君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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ストレートなメッセージ
宮﨑駿監督は「自分でも何を作っているのかわからなかった」と仰っているようですが、私にはとてもストレートなメッセージが込められているように感じられました。
知識に凝り固まり、多くの生き物を犠牲にし自分の理想の世界を追い求める大叔父の行いは独りよがりです。
理想郷の建設のために生きるより、戦争と苦しみに満ちた現実に戻り友を見つけます、という主人公の答えが監督のメッセージではないでしょうか。
宮﨑駿のセルフオマージュが随所に散りばめられていて、ああ本当にこれが最後の作品になるんだな、監督は集大成を作っているんだと切なくなりました。作中に登場する墓は、監督自身の墓なのではないでしょうか。
映画体験としてすごく良かったです。
宮﨑駿の内なる世界
わかるかわからないかで言えばわからない。
観終わってからじっくり考えて、大叔父は宮﨑駿自身のことで内なる世界をギリギリ保ちながら眞人のような後継者が現れるのを待っているんだろうか、とか、あの塔の中は誰もが皆、生と死の間の存在なんだろうか、とかぼんやり考えてみたけど正解はわからない。
もしかしたら宮﨑駿自身も明確に私達に伝えたいことが定まってる訳ではなく、今の自分自身の中にあるものをありったけ出しただけなのかもしれない。まさに宮﨑駿の頭の中の世界。
咀嚼しきれてないからもう1回観ておこうかな。
言われてるとおりこれまでのジブリ作品のオマージュがあちこちにあってそれがわかるとちょっと楽しい。主役の眞人も今までのジブリ男子の色んな要素を持ってるし、今までの
ジブリ男子らしくない要素ももっている。(将来絶対イイ男になる!)
ネタバレではないと思うけど一応ネタバレ設定にしておこう。
家族の物語
肯定的評価の方は、アートだとか宮崎駿だからとか意味不明な理由で高く評価してる方が多く、レビューがむしろ映画を見る気をなくします。
この映画は、小学生の主人公が、母の死、父の再婚、疎開、義母との摩擦、それらに当然抱く感情を抱き、葛藤し、異界での経験を経て、互いを理解し、そして生まれてくるきょうだいも受け入れていく、そういった物語であり、その変化がうまく描写されていた。それが一番の魅力だと思います。
序盤、母の死を振り切ったかのような主人公、しかし、そうではない。初対面の主人公に唐突な接し方をし、波風立てる義母、しかし、それは、少しでも早く家族になろうとする故である。貧しい田舎で主人公を車で学校に送り、同級生との摩擦の原因を作る子供心の分からぬ父、しかし、実は愛情はあることが後の描写から分かる…
異世界…魂の根元が生まれる場所であり、黄泉の国のような感じもある、時間、空間を超越したところ…は、前情報なしに見ると、エヴァ的な、思わせ振りな用語か多く、そこに引っ掛かり、混乱するのはよく分かりました。低評価のレビューをいくつも読んでいたお陰で、そこはスルーして良いのだと分かり、本筋に集中できた。その意味でこの映画は低評価のレビューの方が意義がありました。
異世界の主である大伯父は書籍を愛する人、としか説明されなかったが、元々は世の中を恨んでいるような人、仲間のいない人であり、それがあの異世界に満ちている、新たな生命の誕生を嫌うような悪意の元凶なのだと理解した。新たに生まれる人間の魂や子供はペリカンに食われ、人のような妖怪じみたインコは人を食う…鳥は叔父が異世界に連れてきたとのことで、孤独な中、本と鳥が好きだったのだろう
しかし、主人公とのやりとりを見るに、叔父は自分が孤独であることを今は理解し、孤独に存在し続けることに嫌になっていた…それが後継者を求めた理由であろうと感じた。
他方、主人公は、世間への憤りはあったのだが、母が自分に書籍「君たちはどう生きるか」を残してくれていたことを知って愛を感じ、異世界を旅する中、義母の思い、父の愛情などを知り、大伯父に会う映画終盤には、世間への恨みは残滓となり、前向きな気持ちを持つに至っていた。
叔父から、この殺伐とした世界を受け継ぐことを提案されたが、主人公は断る。世間を恨んでいた自分が受け継いでも、良い結果はもたらせない…そして、それ以上に、元の世界に戻り、家族と一緒に暮らしたい!仲間を作りたい…
