君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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私(宮﨑駿)はこう生きた。さて君たちは?
第81回ゴールデン・グローブ賞作品賞受賞作。
第47回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞作。
通常スクリーンで鑑賞。
吉野源三郎氏の同題小説は読了済み。
なんの先入観も持たずに映画を観たのは今回が初めてかもしれない。前代未聞の宣伝手法を取った本作だが、それは情報が氾濫する現代社会にひとつの楔を打ち込んだかの如く、世間の話題をかっさらっていたのがある意味痛快だった。ネームバリューだけで客を呼ぶことが出来るすごさも痛感させられた。
監督の自伝的要素を含みながら主人公が世の中や己自身に向き合い成長していく、かなり王道なストーリーが展開する。
物語の前半と後半で印象が変わり、少々散漫な印象を受けたものの、ジブリらしさ全開の独創的なファンタジーだった。
内容について詳しくは語らないが、監督のキャリアの集大成的な作品であることは間違いが無く、とても面白かった。
「私はこう生きた。さて、君たちはこれからをどう生きるんだい?」と監督から問い掛けられているような気がした。
一時代を築いた人物なだけに、その問い掛けは真に迫っていると云うか、とてつもない重みを伴っているように思う。
つまりそれは、ひとつの時代の終わりをも意味しているわけで(おそらく本作が本当の引退作だろう)大変寂しい。
最高傑作ではないかもしれないが、引退を撤回して本作をつくったクリエイターとしての心意気が伝わる力作であることは間違い無い。お疲れ様でした。ありがとうございます。
[追記(2023/10/05)]
本作で監督は引退されると思っていたので上記末文のようなことを書いたが、ご本人は全く引退する気が無いらしいと云うネットの記事を読み、衰えぬ創作意欲に感服すると共に、まだ新作が観られるのかと云う喜びに震えている。
※修正(2025/05/24)
遊園地を期待して見るとがっかりかもしれないが美術館を期待するなら大満足
タイトル通りエンタメ性には欠けるがアート性はたっぷりの作品。見る人を選びます。
ややこしい話だったので自分用のメモ。
思い出のマーニー+千と千尋の神隠し+宮崎駿の創作観 といった感じ。
母親の喪失や新しい母親を受け入れることができない拒否感、また父親への不信感、環境の変化に対する疎外感。
それらから救い出してくれる物語の数々(母親からのメッセージ付きの原題の本もその一つ。実家にあった本を読みながら、親もこれを読んでいたんだなあと感じる経験は少なくない人にあるのでは?)
塔は物語の世界そのもの。
その中に入り込んで自分と向き合い、自分のルーツを知る。世界の理不尽や循環を知る。
そうして成長する。
現実逃避のように異世界にのめり込み自分の先祖やルーツを知り、現実に向き合い直すといった構成は思い出のマーニーに既視感を感じる(宮崎駿の作品ではないが)
異世界に迷い込み世界の理不尽を知る。またその異世界のアニメーションの奇妙さや目の離せなさは千と千尋の神隠しを感じる。
喪失やそこから逃避した先にある幻想的な世界という構成は村上春樹の作品群に類似しているところもあって、個人的には好みの構成。
今回、上の単純なストーリーをややこしくさせているのは、このストーリーに重ねるようにして描かれた大叔父のエピソード。
マザコンみ溢れる主人公に宮崎駿は自身を重ねているのかと思いきや、宮崎駿自身はどちらかというと大叔父にこそ自分を重ねているよう。
ある日突然現れて自分を魅了した物語の世界。
そこにのめり込み、自分で世界を作る側になった。
数々ある物語から真に納得する悪意のない13個の積み木は自分のこれまでの作品のこと?
それが崩れて世界が壊れるのは自身の引退を意味しており、宮崎駿自身は後継者を望んでいる。
しかし主人公すら後継者にはなり得ない。ただ主人公は自分で別の積み木を見つけて持ち帰った。
我を学ぶ者は死す:自分の真似をしているようではインコやペリカンのような何も生み出せない、人を食うだけの、群れをなすだけの人間になってしまうぞ?という意味?(ここはいまいち違う解釈がありそうな気がする。)
ジブリという塔が崩れて、現実世界に戻り、そこで主人公は自分の道を生きる。
まるでシンエヴァのエンディングを見ているよう。また映画館から帰る鑑賞者自身にも重なるよう。
青鷺はおそらく青い鳥にかけているように思う。
幸福の青い鳥なんて言われているが、それは全部嘘なのでは?物語なんて虚構なのでは?
それを承知で友達になれたら良いよねって感じの。
主人公は無事友達になった。
まだまだ完全には咀嚼できないような気がします。また金曜ロードショーとかでやってたら見ます。
正直やり放題すぎて鑑賞者を置いてけぼりにしていると思います。あくまで鑑賞者ってのは黙って座っておけば楽しませてもらえるもの、なんて楽チンなものではないんだなあと痛感して、それはそれで気持ちいいですねー。
追記
・インコは人間のマネをすることから模倣者のイメージ?
