君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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私たちは生きていく
宮崎駿監督最新作。
あれ、『風立ちぬ』で引退しなかったっけ?…なんてのは『もののけ姫』の時から毎度の事。
引退詐欺なんてよく言われるけど、きっとこの人は、新作を発表するとやりきって燃え尽きて引退を表明するけど、暫くしたらまた創作意欲が湧いてくるんだろうなぁ。毎回毎回それほどの入魂って訳で、何だかんだ新作を見れるのはやはり楽しみ。日本のみならず世界にも誇る宮崎駿=スタジオジブリ!
でも今回こそ本当に最後の作品になるかもしれない。宮崎監督は現在80歳超え。次また新作作るにしても5年~10年はかかるだろうし、年齢的に見ても。
それをこの目で見て、しかと受け止めたい。新作の度に昔の方が良かったと気の毒なくらい言われ続けているが(世間には高慢な輩が多すぎる)、長年に渡って我々を楽しませてきてくれた宮崎映画なのだから!
にしても今回は異例だった。言わずもがな、7月14日の公開初日まであらすじも声の出演も主題歌担当も非公表。それどころか、予告編も流さず一切宣伝もせず。全ては公開されてから分かる。
映画は宣伝して話題を作ってなんぼなのに、この徹底ぶり。『~SLAM DUNK』方式なんて言われているけど、極力宣伝を抑えて逆に興味を惹き付ける手法も面白いと言えば面白い。個人的にその昔、『トゥルーマン・ショー』なんて情報を抑えて公開すれば面白かっただろうに。
情報化社会の今。予告編でバンバン映像を流し(一番の見せ場すら)、SNSで調べりゃ公開前にネタバレすら出てる事も。そんなんで新作映画を見て果たして本当に面白いのか…? 映画は新鮮な気持ちで見たいのが本音。この点、今回のNO宣伝の仕掛人の鈴木Pと意見は等しい。
情報も出さず宣伝もしなかった事ですでに色々言われている。
ジブリの新作は9年ぶり(『アーヤと魔女』? 何それ?)。このブランクは予想以上に大きいと思う。ジブリはレンタルや金ローで見るものと思っている若い客層を劇場に誘う事出来るか…?
TVドラマやアニメシリーズを倍速で見、映画をネタバレ見てから見る今の世は、秘密のベールに包まれたこのスタジオジブリ最新作をどう見るのか。
公開から2日経ち、声の出演や主題歌担当などすでに情報がちらほら漏れ始めている。もうこれ以上待てないので、当初は休みの明日(月曜朝一)で観に行く予定だったが、仕事終わりの今日(日曜夜)急いで観に行く事にした。
宮崎作品の宿命。早くも賛否両論真っ二つ。
まだ数日しか経っていないのに、もうレビュー投稿数は500超え!
さすがは宮崎…!
見た直後の率直な感想を単刀直入に。
確かにこれは賛否分かれそう。
これまでの宮崎/ジブリ作品のエッセンスは詰め込まれている。それを醍醐味と見るか、新味ナシと見るか。
終わり方もあっさりで物足りなさも感じる。作品的にもあれやこれはどういう事だったのか、もっと情報が欲しい所。
でもその分、考察のしがいはある。
『もののけ姫』だって初見時は難しく、賛否分かれた筈だ。何度も見ていく内に、見て考察していく内に、人それぞれの鉱脈を見出だした筈だ。
本作だって同じ。すでに意味が分からないと酷評意見も多い。
分からなくて当然だ。初めて見るのだから。
これは自分に合わないと見るのもいい。分からなかったらまた見るのもいい。自分に合い、色々考察してまた見るのもいい。
新たな作品を見るは、異世界への冒険。そういった意味では、れっきとした宮崎作品だ。
個人的には、宮崎作品のベストとまではいかなかったが、そう悪くなかったと思う。宮崎/ジブリの王道的作品を素直に楽しめた。
それを踏まえて、自分なりの考察を。
※※がっつりあらすじやネタバレに触れてますので、まだ見てない方はこの先は絶対に読まないで下さい※※
まず予告編も流れていなかったので、本作の映像を見るのも初めて。
2014年に一時映画製作から撤退し、多くの逸材やアニメーターが離れたそうで、クオリティーを心配したが、あぁちゃんとジブリの画だ。
やはりジブリはセル画アニメ。ビミョーなクオリティーの3Dジブリなんてない…?
