「怪獣帝国」ゴジラ×コング 新たなる帝国 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣帝国
『~FINAL WARS』でこのまま眠りにつくと思われたゴジラの快進撃が止まらない。
ゴジラ作品で言う所の放射能エネルギーで復活させたのはハリウッド製作のモンスターバースであった事に間違いはない。
日本でも2度出現。マンネリを打破し、かつてからは信じられないくらいの社会現象級の話題と大ヒット、映画賞総ナメの大絶賛。
殊に『~-1.0』に至っては言わずもがなの大快挙! 名実と共に世界の怪獣王に。
その『~-1.0』が未だロングランヒット続ける中、ハリウッドから4度目の出現。『ゴジラvsコング』の待望の続編! 今年はゴジラ生誕70年とモンスターバース10周年のWアニバーサリー!
にしても、日本のゴジラとハリウッドのゴジラがWで公開。
こんな日が来るなんて…。感激ひとしお…。本当に何が起きるか分からない。
ゴジラ、ゴジラ…とばかり言っているが、本作はあくまで“ゴジラvsコング”。ゴジラとコングのW主演。
なのに日本では生誕地という事もあるが、宣伝もゴジラ推し。コングは添え物どころかほとんど触れられず。
元祖怪獣王が不憫…。誰か日本でもコングを推してあげて!
W主演と言ったが、前作もそうだが、実質コングが主軸で話が進む。
前作の時も言ったが、ハリウッド製作なんだし別にいいんじゃないかな。
それにコングの方が人間みたいな感情や表情があり、人間側との交流もあって、ドラマとして話が進められる。ゴジラは要所要所に急襲する脅威でいいのだ。
前作で怪獣王の座を賭けて闘い、突然の第三者とも闘ったゴジラとコング。
ゴジラは地上に、コングは遂に見つけた故郷=地下世界に、それぞれに君臨。
ゴジラは時折現れる凶悪タイタンを撃退。何故かイタリアのコロッセオが気に入り、そこでお昼寝。剣闘士たちが死闘を繰り広げたコロッセオ。強者=怪獣王が居座るに相応しい!(…のかな?)
コングは広大な地下世界で伸び伸びと…ではなく、こちらも狂暴なタイタンとバトルを繰り広げながらのサバイバル。
地下世界の怪獣王の座へ。…が、地下世界には思いもよらぬ脅威がいた…!
地下世界からの謎のシグナルをモナークがキャッチ。
ゴジラもそれに反応し活動を開始。
前作から続投のアイリーン、ジア、バーニー、新参加のタイタン獣医のトラッパーらはコングと共に地下世界へ。
前作で広がった地下世界。今回は更なる未踏の地へ。前作以上の地下世界アドベンチャー。
アイリーンらはジャングルの中で原住民と遭遇。かつて髑髏島に生息していた滅んだと思われていたイーウィス族の生き残り。謎のシグナルは彼らから。にしても今の時代に原住民設定、よく出せたなぁ…。
同族と再会したジア。導かれ、大きな使命が…。ジア役の子、大きくなった。
コングも同族と遭遇。キュートながら牙を剥くミニコングと猿型タイタン。KOし、ミニコングの案内でされた先にいたのは…
奴隷のように働かされるコングと同タイプの猿型タイタン。
彼らを支配し、地下世界に王国を築いていた邪悪な猿型タイタンのボス、スカーキング…!
遥か昔、地球を氷河期にさせた冷凍タイタン、シーモ。
ゴジラが撃退するも、そのシーモをスカーキングが発見し、従わせ、地上世界支配を目論む。
その危機を察知したゴジラ。
イーウィス族の言い伝えで、危機の時モスラも目覚める。その鍵を握るは、ジア。
伝説のタイタンたちの闘いに、コングも挑む…!
『ゴジラ -1.0』のようなシリアスさやドラマ性を期待すると大外れ。
リアリティーの欠片ナシ。ツッコミ所、ご都合主義は“怪獣総進撃”の如く。もう完全に漫画の世界。
しかし、こういう見方も出来る。
ハリウッドが現在のCG技術と迫力を駆使して魅せた“東宝チャンピオンまつり”。
ゴジラが正義のヒーローとなり、低予算でクオリティーが下がりながらも、当時の子供たちがワクワクした怪獣バトル!
