「怪獣映画に必須な重量感はどこいった?」ゴジラ×コング 新たなる帝国 いま〜じゅ太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣映画に必須な重量感はどこいった?
怪獣ものは、人目線から怪獣を見上げた時の重量感とか圧迫感があってはじめて、その存在の重さを享受できる。序盤のゴジラがジャンプしてしまう時点で既に違和感でいっぱい。
自分が日本人で、『シン・ゴジラ』にあったようなリアリズムと科学的な辻褄合わせ(それが多少強引であってもOK)によって、虚構なのにも関わらず真実味を感じさせる作りに心奪われたこともあるだろうが…本作はもはや怪獣映画というよりはファンタジー(私はファンタジー映画が大好きなのだが、怪獣映画にはこの要素は適度であるべき!)の方に大幅に傾いてしまっていることが実に残念だ。
この作品に連なる過去作から引き継がれた「怪獣が地下空洞からやってくる」という設定は決して悪くはないと思いつつも、例えばギレルモ・デル・トロの『パシフィック・リム』が怪獣の由来にダーク・ファンタジー的な要素を感じさせながらも、決して「ロボット・アクション」&「怪獣映画」(この二つのジャンルは、日本の特撮作品と、それに繋がるエヴァンゲリオンに象徴される)の範囲をはみ出なかった(そのことによって大変な傑作になった)のとは実に対照的で、本作は実にあっさりと…実に安易なやり方でファンタジーの領域の方に踏み越えてしまったように見える。
怪獣映画としての面白さを保っていたのは前作まで。残念ながら、本作はやり過ぎてしまったと言わざるを得ない。観ていて途中から真剣に観る気が失せてしまった。
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