・どれだけ考えてもなぜ夏子が塔に入って行ったのかを説明することは不可能に思える。あくまで主人公の動機付けとして物語を駆動するための都合の良さを感じてしまう。
・千と千尋の湯屋は、風俗やスタジオジブリ、また八百万の神を癒す場としてのイメージを融合させていた。それと同様に今回の君たち〜の塔は、物語の世界(宮崎駿のこれまでの作品群)と、現実逃避先としての居場所と、出産から死までの循環、といった複数イメージをシームレスに融合させたはっきりとした輪郭を持たない存在として出来上がっている。
これは一対一対応で教科書的にメタファーを作り上げているディズニー作品とは根本的に違う仕様。
・宮崎駿が自分自身を曝け出した結果、母親は子を産むことを最大の幸福とするべきである、とまで思わせてくる様な狂気的な女性の神格化があるように思う。昨今の映画や社会の流れに逆らっているようなキモさがあるが、これをどう評価するべきか難しいところ。フェリーニの8 1/2とかも個人的には大好きなので、キモさも全て受け入れて評価したいところだが、世界的な評価は果たしてどうなるんでしょうか?気になる
駿さんは引退したのですね
100%私の予測ですがあれは駿作品ではない。最初は駿がやっていたのでしょう。
しかし無理だったんでしょう。気持ちに体がついていかなかったんでしょうか。
10年近く前のドキュメンタリーの中でも「少し集中するだけでしわしわ、ゴワゴワになってしまう」と仰ってましたもんね。
鈴木さんが五郎にバトンタッチさせたのだと思った。
それくらいつまらなかった。
途中で映画館を出ようかと思ったがスタッフロール見たかった。
可愛らしいキャラクター、しわくちゃなおばあちゃん、食べ物を美味しそうに食べるシーン、男の子と女の子が団結して立ち向かうシーン、駿作品を意識したこれぞジブリ映画という要素を無理矢理入れてるのがまじで萎える&駿作品ではないと言ってるように感じた。ワラワラっていうのも全然かわいくなかったし。
音楽も気になった。久石譲じゃないんじゃないかと思うくらい音が浮いていた。
映像と音のクオリティのバランスが悪すぎて浮いていたのだと思う。
中身がいまいちだから広告も打たなかったのでしょう。もしくは駿が駿作品と出すのを嫌がったのを鈴木敏夫が説得したのだろうか。
鈴木敏夫にやられた。
高畑勲「宮さん、もう一本作りなよ」
「分かる人だけついて来い。
分からない人にいちいち説明はしない。」
最近の宮崎駿監督には、そう言われているように思う。
そんな中で、私がなんとなくとらえられたのは
「(俺、宮崎駿はもう命が尽きかけようとしてるけど、その後の世界を)君たちはどう生きるか?」
ということ。
正直、私は序盤で登場する生活習慣や弓や矢の作り方、船の出帆のやり方に、魚の捌きかたなど、よく分かっていないままに生きている。
「おまえ、分かってないだろ?
そんなので生きていけるのかよ?!」
と監督にケツ叩かれているような気がした。
悪意に満ちた現実の世界で、少しでも善意の積み木を積むのに持つべきはいろんな「友だち」だよ。
最後のスタッフロールを見ながらそんな事を思った。
思ってたものではなく難しかったが何回も見て少しずつ理解していこうと思った作品‼︎
•前情報は米津玄師が主題歌を歌うことのみで行った。横アリで一回聞いていて、今回も聞いてめっちゃ良かった。映画終わりは主題歌を聞きながら余韻に浸るのが好きなのだが、今回はまだ配信されてない、、
•まず、アオサギがおっさんの時点でチラシではかっこいいイメージを持っていたから驚いた!
•くちばしの穴を塞ぐシーンはめっちゃ好き!
•絵もめっちゃ好きだった。走ったり階段を上がったり火の中を走るシーンが特に好き。
•わらわらはかわいすぎ!あれが上にいって人間になる設定も好き。
•久子がわらわらをペリカンから助けるために花火?でわらわらを焼きながらもペリカンを追い払うシーン、一部を助けるために犠牲にする仕方ない、、
•羽が折れたペリカンのシーン悪い奴が1人もいないのがわかって変な感情になった。
•人形触るなと言われたのに普通に触ってたけど結局触って何が起きたのか分からなかった、、
•あと夏子が帰りたくない理由もわからなかった、、
•若き日のキリコはかっこよすぎ、あの人があのおばあちゃんになるのイメージわかない笑
•インコが人間を食べる設定もすごく好き。インコ殴ったあの骨なんの骨?鎖壊せるとか強すぎ笑
•インコの王様が自分で積み木を雑に積んだのに最後で急にビビるのは(え?)となった。
•最後ヒミと別れるシーンとアオサギが去るシーンで「友達」というのがとても印象に残ったシーンだった。
•飯テロは他の作品に比べると微妙だった。真人が鼻までジャムを付けるのは美味しそうだった!
これから何回も見て少しずつ理解していこうと思った!
スタジオジブリ…宮崎監督最終作!
