劇場公開日 2024年4月26日

「コングのオッサン化は進み、堂々たる頭空っぽ展開にただ笑う」ゴジラ×コング 新たなる帝国 木神さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0コングのオッサン化は進み、堂々たる頭空っぽ展開にただ笑う

2024年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

前作でゴジラに顔見せと言う名の死闘を繰り広げたかと思えばゴジラのピンチに駆けつける美味しい役も貰ってすっかり“もう一人の主人公”となったコング主演の第三作、あいかわらずVSと昭和のミックスめいた内容をハリウッドマネーで贅沢に描いている、厳かなマイゴジと大違いだが懐かしい雰囲気はゴジラファンである筆者の骨身に染みる。(1954年から現在までの映画は網羅)人類はこれまで通りの狂言回しな存在なので割愛。

東宝怪獣の有名どころ(何度か再登場してる枠で)は出し切ったので、散々っぱら予告やCMで殴り飛ばされた邪悪なオランウータン怪獣とゴジラの親戚みたいな怪獣のオリジナル2体が今作のメインヴィラン、コング&ゴジラと対を成す構図になる為に生み出されたようなもんでキャラ付けは素晴らしいがデザインには魅力なし、だが昼間の明るい都市で4大怪獣が入り乱れる激戦は中々に見応えがある。とりわけゴジラの頭一つ抜けてるハチャメチャな強さはギャグの領域、まさに“もうあいつ一人で良いんじゃないか”だったが、無双状態になる準備として地上のあっちこっちに出向いてエネルギーを摂取し、邪魔する怪獣は容赦なくぶち殺す怪獣王っぷりを魅せつつ肉体改造に勤しんだので当然と言えば当然、コングとの共闘なんて全く考えてないので必然的にオーバーキルみたいな展開になったという事か。あと敵のゴジラの親戚怪獣なんだが、最後は可愛く見えることうけあい。

対するコング、仲間を求め地下世界でロンリーサバイバルしてるのだが完全にハリウッド映画に出る“くたびれた気難しいオッサン”にしか見えない。滝をシャワーに見立て体を洗い、虫歯に悩み、孤独にたそがれ、ぶっきらぼうながらも情に厚い、その立ち振る舞いは怪獣界のジョン・マクレーン、もしくはケンシロウ。顔の表情や動きでキャラの思考がゴジラより表現しやすいのだろうか画面に映る割合はゴジラより多め、そして気難しいオッサンときたら共をするのはどんなキャラか---そう小生意気な子役である、という事でその役割を果たすちっさいコングが登場する。当初ミニラやベビーゴジラみたいなポジションかと思いきやバチバチに敵対し、友好的に接するコングに徒党を組んで襲いかかったので“キツイわからせ”をかまされ三下全開の道案内人になるのだが、一切容赦なくコングにしばかれる様はかなり面白かった。その後も機をうかがってアレコレするが最後は良きサイドキックになり健気にサポートしてくれる、おっさんと子供の友情を紡ぐプロセスはコテコテでもエモい。

以上、マイゴジ効果なのか世界がゴジラに関心を向けた結果、結構な興行収入を記録したらしく続編も出そうな予感。とはいえ今回の敵怪獣の立ち回りは文句無しだがデザインはイマイチ、ビオランテ・スペースゴジラ・ヘドラにガイガンとまだまだ東宝怪獣は控えてるので、そのハリウッド版スタイルをみたい所。

ここから重要なネタバレ、ご注意


木神