「物理ハロー」ノック 終末の訪問者 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
物理ハロー
シャマラン監督の新作、アメリカでの評価はイマイチでしたが、観る前に変な先入観持ってもしょうがないと思い、あらすじの知識頼りに鑑賞。
謎が謎を呼ぶ、シャマランにしか出せない(原作はありますが)味が醸し出されていた作品でした。
ゲイのカップルと養子の娘の一家のもとに、職もバラバラな4人組の男女が訪れるという感じで始まりますが、平和的な交渉をするかと思いきや、早い段階で窓ガラスは割るわ、ドアはぶっ壊すわ、片方の父親をぶっ倒して脳震盪起こさせるわ、手首足首縛り上げるわで、とにかく本当に世界の終わりを防ぐための交渉する気あんのかな?と笑えました。その後もわりかし武器に頼っていくので、この4人を人類の明暗を分ける選択肢を迫る人物に選んだのはどうなのだろうと思わざるを得ませんでした。
多様性には配慮しつつも、それを全肯定する訳ではなく、黒人、シングルマザー、ゲイカップルというそれぞれをどう描くかはかなり徹底されていました。終盤にそれらの描き込みが繋がってくるのも良かったです。ゲイカップルだと子供は生まれない、そういう危惧を映画に込めていたのかなとも思いました。
正直、「オールド」みたいに展開がどんどん進んでいくものが好きな自分にとっては、退屈なシーンはかなり多かったです。基本的には主人公たちの家での会話劇がメインなので、テレビ越しでの映像の変化くらいしかド派手なものは無いので、期待してたものとは違うなーというのが第一印象でした。ただ、飛行機が落下していくシーンや津波が暴力の如く襲いかかってくるシーンはもっとメインで観たかったなと思えるくらいの迫力がありました。
仲間たちを裁きとして殺していく様子はむごいなーと思うと同時に、これって殺す意味はあるのだろうか?とモヤモヤしましたが、四騎士の黙示録を意味しているそうで、その知識は「七つの大罪」のスピンオフでやってんなーくらいの知識なのでよく分かりませんでした。シャマラン的にはこれがピッタリだったんだと思いますが、そのため終盤に進んでいくに連れて尻すぼみになっていた感じは否めませんでした。
「オールド」も終わり方には疑問を持ってしまったので、シャマラン作品の終わり方の風呂敷の雑な畳み方は今後の作品で改善されたらなと思います。こういう独自性を持つ監督はやはり貴重なので、これからも元気に映画を撮っていって欲しいです。
鑑賞日 4/7
鑑賞時間 11:30〜13:25
座席 G-3