ネタバレを少し…
ポスターの青鷺は、主人公の相棒!!
ストーリー・キャラクターともに、ジブリでした。パンフレットもなく、チラシもなく鑑賞したのは初めてでした。すごく、楽しめる内容でした。
宮崎監督、ご苦労でした!
地球儀
スタジオジブリ作品を劇場で鑑賞するのは初めてです。毎年金ローでやっているので、テレビでしか見たことがないので、こうやって大スクリーンで観れることに感謝したいです。
中々にクセの強い…というかとにかくやりたい事を詰め込んだ遊び心の強い作品だなと思いました。すごい振り回されましたが、好きな感じの作風でしたし、アニメーションのクオリティはジブリ+αの進化を果たしていてとても良かったなと思いました。
物語は主人公の眞人が疎開先で不思議な塔に出くわし、そこにいた青鷺に導かれて様々な世界へ行く…というジブリらしいファンタジー作品に仕上がっていました。「風立ちぬ」に続いて戦争の色が濃く描かれる時代を舞台にしていますが、戦争が物語に強く関わってきませんでした。
戦争の是非を問う作品なのかなと思ったら、特段そういうわけではなく、生命の誕生を描くのかな?と思いきや、それもまたフリで、中盤から様々な時代の人々と出会う異世界転生みたいになっていきました。
実母、義母、青鷺にインコにモフモフ、未知の人との出会いは今までのジブリが辿ってきた道を共に歩いてる感覚になりました。
積み木が崩れると世界が崩れるというのも、現実のシリーズもののメタファーだと思いますし、アニメ作りの困難さ、苦悩や葛藤がファンタジーとして盛り込まれているように思えました。それが故に置いてけぼりにされる事も多々ありましたが、アニメの美麗さに助けられて世界観についていくことができました。ラストがあっさりだったのは惜しいですが。
アニメーションのクオリティはジブリど真ん中の素晴らしいクオリティでした。カラフルな絵柄から躍動感溢れるアクション、不思議な生き物たちのデザイン、背景の炎や水の美しさ、新海監督の描く美麗な背景とはまた違う魅力は10年のブランクがあろうと関係なしで健在でした。
ふわふわたちや、ムキムキインコたちのデザインが絶妙なラインをついてきてくれてとても好きでした。
ジブリ飯、今作ではそこまで映っていませんでしたが、外はサクッと中はふんわりの食パンに結構大きめのバターを塗りたくって、ジャムを目一杯塗り塗りして、口周りがベチャベチャになっちゃうくらいの美味い朝飯を頬張るシーン、素晴らしい飯テロでした。簡単にできそうですが、食費とカロリーが中々…💦。いつかはやってみたいやつです。
「君たちはどう生きるか」というタイトルの通り、宮崎駿監督が恐らく人生のフィナーレを飾るために今作は作られたんだろうなと思います。
ジブリ作品や、様々な名作たちの要素を混ぜながらも、宮崎駿監督の色は決して濁さず、自分自身の想いをこれでもかとアニメに詰め込み、メッセージ性を静かに残してエンドロールへと突入する流れは、巨匠が撮る最後の作品なんだな…とどこか寂しく思えてしまいました。
登場してきたキャラクターとの関係性も、自身の両親や息子の吾郎監督、ジブリのメンバーたちや、復帰のきっかけを与えた新たな日本を代表するアニメ映画の監督たちとの繋がりをモチーフに描いているかのようでした。
決してリアルタイムで観てきたわけではないのに、なぜこんなにも心がくすぐられるんだろうなと思いました。
エンドロールは米津玄師さんの「地球儀」が優しく包み込んでくれます。誰が声を当てているのか分からない状態で観るのは不思議な感覚でしたが、本職の声優さんはほとんどいないだろうなと思って流れてくる名前を見たら、この人が当ててたんだと目が大きくなるばかりでした。可もなく不可もなくって感じの声の演技でしたが、多くのジブリ作品の中でも棒読みチックなシーンはかなり少なく、全体的に聞きやすかったのが良かったです。
ジブリと共に生きてきた人の目からどう映るのかは分かりませんが、ライトファンな自分にとっては不可思議な世界を堪能できる楽しい奇怪な作品になっていたなと思います。もう少し長くても良かったかなとは思いましたが、これが集大成か、としたを唸ってしまいました。アニメの力はやはり凄いです。
鑑賞日 7/14
鑑賞時間 10:45〜13:05
座席 L-22
ちょっと解説
日本のアニメは危機に瀕していると言われて久しいけれど私は今季のテレビアニメも大好きです。
なので今さら宮崎アニメを見ても古臭さを感じて失望するのではないかと心配して観ました。
けれど主人公が頭を自分で殴ったので今までの宮崎キャラと違うものを見られるとワクワクしました。
そんな私が「難解」な話を簡単にまとめてみました。
1回観ただけなので初見私見の解説です。
それは違うだろ!って怒らないでくださいね。
この話は世界の守り人になって久しい大叔父様が自分の死期を悟って後継者を求めるのがベースです。
大叔父様はアオサギを使者として自分の血筋を探していました。
候補者は主人公の真人とこれから生まれてくる赤ん坊とその母であるナツコ
大叔父様は焦っているので母ごと誘拐です。
ナツコを祭壇に祀って塔ごと結界でも張って守っています。
真人が大叔父様に会った時に
「これで1日は持つ」と言いますが
異世界もので定番の「1日は100年」なのでしょう。
最後に世界が壊れて真人たちは跡を継がないので
やがて世界は崩壊します。
昭和12年の設定なので85年経ちましたから
私たちの世界はあと15年で壊れるのかしらん?