舞台は戦後直後。こう始まるのか…。
今まで伏せられていたあらすじだが、要約すると…
戦争で母親を亡くした少年・眞人。軍事産業に携わる父親は亡き妻の妹・ナツコと再婚し、相手の屋敷で暮らす事になる。
広大な敷地には池もあり、鷺が飛ぶ。裏山には古ぼけた塔が…。
不思議な塔が気になる眞人。
ある日ナツコが姿を消す。塔の中に消えたかのように。
眞人は鳥人間のような青鷺に誘われ、塔から異世界へ足を踏み入れる…。
これまでの宮崎/ジブリ作品のみならず古今東西のファンタジーを詰め込んだような話や設定、展開だ。
現実の世界で心の傷を負う主人公が異世界での経験を通じて生きる意味を見出だしていく。本作の主人公・眞人の場合、母親を戦争で亡くした事が深い痛手となっている。それ故父親や新しい母親になるナツコに隔たりを感じている。性格は真面目で誠実そうだが、跳ねっ返りの面も。
異世界の描写は美しい。さすがはジブリ。
が、全てがファンタスティックで美しいだけじゃない。暗や死、滅びの陰も。
何処となく異様でもある世界観は『不思議の国のアリス』を彷彿させた。
我々の世界が“上の世界”と言っていた。ならば地下世界…? 否。
その昔、空から落ちてきた石によって出来た世界。いや、通じ、開いた世界というべきか。
我々の世界とは全く異なる。単純に異世界でもあるし、死後と通じる世界でもあるし、現実世界や自分の心が反映されたような世界でもある。
この世界へ通じる塔は『千と千尋の神隠し』の不思議のトンネルのようだ。屋敷内も湯屋のよう。
謎の少女・ヒミとの出会いや誘われた洋風世界はジブリの洋ファンタジーのような世界。
このヒミと眞人の関係…。『思い出のマーニー』のようだ。
毅然とした眞人の姿や弓矢を構えた姿などは『もののけ姫』のアシタカだ。
戦争時代は『風立ちぬ』や『火垂るの墓』と通じる。
他にも彷彿させる点や要素も。
ジブリ異世界には個性的なキャラは付き物。奇妙なキャラもいれば、まっくろくろすけのような新たなマスコットにもなりそうなキュートなキャラも(“わらわら”と言ったっけ)。
食指そそる“ジブリ飯”も勿論。
ジブリはジブリだ。
同名小説はあるが、その映画化ではなく、宮崎のオリジナル・ストーリー。
見ていて眞人は、宮崎の少年時代を投影したのではと思う。
年代的にも同世代。好奇心旺盛で小生意気。
宮崎は同タイトル小説に多大な影響を受け、眞人も小説を読んで涙する。
眞人…いや、宮崎少年はこの異世界での冒険を通じて何を見出だしたのか…?
現実の世界なんて悲しい事、嫌な事、辛い事ばかり。眞人もそう言っていた。
だからつい我々は、別の世界へ行きたいと思う。現実逃避でもあるし、最悪の場合この世界から旅立とうとも…。
別の世界が理想的な世界とは限らない。より過酷で現実的で、試練を強いられる事も…。
あの異世界は生まれ変わりの世界とも考えられる。何かの事情でこの異世界に落ち、必死に生まれ変わろうとする。
本当の生死でもあるし、眞人のように生きる活力を見失ったものがまた生きる活力を取り戻していく。
独りぼっちだと思っていた。が、ヒミ、キリコ、青鷺…。
異世界で友達と出会えたように、きっと現実世界でも見つける事が出来る。改めて触れる事も出来る。見守ってくれる父、ナツコ、おばあちゃんズ。亡き母も…。
君は生まれ変わる事が出来るか。
確かにちとストーリーに分かりづらい点はある。と言うか、突然話が飛んだ?…と思った点も。
公開まで唯一の情報だったポスターの“鳥人間”。なるほど鳥がモチーフにされているが、青鷺やインコやペリカンなどどういった意味合いがあるのか…?