叔父は主人公に受け継ぐよう言いつつも、断ることを察していたし、受け入れていた。人とつながる人生は、本当は叔父自身が欲していた人生でもあるのだろう(異世界で孤独に暮らす中、気付いたのだと思う)
異世界は崩壊し、主人公、義母、青鷺、ペリカン、インコなど、皆現実に戻る…鳥は異世界では、巨大化し、しゃべり、地獄の鬼、悪魔的な存在だが、現実世界では普通の鳥に戻る
主人公の最初の友は、いさかい、助け合いを経て、深いつながりができていた青鷺であった…
その直後、すぐにラストの場面に移る。○年後、疎開先から都会に戻る玄関に家族がいる。セリフはわずかだが、弟がおり、自然なやり取り、柔和な表情… 違和感のない家族の光景である。
そんなストーリーだと思います。エヴァ的な、神話や考古学などに由来する概念や、何故?と思うポイントは沢山ありますが、そこを鑑賞時に深掘りしなくても良いし、何度も見たからそれが分かるヒントがある訳でもないと思います。どうしてかな…と気になるところは本などで調べる感じでしょうし、考察するのは楽しいと思います。しかし、視聴してもが分からない内容が本筋かのようなユーチューバーの解説は、害だと思います。
ジブリの歴史とか、監督の人生とかも引っ掛けてるところはあるのかも知れませんが、それも全く本筋ではないと思います。僕も、自分の人生を抽象化して描いた虚栄心に満ちた監督の映画か?と思い、しかし、話題だし、見てみないと何も言えない、面白くなければけなしてやろうと思っていたのですが、むしろ良く、その思いを伝えたいと思い、初めて書きました。
取り敢えず星4にしてますが、正規料金で見て全く、時間、金もったいないとは感じず、むしろ、昼食代ちょっと奮発しました
上にも書きましたが、マイナスレビューを見て、何が注意点か理解し、概要も把握した方が、本筋に集中できるかも…と思いますし、中身の全く当てにならないプラスレビューばかりなのが残念です
大物レビューに惑わされずに実際に見た方がよい。あと、宮崎吾郎が不憫
某Youtuberのレビューやここのネタバレレビューを見て支離滅裂、意味不明という先入観を持った上で見に行きました。
最初から外れ映画を見るつもりで見に行きましたが大外れ。非常に面白かった。
はっきり言うと、岡田某氏もだれもまともにレビューできないだろうという内容で、レビューはあてにならないから実際に見た方がよい。
確かに君たちはどう生きるかで、なんで前宣伝を一切しなかったのか理由も見たら納得した。
人によって解釈は違うと思うが、明らかにこういう風な取り方ができる。
大叔父:宮崎駿
塔の異世界:ジブリ
セキセイインコ:ジブリスタッフ
真人:宮崎駿の子孫(吾郎ではない)
ナツコ、ヒメ:吾郎ではない宮崎駿の親族・子孫
真人の父親:宮崎家のパトロン。ナツコもヒメも父親の子を孕むので、一見父親の血が重要だと思わせつつ、大事なのは大叔父の血を引くナツコとヒメの血を受け継いでいるということが重要。
おばばたち:従順で支えてくれるジブリファン
ストーリ:
大叔父(宮崎駿)は降ってわいた隕石(才能)を具現化するクリエイターで後継者を探している。実子(吾郎)の存在はあやふや。血を引いた人物じゃないと隕石を守る塔(ジブリ)の管理はまかせられないと思っている。塔の世界は時間が入り乱れており、姪も姪孫も同年代になったり、リアルな年代の姪もいたりする(まだ後継者は見つかっていない。いつか見つかってくれればいい)。
塔の中の異世界の中にいる大叔父は生きているかどうかも怪しい(この「君たちはどう生きるか」というアニメ映画の監督としての宮崎駿)。常に後継者を求めている大叔父は、自分の子孫に手当たり次第、アオサギを飛ばしてこの映画を見せてジブリの後継者を目指させる(そのために作ったと言える)。だから真人は(嘘ついたり不登校になったりするけれど)出木杉くんみたいな意思が固そうなよくできる男の子という設定。
塔の中(アニメ業界)に踏み込んだ真人は、いろんな困難にぶつかりつつも、自分が宮崎駿の血統にあるということを認識して、ジブリスタッフからの試練にも耐え抜いてついに宮崎駿を継ぐことを目指してほしい、という宮崎駿の願望がそのまま出ている。
今あるジブリはなくなってしまってもいいと思っている。最後インコたちが野に放たれるのはそのメタファ。宮崎駿はそういう考えを持っているけれど、君たち(ジブリスタッフ)は(これから)どう生きるか?と言っている。