私たちはどう生きましょうw
異世界には「我を学ぶ者は死す」と書いた門の中に魔物が住んでいます。
他人の模倣はやめて自分で考えないと魔物にやられるのですね。
ベタですがこれが映画のテーマですよねぇ
話は難しいけどアニメの動きは流石でしたね。
独特な宮崎アニメの動きにずっと感動していました。
宮崎さんは物凄い裏設定を考えているのでしょうが、
宮崎さんの愛読書とか民俗学的知識とか宮崎さんを丸ごと知らないとわからないことだらけなのでしょうから
私のような浅はかな理解でも許してもらえる余地があって良いです。
「君たち」は誰に向けたことば?
ジブリが映画の公開まで広告宣伝一切なしという、強気な面に1番惹かれて行きました。
公開日に行った映画はこれが初めてです。
宣伝しない意味は何か?自分の生き方を見つめ返せるのでは?と仕事終わりワクワクして行きました。
予備知識ゼロで映画館へ向かい、横の書店にて原作を初めて知りました!表紙見たことある!けど今は我慢!!
最初、戦争の映画か、、と思いましたが、観進めていくうちにあれあれあれ?めちゃくちゃファンタジーじゃん!!
アオサギってかっこいいキャラだと思ってたよ!?
なぜ夏子さん森に行ったの?
キリコさんは海で何をしてるの??
ちいかわみたいなのたくさん出てきた!
ペリカン、、?ペリカンが死んでいくシーンの意味は、、?
セキセイインコの国?めちゃくちゃ食べられそう?
大叔父様は何をしてるの、、?
ヒミ、火が好きってそんな感じで戻っちゃうの?
あれ、キリコさんはそっちに戻るんだ?
2年後東京に戻る、、?おわり?!!
とにかくハテナハテナで、、
映画を観ながら、
もののけ姫のカタカタいうコダマのシーン、千と千尋のひよこたち、ハウルの動く城のハウルの部屋、ポニョの古生代の生き物が出てくるシーン、火垂るの墓、いろんな過去作品を思い返していました。
どなたかのレビューにも見ましたが、TENETを見た時と同じ感覚でした、、😇
まとめると、難しい!!!ゆっくりこれから考察を見ていきたいです。
自分の人生とは共感できるところありませんでした!
タイトルの、君たちはって誰から誰に向けられた言葉なのでしょう。
大叔父様?原作を見たら分かるのかな、、
ここが考察のポイントなのでしょう。
誰かの生き方、考え方が表れた映画ではなく、いろいろな概念の元冒険していくストーリーでした。
ジブリの液体はとろみがある、昔知り合いが言ってた言葉をすごく思い出して、なるほどなあと思いながら観ていました🧐
主題歌米津さんんん!ジブリすごーーーーー
しかも4年前からオファーしてただとか、、
菅田さんは全く気づかなくて本当にすごいなあと改めて思いました。
映画内の音楽は、綺麗なメロディーでしたが不穏なシーンはゾワゾワする感覚で、すずめの戸締りを思い出しました。
ジブリが本気でホラー作ったらめっちゃ怖いんじゃないかな、、、。
そして私初のIMAX
ジブリが私の初IMAXになるとは、、笑
わたしだけでしょうか。
沢山の高評価レビューありますが、
事実は違い、映画を見てほとんどの人が混乱していたように思えます。
エンドロールが終わり、あたりを見回しましたが、
笑顔の人は見つけられず、皆さん沈黙もしくは引き笑いでした。
監督自身、訳がわからないところがあるとコメントされているようですね。
(場をなごませる冗談でしょうが、納得のコメントです)
・異世界は創作の世界をさしている?
・塔はジブリ全体をさしている?
・石の数はジブリ作品数と関係している?
・主人公の境遇が監督の人生と酷似している?
etc.