不思議な異世界ファンタジーの雰囲気は充分だが、胸躍る冒険活劇心は今一つ触発されず。
これは心の彷徨を描いた旅であり、深いようで抽象的でもあり…。
本当に宮崎作品の中でも好みが分かれるだろう。良くも悪くも。
まだまだ把握出来てない点も多々。
伏せられていた声の出演だが、眞人にはこれからブレイクするであろう若手俳優を配し、周りはこれまた豪華。菅田将暉は『打ち上げ花火』や『シャザム!』吹替では下手だなぁ…と思ったが、今回はなかなか良かったのでは。キムタクも脇に徹してた。木村佳乃は何だか艶があり、柴咲コウやあいみょんらも好助演。
同じく伏せられていた主題歌担当は、米津玄師。宮崎×米津…果たして合うのかと思ったが、エンディングを美しく謳い上げた。
久石譲の音楽も言うまでもなく。
眞人は終盤、思わぬ人物と会う。その人物から託される。
新しい世界の創造。
世界は悪意に満ちている。少しバランスを崩しただけで崩壊してしまう。積み木のように。
新しい世界を美しい世界にする事が出来るか、醜い世界にしてしまうか、君たちの手に掛かっている。
大おじから眞人へ託された新しい世界の創造は、宮崎から今を生きる若者たちへのメッセージだ。
いつの時代、どの作品でも宮崎は問い掛けてきた。
生きるという事。
死ぬという事。
立ち向かう事。
切り開く事。
冒険する事。
夢を持つ事。
愛する事。
自分自身の手で。
君たちはどう生きるか。
宮崎駿からの直球の問いに、我々も直球で応える。
私たちは生きていく。
宮崎駿のプライベートフィルム(俺はこう生きた)
ジブリのエンターテイメント新作ではなく、
世間的に大きくなった宮崎駿という人物をエンターテイメントとして見る作品だと感じた。
監督の最後の作品というだけで、事前情報なしに鑑賞。
冒頭は遺作かぐや姫と対応するような表現。
奥さんと昔から関係があったことをほのめかすようなセリフ
結果をわかりながら自傷した主人公の子供的なずる賢さ
子供を守る正義を得て活き活きと力を振るう父親
など、ジブリでは見せてこなかった人間的な多面性(負の部分)を出しており、リアル路線で主人公の動きとともにテーマに迫るのかなぁと思っていた。
が、途中から次第にファンタジー要素が強くなり、構造的には千と千尋のようなあちらの世界にいき戻ってくるというストーリーに。
あーファンタジーものかぁと思っていたら全然整合性がない。
どうもすべてがバラバラで途中から考察して追うのは無粋だと感じ始めた。
時間:登場人物の年齢
空間:場所
登場人物のモデル:主人公は監督自身であったり息子であったりと、場面によって登場人物のモデルが変わる
場面の背景:銀河鉄道の夜、不思議の国のアリス、セルフオマージュ、多分もっと色々な作品が散りばめられている
こういったものが一貫性がなく、交差しながらストーリーらしきものに繋ぎ合わされて進んでいく。
主軸となっているのは監督の感情・メッセージであり、それが場面場面で強烈に表現されている。
しかも一貫して整理されている訳ではなく、その場(主に制作人生)で感じてきたであろう迷い、想い、後悔といった生の感情をそのまま表現してぶつけてみようという感じを受けた。
想いの場面を映画の構成要素に当てはめ繋ぎ合わせて、最後まで持っていたような印象だ。
ゆえに物語を楽しものうとすると訳がわからない。
監督がどういう想いをこの場面に乗せているのか、というのを受けとるように鑑賞した。
息子と監督、監督と母、観客やファンに対して、などなど
多分に大衆に向けたというよりプライベートな感情が乗っているよう感じ、ある程度ジブリと監督のバックグラウンドを知っていて興味があれば楽しめる作品かもしれない。
エンディングに向かうにつれ、これは今まで制作人生や制作してきたものをどう考えているのか、またそこから視聴者を解き放ちそれぞれの人生を生きてほしいという、詰まるところシンエヴァと似たようなことを言っているのかなぁと感じた。
ただディティールはもっと心象風景と相まって生々しくて、作品が生まれる聖域やそれを守ろうとする王国であったり、制作の原動力となる得体のしれない黒い石であったり、やっぱり映画にこもっているものは純粋な綺麗なものもありながら清濁こもったものとして捉えているように思えた。
この石には悪意がある、と言っていたが、制作者の業というか、自分の思想を乗せて大きく世間に影響を与えた監督がもつ恐怖や自責の念みたいなもの持っているのかもしれない。
映画館から出てこの感想を書いてしばらくしたら、私は普通のインコに戻ります。
石のかけらを持って帰っても、どうせすぐ忘れちまうよ(残って欲しいエゴと、それでいいんだという気持ちと感じた)、と監督は言っていましたが、幼少のころ実家に帰るたびにみていたラピュタ。
冒険のワクワク感、パズーの前向きな男気、漫画版ナウシカのそれでも生きていくという力強さ。隠された悪意と対局にあって共存して含まれていた、監督も信じたであろう人生の光や希望といった理想はたぶんこの先も私の中で生きていくと思います。
ジブリに限らずよい作品ってそういうもんでしょ。
私的にはこういう内面むき出しの作品はすごく好きなので、理解できなかった部分も含めてまた鑑賞しようと思う。
さて、あなたはどう捉えるか?
