劇場公開日 2023年5月26日

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「ク・ジャユン以上?」THE WITCH 魔女 増殖 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ク・ジャユン以上?

2023年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

配信で後追いして知った前作。ゴア表現たっぷりで、衣装ばかりか顔(メイク)までまさに血まみれな少女は、その表情から「あどけなさ」すら感じるのに「悪魔」という異名を持つほどの残忍さがギャップで、見応えのあるシリーズが始まったと続編を待って早「5年」が経ちました。
本作は前作のポストクレジットで触れられた「ある存在」について語られるストーリーであり、基本、前作は必修となります。(私も昨夜、Netflixで観直しての参戦です。)前作に続いてパク・フンジョンが監督・脚本ということで、世界観はちゃんと引き継がれています。ただ、そもそも設定としてはかなりぼんやり。本作を通じても説明らしいことは(未だ?)されないため、全体的にストーリー自体は小難しさがありません。実際、語られる「過去」はいわゆるエピソードなだけで、現在パートでも「展開」については殆ど説明台詞で語られるだけ。やはり、見どころはアクションシーンです。前作同様に三つ巴体制で一見複雑そうに感じますが、実はこれが巧いこと「レベルの違い」を表現するための構造にもなっています。
敢えて前作と比較した見方をしていくと、まず5年の歳月は大きいですね、、ク・ジャユン役のキム・ダミさんは実年齢28歳で正直「少女」感はありません。とは言え、前作の中盤以降にみせる(ク・ジャユンの)「豹変」こそがこのシリーズの見どころであり、このキャラクター設定ならば「見た目」も無理なく消化できる範囲だと思います。そもそも今作で「増殖」する同類たちは皆、なかなかの自信家揃いでその態度や発言は横柄で上から目線。何なら、自分よりレベルが高い相手に対して恐怖を見せるどころか、興味をもって挑んでいくところが痛快です。
それに対し、シン・シアさん演じる本作の主演「少女」は育ちが違うのか?未知だらけの世間に対する「無垢さ」を前面に出すことで、彼女が持っている本当のパワーとのギャップが「ク・ジャユン以上?」と感じさせるワクワク感があります。ただ、その強さ表現についても「新しい見せ方」にこだわるせいか?あまりフィジカルを使ったアクションがないところは残念。或いは、これも設定上、他の殺人マシーンとの育ちの違いなのか?何なら後半チラつかせる「感情」というものこそが、次作以降の対立構造をゆがめるカギになりそうで楽しみです。
まぁはっきりとジャンル映画ですし、ゴア表現(グロまではいきません)に対する好き嫌いはもとより、CG盛り沢山と言うことで、そもそも「興味」というハードルが高いことは理解します。それでも、ここまで振り切られると「荒唐無稽」さを鼻で笑って観ない方がむしろ勿体ないとすら思えます。まずは前作が配信で観やすい作品ですので、気になるようでしたら試しに如何でしょう。特に前作はどんでん返しもありますので、意外とハマれば今作も観たくなるかもしれませんよ。

TWDera