細かな心理描写、数々のメタファー、旧作品のオマージュ、監督のバックボーン、
我々が気づけていない細かなメッセージが沢山詰め込まれているのは、いやでも分かります。
ですが、これらは映画が面白い面白くないとは、別のオプションで
結局のところ
話がよく分からないのであれば、こういった部分しか楽しむ事ができない。
私は大きな会場で見たのですが、
・序盤にかけては大興奮。
・中盤は世界観を受け入れる準備。
よくわからないが、こういうものなのだろうと。
・中盤〜終盤は、ポカーン。
創作の世界?の塔に入るまでが、一番おもしろいと感じたので、
中身を覗いてみるまでが一番楽しいんだな。
という、ひねくれた考えを持つまでに至りました。
これだけの人を集めて、訳の分からないものを見させられているあの状況は、とても馬鹿らしく。事故に巻き込まれたような気分。
最後に、
この映画は答えのない謎掛けのようでして、
それこそが制作者側の一番の悪意ではないでしょうか。
タイトルをどう取るかで評価は変わると思います
正直宮崎駿監督の作品を全て見てきた方でも初回で全てを理解することは難しいと思います。過去作品に似ているシーンなどは散りばめられてますがそれが本質かと言われればそうではない。若い人たちが希望を持って厳しい世の中をどう生きていくかそんな問いと激励が込められた作品なのかと私は解釈しました。
宮崎駿版「フェイブルマン」
「風立ちぬ」からまたさらに自身の話を掘り下げてくるとは思っていなかった。
事前情報が一切ないという上映形態は、公開当時の劇場に独特な雰囲気をもたらし、満席の客席全員が固唾を呑んで見守るという貴重な体験をすることができた。こんなことができるアニメ監督というのは今の日本では宮崎駿監督か庵野秀明監督くらいだろう。
低予算、小規模だから事前情報がなかったのか?という私の心配は冒頭数秒で吹き飛んだ。
絵が動いている!!!(当たり前だけど笑)
吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を幼少期に読んで感銘を受けた宮崎駿の自叙伝的な話になるという事前情報そのまんまの話になっていて驚いた。
本作の主人公 牧眞人は宮崎駿本人であり、戦時中に戦闘機部品の製造会社役員である父親と共に移った宇都宮での話がベースとなっている。
まずは自分のこと美少年に描き過ぎだろ!!笑という突っ込みはさておき、父親を木村拓哉にやらせるか〜といったところや、主人公を不思議な世界にいざなうサギ男を菅田将暉にやらせるか〜といったキャスティングも興味深かった。
また、やたらと色っぽい義理母は所作含めて渾身の作画、演技で凄まじいこだわりを感じた。「風立ちぬ」での教養ある人間の自然な所作をアニメーションで描き切るということをやっていたので、本作でも炸裂。
自分の父親をめぐる実母とその妹である義理母の関係性はハッキリとは描かれないのですが、考えようによってはいくらでもドロドロとしたドラマを生み出させる要素満載。本作は「風立ちぬ」に続いて完全に大人向けですよね。
(妹と父親の大人の関係は結構前からあって、終盤の義理母から主人公への拒絶反応は自分の恋人を姉に取られたと思っていたからとも受け取れる。)
2時間に収めるために尋常じゃないくらい早いペースでところどころ端折りながら進んでいくので着いていくのがやっと(私はそう感じました。)、ですが絵的な遊びも満載でハッキリとコメディに振り切ってるところもあっていいなと思ったのと、ここぞというドラマ的なキメ(久石譲のピアノサウンドでビシッとみせてくる)もちゃんとあったので最後まで飽きずに観れました。
終盤の展開は宮崎駿監督も自分で言ってるくらいわけわかんないのですが、やはり母親との再会、そして母親が死ぬということを知らされても主人公を産んで、そしてその時まで生きる為に帰っていくという選択をしたこと、火事で亡くなる母親はあの世界では火を操る存在であり、火事では苦しまないということがわかり、主人公へ救いがもたらされるということ。
そしてサギ男(青サギ)が最後に主人公に問いかける「その石のことはそのうち忘れると思うけど、そのまま持っておきな」というセリフ。
石とは主人公の罪であり、世界を構築する(バランスをとる)ためのパーツでもある。
新たな世界を構築することはなくなったが、その石をお守りとして持って、主人公は去っていきます。
庵野秀明にとって"それ"は槍であった。
宮崎駿監督にとっての"それ"は石だった。
という話だったのかなと思う。