最小限に留められた主人公の台詞。
贅沢なほど、散りばめられた間。
度々登場する、不思議な物体や動物たち。
眞人が転校先で孤立する場面転換は最小限で秀逸だったし、常に観るものに対して、「あなたはどう捉えるのか?」を監督から投げ掛けられているように感じた。
どちらかというと、映画の過程に重きを置かれてるように感じた。
しかしながら、結論に達した時、腑に落ちた。
起きた出来事に対する葛藤、心揺さぶられる体験に直面した時、自分のなかに何を思うのか?
映画みたいに、日常生活でなかなか起きることではないが、自分を見つめ直す際、自分の固定概念が崩されるような体験は、その人の本質を問われるのではないか、そう思えてならない。
初日と次の日に連続で観たレビュー(多少のネタバレあり)
★①初回鑑賞後のネタバレ無しレビュー★
(基本、ネタバレ無し)
この映画、事前情報通り、確かに【冒険活劇ファンタジー】ではある
最初から最後まで、夢か現か分からない表現や展開
普通の建物、普通の人々でさえ“普通ではない違和感”を感じるのは、主人公の心の内面を表現しているのか
いや、全てが夢まぼろしの世界観だったのかもしれない・・
“あの世界”は黄泉の国なのか、業苦の果てなのか
全てにおいて、イマジネーションの渦であり、観念的
たぶん、創造された宮﨑さん自身も、訳が分からない部分が沢山にあるんじゃないのかな
少年の“選択”による“結果”??
世界を変えるのは、それぞれの考えや行動??
これは、宮﨑さんの遺言か・・
いや、宮﨑さんは元気なら、100歳でも作品を創り続ける人だと確信はしてますが(^^)
・・全ては観てのお楽しみ・・
そんな体験ができる映画は、これが最初で最後かもしれませんよ!(> _ <)
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★②二回目鑑賞後の感想と考察★
(多少ネタバレあり)
<睡眠中の夢>
(この映画は、宮﨑さんの見た夢だ! 夢の中の物語なんだ!)
本日、二回目の観賞の序盤で、モヤモヤ感じていたことがいっきに鮮明になり、確信できた気がした
【宮崎さんの見た夢】というのは、後述する【宮崎さんの幼少期】をある程度知っているからの表現であり、一般的には【睡眠中の夢】を基軸の一つとして描いた作品といえるのだろう
(映画の中での)現実描写なのに、【現実味の無さ】【不思議さや不気味さ】という違和感。通常にはなさそうな人々の行動、節目節目に入る【目を覚ます描写】
また、観ている側が【夢を思い出そうとすればするほど忘れていく】かのごとく、いま観ている場面の前の場面がおぼろげになっていくような仕組まれた演出
これらだけではないけれども、【夢】を連想する表現や演出が沢山に盛り込まれていると感じる
<宮崎さんの幼少期>
【風立ちぬ】の序盤の二郎の幼少期と本編の印象がかぶって感じるのは、宮﨑さん自身の経験がどちらの作品にも大いに入っており、それを感じるからだと思う
そこが多分、鈴木プロデューサーが言うところの【宮崎さんの自伝的映画】なのだろう
【鬱屈した主人公】を描くのも、宮﨑さんの作品では初めてであるが、これも自身の幼少期の鬱屈した経験を、初めて映画の中に込めた(込められた)のだろう(※鬱屈した主人公は、影のあるハウルや、世間知らずだった千尋、業を背負ったアシタカとは違う)
ただ、宮﨑さんの生い立ち、幼少期から青年期の事を詳しく知らない人にとっては、当然ながらその印象にはならないので、【隠された基軸】ということになるんでしょうね
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僕の考察ですが、今回の映画は【睡眠中の夢】と【宮崎さんの鬱屈した幼少期(青年期も?)】という二つの基軸が、物語の大きな軸となっていると思います
その分、テーマ性がぼやけたのかなとも感じるけれども・・ そこは宮﨑さんのこと! 狙ってぼやかされたのではないかと思いますね
・・ちなみに