つまり、この作品は、まだ生まれてもいないかもしれない宮崎駿の子孫が見ることを想定し、君たち(この作品を見た宮崎駿の子孫たち)は、どう生きるか(宮崎駿のこの後継者になってほしいという意思を受け継いでくれないかという誘いを受けて受け入れるかどうか)、と問うている作品であり、かつ、今のジブリスタッフについて、吾郎は後継者足りえないからジブリはこのままつぶすんで、これからの人生はジブリ以外で過ごさないといけないけれど、それにあたって君たち(ジブリスタッフ)は、どう生きるか(他のスタジオでやっていけるか)。と問うている作品でもあるわけです。
つまり、(まだ生まれてもいないかもしれない)親族と内輪のスタッフに向けた作品なので、前宣伝とかする必要がないので、宣伝しなかった、と解釈できるわけです。
今は意味不明作品と言われるかもしれないが、数十年、100年たって実際に宮崎駿の子孫が有名アニメクリエイターになったときは、内容が全部一本の線につながって生きてくる作品であり、宮崎駿最後の作品としてはこれ以上ない一つのプログラム(クリエイター宮崎後継者プログラム)と言える、ある意味傑作。
前評判に踊らされず(踊らされたけれど)実際見に行ってよかった。面白かった。個人の妄想をたれ流せられない有名レビュアーのレビューを見ただけでは誤解するだけなので実際に足を運んでほしいと思います。
あのトトロの絵がまたスクリーンで見られた。
情報が溢れかえるこの世界で、何も知らずに映画を見る選択肢を与えてくれたことがありがとうだし、そんなことができることそのものがスタジオジブリの、宮崎駿の功績。
それだけで見に来る人たちに向けた宮崎駿からのメッセージだったのかもしれない。
君たちはどう生きるか、母が眞人にあげた本を眞人は見つけて、きっと一気に読んだのかな。Wikiであらすじを見ただけだけど、眞人に似た境遇の主人公の物語だそう。母が伝えたかったことを眞人はしっかり受け取ったんだろうな。
一度は夏子を置いて元の世界に戻る選択肢もあったのに自分の意思で助けに行くことを選択した。自分の悪意を認められた。元々大人っぽいと思ったけど、眞人にとっては一皮剥けた大冒険だった。
自信はないけど各所にオマージュが散りばめられていたように思う。(メモだから記憶違いあると思うけど、もののけ姫のコダマ、狭い通路からポッと顔を出すのは千と千尋?、オウムと王蟲って掛かってるの?、大叔父様のが待っているガーデン、丘?庭を歩いているところはハウルにそっくりな構図があったような?、初めて塔に入る時はメイが森を覗く時みたいだったな、カリオストロの湖に沈んだ都市みたいなところもあった?そんなこと言ってたら限り無さすぎるか笑)
他の人のレビューで宮崎駿作品以外のオマージュもあるんじゃないかというのもあって、なるほどなと。(でもそんなこと言ってるとオウムの影に追い詰められるところとか、唐突に落ちてくる一輪のバラとか、ガラスの棺に入ってるヒミとか、ファンタジアですか美女と野獣ですか白雪姫ですかみたいになる気もするので考えすぎかな、、、)
最初の火事のシーンがすごくて、本当に怖かった。やっぱり画はすごく綺麗。動きも細かいし、CGと手書きが綺麗に混ざり合って、きれいだった。
かなり好き
タイトルだけを見たら説教臭い内容なんだろうかと敬遠してしまうかもしれませんが実際全くそんなことはなかったです。
歴代のジブリ作品の寄せ集めのような雰囲気でしたが、不思議と全ての世界観が調和しており違和感無く観ることが出来ました。ファンタジー過ぎず、適度にシビアな部分もある少し難しい大人向けの作品かもしれません。
宮崎駿アート作品
これは宮崎駿の自己表現の形かな、、
いろいろと自身の経験した世界を張り巡らしている。
宮崎駿の中に巡る様々な世界をうまく一つの作品としてまとめている。
そのまとめ方の美しさはまさに西洋絵画にみる傑作のそれ。+4。
ただ、その分宮崎駿の内なるもののコピー&ペーストによって、
映画世界の一貫性や深みは他の宮崎駿作品には劣る部分があるように感じた。
千と千尋やハウル、もののけみたいな一貫した世界での深い描写には欠けた感じ。
これは、主人公目線と宮崎駿目線とのバランスが原因なのかもしれないし、
宮崎駿監督が引退されて長いという"事前情報"が僕に起こした錯覚かもしれない。
とにかく、この部分について僕自身が期待したものに足りなかったので-1。
宮崎作品の安定して優れた映像表現は顕在している。
なんなら冒頭の映像は過去を超越していて圧巻だった。+1.5。
以上は初見の感想で、
考察してるサイト等で学習してからもう一度見ると、
ただただ最高の作品でしかなくなる。潜在的な評価は5。
とても濃い