タイトル「君たちはどう生きるか」じゃなくて良かったんじゃないかと思うんだけど笑
また、鈴木敏夫プロデューサーのラジオ「ジブリ汗まみれ」で本作に登場すらキャラクターにはモデルがいるようで、覗き屋のアオサギは鈴木敏夫プロデューサー(宮さんは否定しているそうですが)のようで、宮崎駿と鈴木敏夫の会話がそっくりそのまま再現されたかのようだということ(だとしたら主人公が何回も殺そうとしてるの怖くない?笑)
そしてそんな主人公とアオサギの喧嘩を止めるキリコはジブリで色彩監督を努めていた故・保田道代さん、そして高畑勲も登場したとのこと。("頭の良い人"ととして登場した有名な大叔父さんかな)
また、終盤のパートは鈴木敏夫が宮崎駿にもっと書けと引き伸ばした展開らしく、引退すると言ってるおじいちゃんをよくこんなに働かせるなと思うが笑 エヴァイマジナリーならぬ駿イマジナリーな世界は初号試写で宮崎駿本人が「わけがわからない」というくらい、かなりぶっ飛んだ世界笑
最後にどぎついの作ったなー。
悪夢のようであり、走馬灯のようでもある
苦悩と向き合うことについて描かれた作品だった。
サラリーマンとして意にそぐわない仕事をやったことあって、自分死ぬんじゃないかっていう不安と孤独の中で子供を産んだことがあって、悩みもがきながら物作りしてる人で、抽象的な思考の世界に生きたくて死にたいほど悩んだことある人なら、一言一句何の話かありありと分かる。
あるあるを集めたコントかな?ってくらいあるあるなことばかり。
崇高な理想を求めて他を拒絶する人。あるいはモラルに反してでも生きるために這いずり回る人。生きる力を失い、求めてくれる人に暴言を吐いてしまう人。そしてそのまま精神世界でのみ生きることを選択し、帰ってこない人。無事生還する人。醜く這いずり回るのもまた、良くも悪くも、あるがままの頑張って生きている証。
大の大人が七転八倒醜く悩んでるのをただただ眺める主人公。
じきに世界の広さや深さを見て自分の小ささを知り、自分のやったことの小ささを認め、世界で自分はどう生きたいか考える勇気が湧いてくる。
風立ちぬ他全ての宮崎駿監督のアニメが、一つの美しい世界を矛盾なく写し取った写真なら、君たちはどう生きるか、は箱庭を用いたフィールドワーク。いくつもの世界を渡り歩きながら登場人物の置かれた苦境を、擬似的に体験していく。宮崎駿監督が付き添ってくれるから形としては優しい。
ただし青鷺の登場が悪夢的で怖すぎだし、しかも長い…罪悪感とトラウマがそうさせてる、という演出か?世界の境界の混濁具合はいつものジブリよりちょっと強めかもしれない。だから悪夢じみているように感じるのかも。
抽象的で綺麗な理想の世界を目指そうっていう時代も崩れ去り混沌に呑まれるのは、なんだかコンテンツが溢れた今日のことのようでもある。ところで、宮崎駿監督は本当に最後のつもりで書いたんだ、と見てて強烈に思った。ジブリといういろんな世界に繋がる館から、これまでにいろんな世界を見せてきた。千と千尋、風立ちぬ、紅の豚、もののけ姫、トトロ、ハウル、ポニョ。みんな見せてきた。世界のあちこちに走馬灯のように散りばめられた情景たち。でも館はもう崩れ去る。これまでジブリ作品といういくつもの世界を見てきた君たちは、それを踏まえてどう生きる?そう問われている。
なんか、役割を終えたこれまでのアニメたちを成仏させるために走る銀河鉄道の夜みたいでもあった。アニメたちと駿監督は記憶・時代の彼方へ去って行き、主人公は現世へ帰る。
そして、人間の置かれている混沌とした世界を愛おしく思ってよい、と言われている気がした。
悪夢であり、走馬灯のようでもある。これまでのジブリの中でかなり好きかなぁ。
みんなの感想を見て……
たしかに出だしの演出はすごかった!トラウマ確定演出、アドレナリン補正がリアルすぎて感動。
あと、青鷺は駿監督だと思っていたけど、塔の老人だけが駿監督だとすれば必然的に青鷺は鈴木プロデューサーっていう意見もあって納得した。
積み木の数が駿監督の作品数と同じなので、主人公は血族だからと次ぐことを望まれていた吾朗監督っていう考察もあるらしい。なるほど!
インコやペリカンその他諸々が、アニメ制作を取り巻く状況や携わる人たちであると見ると、たしかにしっくり感はある。
そう考えたときの、隕石を館で覆う時に出た犠牲者って……あぁ、犠牲者もたくさん出してきたんですね…そうですか…
この映画のことを難しいと感じる人もいるらしい。考えすぎちゃう人はアルコールを取り入れてから見るくらいがちょうどいいのだろうか?
