「ゴジラxコングでなく、"ゴリラxコング"だった!!」ゴジラ×コング 新たなる帝国 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラxコングでなく、"ゴリラxコング"だった!!
主人公はコング。ゴジラがタイトル順前だが、実質スタローンなどベテラン大スターのゲスト出演作品を、日本側がさもスタローン主演作品のように宣伝して、見に行った人がキョトンとなるパターンに通ずるものを感じた。そして、鑑賞後に『猿の惑星キングダム』の立看板や垂幕を見て、「あれ、『猿キン』先行上映見たっけ?」と錯覚しそうなほど、既視感を覚えた。猿界隈が、字幕見えてきそうなくらいのジェスチャーゲームっぷりに、日本独自でアテレコした吹替版でも作ればいいんじゃないかと思うほどだった。
本来演技派なブライアン・タイリー・ヘンリーによる、もはや割り切っているとしか思えない、"ザ・黒人"的なコメディリリーフっぷりに、曲聴きながら軽いノリで新登場ダン・スティーヴンス演じる赤アロハな獣医など…安い笑いとドラマで、人間はますます説明係になり下がり、人間ドラマが薄いのは見ているコチラも織り込み済みなわけだが、面倒見が良く困っているやつがいると放っておけない義理人情に厚い頼れる兄貴分コングの人情(珍道中)パートが、「何見せられてんだ…?」という気持ちになった。西島さんなどの弟分キャラなイメージの強い伊藤淳史枠な小猿(スーコ?)に道案内させて、引き連れて。しかも、そいつを武器代わりにブン回してたのに(爆笑した)!
猿!猿!! 猿!!! 今回もコングのモーニングルーティンから始まり、昭和ゴジラのノリをゴリラ(たち)でしようとしている、香ばしい方向全振りに舵を切った作品。硬派路線じゃなく、まさかのそっち。本来はそっちも大好きなわけだが、本作に関しては日本のコンテンツを使って相変わらずタイトルには冠するものの、徐々にコング優位にスライドして、実質アメリカのものにしようという実権掌握への動きすら感じてしまった。
もはや"向かうところ敵なし"一人勝ち最強無双状態なゴジラ先輩は、地上に張り合いのあるやついなくなって本作でも他の怪獣が平伏す"キンモン(のラスト)"状態継続中どころか加速すらしていた余裕勝ち。だって、本作でしていたことは、放射能吸って、メシ食って、寝たらパワーアップという図式。特訓パートどころか葛藤も屁ではない何処吹く風。ケン・ワタナベに家吹き飛ばされたので、コロッセオがお気に入りの寝床。
権利の問題とかなのか、イタリア蟹に北極ウナギに…敵怪獣がどいつもこいつも地味過ぎた。コレじゃきっとソフビも売れん。設定は分かるのだけど、もう少しどうにかならなかったものか?ゴジラ先輩の対戦カードまさかのペットのシーモだし(地球を氷河期にした怪獣なんて本来それだけで映画一本いけるクラスにできる怪獣)。骨ムチ使った遠距離攻撃しかできないスカーキングより強そうだが、ラスボスではなかった。"UNITE!"って謳っているだけあって、団結することが今回の目的すべてだった"ラスボス"不在の怪獣映画。
バカみたいな計画=パワーハウスもう用意済って!全編通して、"ご都合主義"という言葉がこんなにしっくり来る作品も久しぶりだな、となる準備の良さ。おでこにカラシ塗られた女の子が呼び出したら、なぜかあの御方も出てきて、『ワイスピ』ステイサムに助けを求めに行ったハン or『JL』目覚めの悪いスーパーマンばりに暴れるタイトルロール=ゴジコンを、「ちょっと、男子!」と制して律してくださるのだ。
"超"の付くお約束展開に、それゆえか奴隷猿たちが何をしていたのか、何のためにあそこでブロック運搬していたのか一切不明だった。そして、予告にも使われているコング驚き顔カットで同族いっぱいいること知るのに、最後にあそこから助け出さないという。…多分描かなかっただけだが、ゴジラも海に帰るシーンないし。けど、疲れたぜと寝床に帰ってきて目を閉じるかわいいシーンはある。
ピラミッド