今日現在、スタジオジブリ公式Twitterなど出て回っている画像も【ブラフ】だったりすること(笑)も含めて、ぜひ劇場での【初体験】、楽しんでください(^.^)
そして僕は、ニュースや報道の中にある【宮崎駿の集大成】だとは思っていないことを、追加で申し上げておきますm(__)m
見渡すと泣いていたのは私だけ。でも間違いなく集大成。
嫌いになりたいけれど嫌いになりきれない。
受け入れられないけれど受け入れないといけない。
自分だっていつも正しいわけじゃない。
弱いまま清濁飲み込んで生きていく、絶望の中の希望が描かれていると思いました。
大叔父様は宮崎駿自身で、自身が作ったアニメの世界を無理に後継させず、別れることを受け入れ、若い世代に汚く理不尽な世界の中で自分自身の物語を紡ぐことを期待する…そんな遺書のようなメッセージを感じ、終演後は寂しさに浸ってしまいました。
残された私たちは目の前の積み木を積み上げていくしかない。
明日から頑張ろうと思える作品です。
最近流行りの過剰に綺麗なorグロい表現はありません。また、おとぎの世界で繰り広げられる事象については時系列の繋がりや物体の意味はほとんど説明されず、考察中は考察しがいのない演出となっています。ジブリ飯もほとんどでてきません。事前にCMを出さなかったことや声優が分からないこととも合わせて商業主義からの脱却を図ったのかなと思ってます。
メッセージ一本で通そうとする、監督とプロデューサーの本気を感じました。
青鷺と現実世界
火事で母を亡くした少年、眞人。
戦争が始まり4年。東京から地方の大きなお屋敷へ移住。そして父親と再婚した母の妹がいる。
そこには青鷺がいる。不思議なパラレルワールド。
風立ちぬで消化出来ずに創られたのでは。
自分が持っていた母親への投影。父親の姿。
高畑勲さんや吾朗への思いをキャラクターに被せて。
別世界から色々な話を持ってくる鈴木敏夫さん
っぽい青鷺。
彼らが世に出してきた13作品に対して、自分達は
こうしてきた。人はいずれは死ぬ。
現実世界は糞まみれの嫌な世界だけど。
君達は何か残せるのか?
残したきたのか?
どう生きる?と問われてる感じが。
集大成的な気持ちと別れのニュアンスを感じる
作品でした。
駿がいっぱいコレクション
例の絵以外ネタバレ厳禁らしいので。
宮崎駿の遺作ですね。個人的には富野監督の∀とレコンギスタに近いかも。
ナウシカや千と千尋のようなファンタジー、風立ちぬのような現実世界の戦争、もののけのような自然描写と、いろんな世界を行ったり来たり。ファンタジーや戦争や自然など、描写ごとは綺麗なのは駿さんの特徴。声優を使わないからザルな演技が目立つのも駿さんの特徴。キムタクを使うなとあれほど言ったのに。
多分、大叔父様=駿で、大叔父様が調整してきた世界=駿さん作ってきた作品は間違いないかと。それを「子供が次は積み木の石を組み立てる」「モブがほとんど鳥=烏合の衆=一般人が好き勝手言って勝手に変なダメージを受けたり気に入らないから一刀両断する」「烏合の衆が、生み出す力を持つ人を好き勝手食い物のする」とかのメッセージを入れてるんじゃないかと思いました。
ただ、話の前後や関係性が支離滅裂。懇切丁寧におしめから墓場まで説明する必要はないけど、突拍子がない場面が多々あり。駿というフィルターをかけても、映画としては駄作。考えていることはわかる、わかる人には一部メッセージを受け取れるかもしれないけど、難解すぎるのと話の脈絡がなさすぎるので、この点数。昔の駿さんだったらもうちょっと綺麗にまとめたり表現したと思う。
個人的な解釈としては、「これまでこんな世界を駿は作った」「駿には世界がこう見えるし、とらえられるし、表現できる。駿はこう生きた。」「そんな世界の中で、自分の考えを主張したり、表現したり、貫き通したいという人に対して、『君たちはどう生きるか』を問いかける」というアートに思いました。
エンターテイメントの「ジブリのアニメ映画」としては駄作だけど、宮崎駿がこれから生きる人達(特に創作に関わる人達)に投げかけるメッセージとしては興味深い。告白本とか、そういうものに似ています。見た方がいい駄作、と私は思います。