いろんな解釈ができるようなので、パンフレットが出た後などに何度も見たい。宮崎駿監督のエピローグ的な作品だった。
遺言
スタジオジブリ
宮崎駿の代表作
「風の谷のナウシカ」制作のため
東映動画が作った「トップクラフト」
スタジオを徳間書店の出資で引き継ぎ
1985年に設立
「となりのトトロ」「魔女の宅急便」
などを生み出すが制作毎にスタッフを
雇用しては解散で歩合制だった業界に
「会社員の待遇で制作できる環境」
を目指したがそれも「もののけ姫」
後に独立するスタッフが増え崩壊
再び作品毎雇用となるがその後
綱渡りで作った「千と千尋の神隠し」
が大ヒット
しかし宮崎駿頼みの制作体制に
限界は明白で
その後は興行的にも振るわず
(ハウルくらいまではそれでも
黒字だったそうですが)
テーマパーク「ジブリパーク」
の開設などもあったが話題性に
乏しい現状が続いていた
そんな中公開された
「風立ちぬ」以来10年ぶりの
氏監督脚本による今作
広告宣伝一切無しで今週
公開なことも世間は気がついてない
雰囲気な中どうだったか
「君たちはどう生きるつもりだ」
と宮崎駿に120分延々説教されるのを
覚悟して映画館へ向かいましたが…
あっ?…えっ…こんなわかりやすく
作ったんだという感じでした
ややこし感ももう慣れてますし
そう言う意味では
目新しさは感じませんでした
または予想通りというか
細かな部分は色々考察が
あるでしょうがまぁ
まず物語の始まりは宮崎氏の
幼年期の年代が舞台で
あの空から落ちてきたって塔
その先に広がる生も死もない世界は
宮崎氏の創作の世界でしょう
ポイントは最初の戦時中の
世界も現実世界ではなく
あくまで創作上の世界で
あるということ
だから取って付けたように
ヒロインとして若い頃の母が
あてがわれたりします
大叔父様は氏本人
もう老いて作り上げた世界が
崩壊しかかっているところで
同じ遺伝子を持った子孫
(ジブリで育ったアニメーター達)
に引き継いで欲しかった
でもそれは拒否され
混沌とした元の世界
(現世のアニメーター達が生きる世界)
へ帰るって事なんでしょうね
最後までこだわってた
インコの王はさしずめ鈴木P
でしょうかね
「鈴木さんもう終わりにしよう」
それを作品の中でやりました
眞人や母が世界へ帰って行く
扉の番号とかなんか意味が
あるんでしょうね
まあ今流行の
マルチバースしっかり
取り入れてるようにも感じました
大叔父がいた空間もあたかも
ゼーレ本部のゲンドウがいたとこ
みたいでもあります
個人的に印象的だったのは
眞人が学校でケンカした後
父がダットサンで戻ってくる
シーンのクルマの動き
中割りが全然出来てなくて
ガッタガタなんですが
ここかつての盟友だった
大塚康生さんだったら
ヌルヌルに動いたんだろうな
って凄く感じてしまいます
そう感じさせようとしている
ようにすら受け取りました
もちろん今作にはジブリで
育った高坂希太郎氏や吉田健一氏
田中敦子女史など今更言うまでもなく
一流アニメーターの方々が
関わっていますから
もっと出来たはずなのに
そうしたと
よくアニメ業界を
食べれる環境を作らずに
アニメは後継者育成に失敗した
とかどこの誰だか知らんやつが
オワコンメディアで好き放題
言ってますが
それを観て感動した人が
その世界に飛び込んでくる
作品が人材を産む世界
でしかないと思います
ならば宮崎氏が残した作品は
永遠に残り続けそこから影響を
受けた世界中の若者がアニメの
世界に飛び込んでくる
そういう世界に思います
宣伝をしないことも
鈴木Pがついに
宮崎氏がずっと言ってた
「わかる人にしかわからなくていい」
というプロデューサーとして
考えちゃいけない事をついに
観念したんじゃないかなぁ
そんな願いを込めた「遺言」
と受け取っておくことにします
自分の感性に従えば良いと思います
情報ゼロ。パンフもなし。
緻密な導入部は流石と言うしかない。
一気に引き込まれる。何考えているかわからないマヒト(だっけ?)だけど、母親の妹(母にそっくりの叔母でしかも父の子を妊娠している。)に対して悪意はなさそうだ。
鳥は死者の魂を運ぶもの。としても鳥が不気味。
色々な要素はあるけど思いのほかファンタジーだった。
長いので途中寝てしまうかも心配だった。
亡くなったお母さんが今までのジブリ、新しいお母さん(母の妹なので全くの他人ではない)がこれからのジブリなのかな?なんて
これから色々考察して楽しむことにしよう。
あの世とこの世の概念を信じているかで理解できる世界観
塔の世界はあの世(天国と地獄)
現世がこの世
塔の先にある河を渡っていたのが三途の川と考えると合点がいく点が多い。
ここの者たちはほとんど死んでいると言う話からも指し示していると思われる(今までの作品でここまではっきり世界観を明言したことがないのでびっくり)
既にこの段階であの世の概念が頭にない人、信じていない人は置いてけぼりかもですね。
今いる所を下と表現したり、ペリカンがここは地獄と表現し、インコ大王が上に行き部下が、「ここは極楽」と言うことから、インコやペリカンは地獄の者達、ヒミはその番人的な立場?そして大叔父は神の存在と思われる。
地獄から昇天?していく可愛いキャラ(名前を覚えてないが、グッズが売れそうな可愛いキャラ)が生まれると言う表現から、この世界観においては輪廻転生は一度地獄(したから)登る世界観なのだなと勝手に憶測。
それでも全員が転生できない(ペリカンに食べられる)や、腹一杯食べさせてあげてよかった言うあたりは、あの世はあの世、この世はこの世で大変な世界という暗示に思える。
塔の中は時間の概念を超越。だから死んだはずの少女時代のヒミ(自分の母親)に会って、最後別れる時に扉を選んで時間を選んでいる。
塔が崩壊してもこの世界が崩壊していないことを考えるとあの世の何番地区程度の存在か?
何故、主人公は塔の中に誘われたのか?
