は殺人ウイルス大流行
アンドリューは激高し
こんな事は許されない
全部トリックだデタラメだ
偶然だ陰謀論だと
確かにそうも言いたくなります
いよいよ来訪者もあと二人に
エリックとアンドリューは縛られた
ロープをほどき銃を持ってきて
形勢逆転かと思いきやテレビでは
世界中で飛行機が墜落
落雷で火事や大津波
すべてイメージに浮かんだ
ものだそうです
レナードはキャスターのセリフを
先読みするように読み上げます
しかし彼も時間が来ると
喉を自分で掻っ捌いて絶命
これもイメージの最後
だったというのでしょうか
するとだんだんエリックの
様子がおかしくなり
「イメージが見える」と
そこにはアンドリューと
成長したウェンが幸せそうに
歩いている映像
エリックは「僕を撃て」と
アンドリューに言います
もうどうにかわからなくなった
アンドリューは引き金を引きます
すると世界はだんだん元に
戻っていきます
アンドリューらの側は
いわゆるLGBTQといった
多様性を受け入れようとする価値観
考え方に基づいた現代的なもの
これに対し世界の終末がくるから
救うために犠牲になるものを選べ
という全く別の理屈がぶつかって来る
これは実際に政治運動やネット上で
起こっているある種のイデオロギーの
対立を揶揄しているんだろうと思います
QアノンとかBLMとかもそう
Covid-19の世界的パンデミックでも
更に加速したとこがあります
そういう現代的イデオロギーも
やり方がマズすぎて
最終的には誰の理解も得られずに
滅んでいきそうに感じます
そう考えるとキリスト教と
いうのはそういった教義を長年
培ってきたわけですからそんな
ものがあるのに何をご都合主義で
自分の好きなようにものを言ってるのか
という作り手のメッセージのような
ものを感じる部分がありました
いやある意味
今も昔も変わっていないじゃないか
ともとれます
だからエリックとアンドリュー
ウェンの三人の間にある
愛情は間違いなく「本物」であると
描写されているんだと思いました
シャマラン本人も
ちゃんと出てきたし
変な映画だけどなんか嫌いに
なりきれない作品だったかなぁ