何回か見直したい作品かな。
正直ジブリの作品を劇場で観たのは今作が初めて。
最近思うのはアニメを劇場で観るとジブリのような淡い色合いは画質により汚く見えてしまうのが残念です。
今作品は全然情報を出さないでの劇場公開されたせいか全く世界観がわからない。
ただ言えるのは、庵野秀明や新海誠など足元にも及ばないほどの天才であると感じた作品です。
アニメーション、絵の動く表現に新しさがあり、又メタ的表現が沢山散りばめらています。
最後のほうの主人公と少女キャラの抱擁シーンは、未来少年コナンのコナンとラナに見え懐かしく思いました。
宮崎駿さんがエヴァを作ったらこうなるのかもしれませんね。
2回目観ました。そこで初めて唐突に出て来る言葉、"石"や"木"が何であるかが何となく分かってきます。
宮崎駿にまだまだアニメを作って欲しいですね。
難解だけど面白かった
とても難しかったです。
描写全てに理由がある感じがしませんでしたが、子供時代かつ異世界的なものなのでそれも普通かなと思いました。
そんな異世界でも助けてくれる人がいてハッピーエンドになったところは良かったです。
自分の感覚としては、エンデのはてしない物語の読後感に似てました。
自分も忘れてるだけであの世界に行ったことがあるのかも、と思うとちょっとだけ人生が楽しくなる気がします!
自分は見てよかったと感じた
まず、すべての画に力があり、美しい人物や美麗な背景がハイテンポで動いているだけで迫力があった。
ジブリスタジオ特有の、生き生きとした動物?も所狭しと動き回ったり画面を埋め尽くすシーンがあって、これは映画館で見る価値はあるな、と思った。
音楽も素晴らしかった。緊迫したシーンや盛り上がりによく合っていた。
ストーリーについては…評価しづらいが、万人に響くわかりやすいストーリーではないだろうなとは思った。
物語に伏線や論理性を求める人には向いていないと思う。子どもにはきつそう。
大人になった自分には、なんとなくであるが描きたいとのはぼんやりわからなくもない…気がする。
少年が頼りない子どもに味わった戦禍の恐怖(炎への畏怖)や母を失った痛み、新生活を始めようとする父親への複雑な愛情と反発、図々しく馴れ馴れしく自分に接触しようとする叔母(しかも妙齢の美女)。
田舎に来たのもすすんでではなかっただろうし、疎開先のすべてが嫌で、衝動的に頭に石を叩きつけたのだろうと解釈した。
同級生に罪をかぶせたいとか学校に行きたくないとかそういう話ではないだろうと思う。
青鷺が序盤に不気味な誘いをかけてくるのは、少年の逃げたいでも逃げられないという葛藤が表れていたのかな。
少年が叔母を助けに行く、と決意して異世界に足を踏み入れてからが、物語の転換点。
夏子が異世界に行ってしまったのは、彼女もなにかに誘われて、その誘いに堕ちたからかもしれない。
少年を大嫌い、と言ったのは、隠してきた本音なんだろう。
でも、甥にもあたる、慣れない環境に耐えている年若い少年に悟られるわけにはいかない。
無事な出産のためにはここを離れなければならない…と思ったのかな。
産屋には魔除けの呪いのようなものもあったし、悪意あるものから母となる女性を守るための場所なのかもしれないと思った。
少年は紆余曲折あったものの、見事凛々しく強い女性たちや、友になった青鷺と力を合わせて、自分と叔母を助けることに成功して、その成長で現実世界に帰ることができたし、これからも力強く生きていけるだろう。
辛いときでも、一人でも、できることを考えて、努力して、人と心を通わせることを覚えたからだ。
このあたりのメッセージ性には、千と千尋の神隠しを思い出した。
前評判のなさと宮崎監督の暴走で物語が破綻しているのではないかと危惧しながら映画館に来たが、思いの外興味深かったし飽きなかった。
難解ではあると思うが破綻はしていないし、美麗なアニメーションの中にメッセージ性がちりばめられている。
個人的には、和と洋がごちゃまぜになっているあたりに