ストーリーでは目的としては主人公を新たな塔の主=あの世の何番地の責任者にならないか?と打診している。そこは自分の好きな世界が作れるという甘い?打診がある。
しかしそれを主人公は断る。そして友達を作ると。
そして大叔父はそれに対して、火の海になる世界なのに=戦時中なのでその名の通り(監督としてはこの世の未来を予見している?)になるのにと、現世では良いことが起きないことを指摘して、それなら理想の世界を作ってほうが良いと言う。
それを主人公は断る。それがタイトル「君たちはどう生きるか?」への宮崎監督なりの答えなのだと思うし、これこそが監督が我々に問いたい部分ではないか?と考える。
この世はろくな事は起きない、しかし理想の世界に閉じこもっているのではなく、リアルな世界(宮崎監督的には友達)で生きていこうと。
ネット、ゲーム、アニメなどで自分の世界に閉じこもっている感じがする世代へのメッセージなのかもしれないと受け取った。勝手に。
そう考えると理想の世界=あの世=ネットやゲームや、アニメとすると割と強烈な意味になってくる。
そして友達=リアルな繋がりとすると、叔母さんと最初仲違いしているが、お互い本音をぶつけて、最後和解すると言うのは、メッセージと合う部分がある。
リアルは嫌なことあるけど、ぶつかり合いながらも前に進んでいくと。
どちらにしても、個人的にはここ最近のファンタジー世界観の宮崎監督作品の中で最も丁寧な説明があり、飽きさせない演出、さらに綺麗な作画と初期とは違う最高傑作と個人的には感じる。
監督もご自身で意味がわからないと言うのは、(私も観ていてわからない部分もありますが、)世代として死後の世界などを意識していると、理屈ではない概念もあると思うので、そういう意味ではその通り、理解できない部分があって当然かと。
控えめに言っても私は最高でした。
誤字が多かったので修正。7月15日 10時56分
出だしはよかったが中盤で退屈であったので最後分からなかった。
母が火事で亡くなる場面から映画が始まる。
母を失った少年。出だしとしては魅力的である。
また、あのアオサキという奇妙な鳥が出てきて「母親は生きている、着いてこい」という場面、言わばはじまりの予感を感じさせる場面など高揚感があってよかった。
ただ、その後がどうもダラダラと展開が遅く退屈であった。
テーマは、映画のタイトルにもあり、作中にも母が残した本の題名にある通り、「君たちはどう生きるか」であるのだろうけど、ファイナルで随分抽象的に、そのテーマへの回答を仄めかしているように思えた。
善意でできた積み木を積むよう老爺さんに言われるが、周囲を欺くために付けた悪意の傷を見せ、「私は悪意があるからその積み木を積むことができない」と言い、その後ペリカンみたいなのが出てきて、老爺さんの創った世界が崩壊し....
と、確かこんな感じのファイナルであったと思うが、中盤で退屈をして疲れていたので、細かに覚えていない。
これは芸術作品なのか。
よく分からないが、エンタメとしては、楽しいとは思わなかった。
芸術作品としても、感銘や感服するところは、個人的になかった。
期待していただけに残念だった。
最後の宮崎作品で描かれる「悪意の主人公」と「強いヒロイン」
今作は、主人公の少年が自らに芽生えた「悪意」と向き合い、不条理な運命を受け入れるまでの物語だ。
映画冒頭、主人公の真人は火災で母を失う。そして傷ついた自分をよそに父はさっさと再婚するが、その相手・ナツコは母にそっくりな顔の女だった。そんな異物が家庭の中に紛れ込んでくるわ、おまけに転校先の小学校で酷いイジメを受けるわで、真人は逃げ場のない地獄に突き落とされたような日々をおくることになる。
真人をみていると、『もののけ姫』に登場する少年・アシタカを思い出す。映画がはじまっていきなり、アシタカは何の罪もないのに死に至る呪いを受ける。この点、真人とアシタカは似ている。一方、アシタカは呪いの元凶となる人物への憎悪を抑えることができたが、まだ幼い真人は湧き上がってくる憎悪に囚われる。
ナツコは真人の良き母となろうと懸命に振る舞うものの、真人は彼女を攻撃対象に定めてしまう。彼はナツコから何を言われても無言を突きとおし、素っ気ない態度をとりつづけた。ここまで他人へ残酷な悪意を向ける主人公というのは、宮崎監督作品では初めてではないだろうか。
だから今作は『もののけ姫』のアップデート版だと思った。再び少年に旅をさせて、遠回りをしながら自分を見つめなおす姿を描こうというのだ。ただ、その描写は『もののけ姫』のようなリアル路線ではなく、『崖の上のポニョ』や『ハウルの動く城』のようなファンタジー路線。パステルカラーの不思議生物がうじゃうじゃ出てくる愉快な世界だ。
そしてこの旅のなかでは、少年を勇気づける「強いヒロイン」も登場する。こんな抜群に可愛くて肝の据わったキャラをよく作り出せるなと毎回思う。
ちなみに今作は、宮崎監督が愛する児童文学『失われしものたちの本』(ジョン・コナリー)がベースとなっている。読めば映画の理解がさらに深まるはずだ。
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