「粋な実写化 新たなXYZはバディの始まり」シティーハンター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
粋な実写化 新たなXYZはバディの始まり
眠らぬ街、新宿。
とある伝言板に依頼を書き込むと、その男は現れる。
美人がもっこり大好きな困ったスケベ。
が、依頼は必ずやり遂げる。時には我が身を犠牲にしてまで。
噂通りの超腕利き。男の名は…
冴羽獠。
またの名を、シティーハンター!
あの男が、今度は実写になって帰ってきた…!
『シティーハンター』の実写化と言えば、ジャッキー・チェン主演の珍作香港版やLOVEもっこりのフランス版があった。韓国ではドラマ化された事もあるらしい。
日本ではパラレルワールド的の『エンジェル・ハート』が実写ドラマ化された事はあったが、『シティーハンター』自体が実写映画化されるのは初めて。
満を持して。さあ、実写化の真打ちというプレッシャーの難依頼を遂行する事は出来たか…?
今年のNetflix配信の中ではと言うより、製作ニュースを聞いた時から楽しみにしていた。
その感想は…
まず、『シティーハンター』入門編としてとても見易い。
獠と香のバディのイメージだが、まだ香と組む前。彼女の兄・槇村とのバディ設定からスタート。
ある事件を追っていた槇村。が、何者かに殺される。「香を頼む」と獠に言い遺して…。
兄の仇を取りたい香は、“XYZ”。獠に依頼。
が、獠は拒否。相棒が殺されたというのに飲み屋やキャバクラなど夜の繁華街に入り浸り。
幻滅する香。さらには「帰れ」とまで。
繁華街の入り浸りは情報収集。ちゃんと亡き相棒を殺した奴を追っていた。
香に対して素っ気ない態度を取っていたのは…。言うまでもない。亡き相棒との約束。守る為。亡き相棒の妹を危険な目に遭わせたくない。
が、香の強い思いを知り、獠は依頼を引き受ける。
二人の初仕事。バディとなるまで。
「プランBで行く」「プランAもないでしょ!」という槇村との同じやり取りや、ボケ&ツッコミの絶妙な掛け合いからも垣間見える。香が例のハンマーを手に入れた経緯も。
ラストシーンのいよいよこれからバディとしての活躍スタート!…に掛かる名曲『Get Wild』が堪んねぇー!
巷を騒がす事件。
突然人が狂暴化し、身体能力が常人超えに。その直後、不審な死。
人気コスプレイヤーにもその傾向が見られ、その姉から依頼され、獠と槇村はこの事件を追っていた。
謎の薬。謎の組織。恐ろしい企み…。
…あれ? これって…?
昨年公開の『~天使の涙』と同じ“エンジェル・ダスト”と“ユニオン・テオーペ”。
アニメでは諸事情で未登場、昨年の映画で映像化初登場。原作でも最大の敵をしっかり据え、意気込みを感じる。
首領は獠の傭兵としての育ての親。が、本作では未登場で、それどころか獠はユニオン・テオーペを知らないような素振りだったが…?
美女警護、バディ誕生、陰謀…ストーリー展開も設定もシンプル。
その合間合間にもっこり挿入されるアクションとギャグ。漫画的と言うより、『シティーハンター』のツボを抑えている。
ローションマットに乗っての下品なアラジンやもっこりストリップショーや馬コスプレでカメコ撃退とか、アニメでもありそう。
銃弾を寸でで避けたり、投げたナイフを素手で捕らえたり、超人レベルのアクション。
でも、そんな荒唐無稽さも『シティーハンター』の魅力。
佐藤祐市監督の演出はとことんエンタメに徹し、リスペクトもっこりはフィリップ・ラショーに負けず劣らず。
『エンジェル・ハート』の上川隆也も評判良かったが、他に誰が冴羽獠という傑出したキャラを演じられるか…?
条件のハードルは高い。アクションが出来て、コメディも出来て、筋肉美や演技力があって…。
いた。
一見鈴木亮平は冴羽獠に似てない。
が、次第に冴羽獠にしか見えなくなってくる。
アクション。あの身体能力とキレ。
筋肉美は冴羽獠を演じる為に生まれてきたよう。
笑いのセンスもピカイチ。「○○ちゅわ~ん」など時々の声が神谷明そっくりで驚き!(尚神谷氏はニュースの声でSPゲスト出演)
ギャグとシリアスの演じ分けはさすが演技派!
男としてのカッコ良さ、冴羽獠としてのカッコ良さ、鈴木亮平としてのカッコ良さ。
実写化請負人と言えば山﨑賢人が筆頭だろうが、鈴木亮平も『変態仮面』『俺物語!!』などハマり役多い。そこにまた一つ加わった。
香役の森田望智のフレッシュさ。
木村文乃のクールビューティーさ。
安藤政信も原作イメージ踏襲。
てっきり橋爪功が定番のラスボスかと思いきや、まさかの迫田さん。香にとって憎き仇だが、中ボス的に過ぎず、ちょいと小物感。ゴメンよ、迫田さん。だってあのドラマのイメージが…。
ところで、激似と話題の海坊主、こっそり出てたらしいが、何処に出てたの…??
多少気になった点もあったが、上々。いや、期待以上。
これまでの実写化ではベスト。近年のアニメ映画版より面白かったかも。
実写化任務、見事遂行。
劇場公開していれば、GWの話題作の一本になっていただろうに…。
採点は4でも良かったが、今後にもっこり期待して3・5。
だって絶対、続編もしくはシリーズ化あるでしょう!
※4月28日、再見。1回目より面白く見れたので、採点4に変更します。