だって、タイトルからして。今回は“ゴジラvsコング”じゃなく、“ゴジラ×コング”。バディを組んで新たな脅威と闘うのは自ずと分かる。
ゴジラとコングがダッシュし、スカーキング&シーモに突撃するバトルシーンなんて、もうそれこそ1970年代の怪獣映画のノリ。『~対ガイガン』『~対メガロ』みたいな。
『ゴジラ -1.0』を見た後だと落差は激しい。ストーリー云々のみならず、CGのクオリティーさえも。
でも、『シン・ゴジラ』や『~-1.0』が合わない人だっている。とことんの怪獣バトルが見たい人が。
そんな人たちへハリウッドが贈る昔ながらの怪獣映画。
今の日本のゴジラが怪獣映画に新しさを開くなら、ハリウッド版は怪獣映画の超王道を突き進む!
日米それぞれの路線はこれはこれでいいし、東宝のかつてのエンタメ怪獣映画をハリウッドが継承してくれて、何だか感慨深い。
ゴジラと言えば青白い発光。今回は初のピンク色に発光。新たな進化を遂げたゴジラ。
スカーキング&シーモとの初戦で片腕を負傷したコング。アーマーを装着。片腕だけメカニコング化…?
今回のヴィラン、スカーキング。タイタンの骨のチェーンを武器に、クリスタルでシーモを従わせる、THE悪役面のバッドコング。
ゴジラ以上の巨体のシーモはTHE怪獣なデザイン。バランかアンギラスを彷彿。冷凍光線の威力がスゲェ…。名前の由来は日本語の“霜”。
この4大怪獣の大バトル!
入れ替わり立ち替わり。地下世界を飛び出して陽光眩しい地上世界でも。
地下世界での無重力バトルは怪獣映画としては初。
そこに目覚めたモスラも参戦。
何だかんだ怪獣大バトルにワクワク!
怪獣映画であるが、それ以外の見方も。
同族を虐げ、コングにも喧嘩を吹っ掛けてきた如何にもなヤられキャラのザココングをコングが一発KO。
コングとスカーキングのタイマン。コングの義歯をゲラゲラ笑うスカーキング。
コングより体格は少し小さいが、喧嘩は強いスカーキング。マイキーみたいな。
もうこれ、完全にヤンキー映画のノリやん!
タイタンたちの喧嘩上等! 何だかそんなノリで見ちゃってた。
スカーキングの王国はまるで“猿の惑星”ならぬ“猿の地下帝国”。
スカーキング、シーモの他に新登場となるミニコング。
最初コングに牙を剥いていたのに、コングの強さにビビって舎弟に。
スカーキングの元へ向かう道中、少しずつ交流が。股旅映画のような義理人情。
少年漫画的なかつてのライバルの共闘。少年漫画的と言えば、もう一つ。スカーキングに従わされているシーモ。シーモの逆襲とスカーキングの最期も何となく察し付いたけど、スカッと痛快!(にしてもスカーキング、邪悪だけどちとあっさりだったね…)
いつもながら人間ドラマが希薄な分、怪獣たちが人間味たっぷりに見えてくる。
まあでも、人間ドラマもこの手の怪獣映画に見合うくらいで程よく。アイリーンとジアの疑似母子ドラマ、ジアの成長、キザなイケメンとお笑い担当と各々立ち位置分かってる。
お楽しみのオマージュも。
ゴジラが原発でエネルギーチャージ。
コングと大蛇型タイタンのバトルはかつてのキングコング映画にあった。
ゴジラ、コング、モスラの話し合いは『三大怪獣 地球最大の決戦』。
コングとスカーキングの人型怪獣のバトルは『サンダ対ガイラ』。
ミニコングはミニラ…? ベビーゴジラ…?
クリスタルはスペゴジ…?(だから詳細発表前一時期、ネット上で今回の敵はスペースゴジラなんて噂ありました)
前作から続投のアダム・ウィンガード。スリラーからすっかり怪獣映画も手慣れた手腕。
ゴジラ映画もしくはキングコング映画の最高作ではない。さすがに『シン・ゴジラ』や『ゴジラ -1.0』には及ばず。
が、とことん楽しい怪獣映画。前作『ゴジラvsコング』より娯楽性は増し、モンスターバースでも娯楽性は上々。
実は見る前、日本版が良かった分、昔の怪獣映画みたいな作風にそろそろモンスターバースも…と思ったが、
世界中で大ヒット。ここに来てV字回復。
固い事や理屈を言い出したらキリ無いが、それら抜いたら、単純に楽しかった。思ってた以上に。
日米それぞれのゴジラ。
日米それぞれで展開していく怪獣映画。
怪獣映画は幾度も復活を果たしてきた。幾度目かの黄金期到来。
怪獣映画は今、新たなる“怪獣帝国”を迎えた。