(純和風のお屋敷の中にあの洋館・異世界の建築物・伯父さんたちが洋風。夏子さん一過は普段は由緒正しく和装を身に着け破魔の弓を扱っている)
暗喩がたくさんあるのかなとは思ったが、他の方の考察を楽しみにしたいと思います。
君たちはどう生きるか
ジブリ作品のごった煮みたいな作品。
私はずっとジブリ作品を観ているので面白かったけど、ジブリをあまり観たことがない同行者は途中眠たくなったそう。
正直なところ宮﨑駿監督がこの映画を通して何を伝えたいかは分からず、しかしながら
戦禍の自分の世界を捨て、大叔父の積み上げてきたものを引き継ぎ、自分の世界を作るより
この異世界を進んできたように友達と立ち向かう眞人の決意はしっかり伝わった。
ヒミが眞人を生むために、元の世界に戻ると言うシーンもうっかり涙が出そうに。
キャストが豪華。キムタクと柴咲コウはいっぱつでわかったが、他はまったくわからなかった。特に菅田将暉さん。
ヒミ役のあいみょんさんも良かった。
駿の気持ちが分かるすごい映画
子供むけを放棄した覚醒宮崎を見れるのは面白い。
この映画は冒頭のシーンで完全に子供むけを放棄している事がわかる。
この映画を見やすくする方として、石がなにを象徴しているかを知るというものがあります。この映画での石は墓石(死)、権力、わんちゃん日本社会です。
この映画の雰囲気を表すシーンを紹介します。キャラ名は忘れたのですいません。
母親は異世界で地獄の火見たな感じで登場。
そんで、かわいいもふもふを守るためにもふもふごとペリカンを焼き殺す。そんで、ガキがもふもふが死んでることを指摘する。若返った異世界ババアが「やったー」みたいな感じになる。このシーンは全体主義の否定と肯定が入り混じってるように見える。でも、最後の方で今の石は悪意で汚れてる的なことをいってます。まぁでもやっぱりあそこで焼かないともふもふは全部死ぬから、きれいな心のガキが言うことも正しい訳では無い。つまり、いいか悪いかわからん。
で、今回の映画はこんな感じのシーンが沢山あります。答えがあるようで無いです。これが人間の気持ち何でしょうね。考えても分からない。でも考えちゃう的な映画ですねきっと。
宮崎駿の頭の中
不思議な世界観をドロドロに浸れる映画。これまでの、「火垂るの墓」「ハウルの動く城」「借りぐらしのアリエッティ」などをミックスしたような世界。監督の頭の中を覗き込むとこんな世界が見えるのではないかと感じた。見るときは、期待してもしなくてもアートとして見れば面白いかもしれない。
何度でも見たい作品
宮崎駿監督の精神性はますます高まっている。
感受性も更に研ぎ澄まされてきている。
随所でそう感じさせてくれる作品。
好みは色々あると思うが、私にはとても刺さった。
世界は危ういギリギリのところで持ち堪えているが、
この素晴らしくも醜い世界のために、
わしたち一人ひとりがどう責任を果たしていくことができるのか。
そう問いかけてくる作品でもあった。
宮崎作品の総決算として、今までの多くの作品のオマージュも盛り込んで楽しませてくれるサービス精神旺盛な作品でもありました。
この作品を届けてくださった宮崎駿監督や鈴木Pはじめ作品に関わった全ての皆様に、感謝申し上げます。
画の表現力
戦時中の空襲で焼夷弾の火の中を駆け抜けるシーンや戦後の焼けた街並み、残った歴史的な建物。冒頭30分は絵の迫力に見惚れました
前編と後編の2つのパートに別れる作品です、後編はやや中弛みする場面もありますが、千尋の黄泉の世界のような表現が美しすぎて覚醒したり、終盤になってヒロイン級のキャラ登場など、普通の映画とは異なる作りになっています。
(エンドロール含め)
画が綺麗ですが写真のような細かなリアル感という訳では無く、創造と表現力が凄いと思います。
継母からは女性のしなやかさ、優しさだけでなく、強さや時には怖さも感じました。
前評判が悪かった分ハードルが下がったのか解りませんが、自分は宮崎駿ラストの作品として感慨深く観る事が出来ました。
でもこの映画
続く事も十分可能ですよね?
別のドアから戻った子も含め、その後が気になっています。
とてもよかった。
とてもよかった。
友人と見た後、それぞれが映画の余韻に浸って会話が途切れがちになった。
*ここからネタバレあり
まず、車を引かせて主人公を迎えに来た義母の姿を見て驚いた。
宮崎駿の母親の顔に、実によく似ているのである。
彼女は実の母親の妹であり姿もそっくりなので、主人公と宮崎駿が妖しく溶け合っていく。
そしてアオサギ。
最初にアオサギが喋るシーンでゾクッとした。
「お母さん」
しわがれた声で主人公の心の叫びを揶揄する姿は悪魔的である。
屋敷の造形も素晴らしい。
あちらの世界に行っても、ファンタジーなのに現実感がある。薄っぺらくない。作り物感がない。
宮崎駿は風立ちぬから死後の世界を描き出しているが、今作はその傾向がより強まったと見ていいだろう。
死の気配が漂うその世界は静謐であり、恐ろしいが美しい。
ファンタジーの世界なので説明のつかない現象がおこるが、われわれの世界だって説明のつかないことだらけである。気にすることはないのだ。
ラストもよかった。ヒミが病院で焼け死ぬことになっても、あなたを生めるから構わないと言って母親の少女時代に帰って行く。
男は80代になっても母親からあなたを生んでよかったと言ってもらいたいのだと思った。
義母でもあちらの世界に行けるのに、父親である木村拓哉は、助けたくても行くことができず、社会的な問題でしか主人公と関われないのは、将来父親になる自分には悲しいことである。
友人とは、義母があちらの世界に入り込んでしまったのは、あちらから呼ばれたこともあるだろうが、戦争ばかりの世界で子供を産みたくないと自分から望んで行ったのかもしれないねと話し合った。
有意義で楽しい時間だった。
宮崎駿ワールド
暗い戦争という現実の世界と、その中で生きる人の心の深淵という、またまた暗い世界を、ユーモアのあるキャラクターと、魅力的な建造物、美しい風景で軽やかさを出した、冒険ファンタジーになってました。
宮崎駿作品の、何処かで見たことある世界だな…と。でも入り口の戦争の場面がなかなかリアルで怖い。この映画が戦前の子供達へのメッセージにならないことを祈ります。7年前から制作して今のタイミングでの公開…宮崎駿はなんだか鋭い。主人公の心情は宮崎駿自身なのか?戦中に生まれた自分は、きれい事ではない現実の中、こうゆうものに目を向け生きてきた。君たちはどう生きるか…
ひとつだけ最後まで解らなかったのが、青鷺。お前は誰だ?!他は人間か鳥なのだが…
鑑賞前には読まない方がいいと思います
何の情報も無く映画を観るのは、映画館に向かう前からドキドキ感が始まる。はたして、面白いのか、面白くないのか
鑑賞中も出来る限り聴き漏らさないように、メッセージを感じるために集中
これだけでも、この映画は価値がある。
だからこそ、私は何の答えもないままに感じたままに感想を書きたいので、私の感想は、正しいわけではないので、参考にしないでくださいね。
宮崎駿監督は、いつも子供の無限の想像力、可能性を信じて大切にしてくれているかと思います。
それは世の中に取って大切なんだと伝えると同時に、大人への成長を応援してくれていると感じます。
この作品も同じく、母親を亡くし、父の再婚に葛藤する主人公眞人の成長のストーリーだと思います。
親の元で守られていれば、汚い現実を見ることなく、世の中は綺麗なものに囲まれているように感じます。
夢は人を救う事もあれば、人を閉じ込めてしまう事あります。
綺麗な夢を忘れてはいけないけど、現実に立ち向かう勇気もいる。監督は、さあ、君たちどうやって生きる?どうやってこの世の中を生きていく?と問い、応援してくれていると感じました。
経済の不安定さ、戦争、自然環境の変化、様々な不安の中、それでも生きていかなくてはいけない。
そんななかでも、子供の夢を無くさせてはいけないと、大人へのメッセージも感じます。もしかしたら物語の作り手へのメッセージなのかもしれません。
細かい疑問はたくさんあります。
ペリカンは、子供を運ぶ鳥なのに、あの世界では悪者
子供を現実の世界に連れていくから?
それとも、眞人が生まれてくる子供を望んでないから?
お母さんは、いつからあの世界にいた?
夏子は何故あの世界に行った?
私の想像力の限界です。
必ず2回目の鑑賞をしたいと思います。
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