全く予備知識無しで観に行った作品は初めて。
こんなにワクワクしたことはなかった。
ジブリ作品だと、もののけ姫やナウシカ、ハウルが好きなわたしはわりと重たい作品が好きなんだなと自覚しているが、今回の作品はどうだろうと心躍らせていた。
上映直後、空襲警報がなった時、あぁ、戦争映画なのかと少し怖くなった。(恥ずかしながら、風立ちぬは観ていない。)
序盤の眞人の母が火事に巻き込まれ、眞人が母の元へ走るシーンで、とにかく画面から溢れ出る、ジブリという、宮崎駿という世界観に圧倒されて涙が出てしまった。
このとても濃いジブリに、宮崎駿に2時間浸れると思ったら心が震えた。
今までのジブリ映画のワンシーンを切り取ったような場面やキャラクターの仕草などが散りばめられてると感じた。
ジブリの走馬灯を観ているのかと思った。
世界が崩れてしまった後、石を積み立てていたおおおじさまは、眞人が生きる今に還ったのかな。
わたしたちはきっと言葉で表現しなくても感じ取ることができる、この濃いジブリの世界が大好きなんだ。
映画終わりに拍手したくなった映画ははじめて。
賛否両論があると前情報を得て観に行きました。見続けている中、これのどこが賛否あるんだろう?と思いながら見ていました。前半の火事のシーンなど高畑勲監督の雰囲気が感じられ、特徴的で際立った映像だと思いました。全体的に進化したジブリ映像に感じた。後半の積み木はデッサンの基本の形たちで、それを自由に積み重ねて世界を守り作っていくおじいさん自身は宮崎駿自身なのだと感じました。隕石の中の世界が崩れ去っていくシーンでは、宮崎駿氏の世界が崩れ去っていくような感覚になって涙が出ました。これからの若者にその欠片を渡して生きてと言っているようでした。
絵が終わりを終えたところで拍手したくなりましたが、周りはそんな感じじゃなかったので気持ちを抑えてエンドロールを見終わりました。いい映画でした。ジブリのすべてと言うか宮崎駿の世界を十分に堪能しました。これが最後の作品になってもいいし、作れるなら次も気楽に作ってほしいと思いました。米津玄師の地球儀も合っていて早速ダウンロードしてリピート再生しています。
好き(微ネタバレ)
事前に予告されていた通り、ファンタジーだった。
一度見ただけでは映像と常況、流れに持っていかれ、あらすじが理解できる程度だったが、二回目を見たら色々伝わってきた気がする。
この世界は悪意に溢れ汚れたひどいところだけど、あなたの中の悪意、葛藤を受け止めてくれる家族や仲間、友達がいる美しいところ。だから時に逃げてもいいけど自分を認ることができる生きるに値するこの世界で自由に生きていってください。
と言いたかったんじゃないかなと。
君たちはジブリから何を学ぶのか。
様々なこの映画に対する批評があるけど、「君は石を持ち帰れるのか、そうでないのか。」それだけだと思う。
それさえも分からないという人はそこまでなのだと思う。
宮崎駿のやりたかったこと全部乗せ!最高!
私は小さい頃から宮崎駿監督が大好きで宮崎駿監督で育ちました。未だにジブリが大好きでこれまでのジブリ作品も何度見返したかわかりません。
映画が始まる前は絶対に1回で理解してやるという意気込みとドキドキ、緊張のしすぎでトイレに2回行きました。何本か予告を見ましたが、何にも覚えていません。そこから上映開始2分で、ああ私はこれからすごいモノを見させられるんだと思い興奮し泣きました。そしてジブリらしいアプローチのストーリー展開にワクワクさせられました。もうこの時点で次の回も見ちゃおうかな?と思わされる。何度も見たいヲタモード発動します。
キリコのキャラ設定も登場序盤から気になる存在になっていて本当に素晴らしいと思いました。また、菅田将暉さん、あいみょんさんの声優は私自身初めてでしたが、本当に素晴らしかったです!ハマりすぎです。
演出的には「あ、今の。あの映画のあのシーンに似てる」と思えるシーンが満載で、あのシーンが今のクオリティで見られることに感激しまた泣きました。そうなるとあのシーンはあれが最頂点なのかなとか思えたり。なかなか沢山のことを考えながら見ていました。最後、アオサギがじゃあな、と去っていくシーンでは巨匠がこれで本当に去っていってしまうという寂しさが押し寄せてきてまたまた泣きましたし、EDでは米津玄師さんの歌を天を仰いで泣きながら聴かせていただきました。最高でした。上映後も泣き止むことが出来ず、トイレにこもって泣きました。
私にはこれが最後の作品にしたいという監督の気迫が終始ビンビンと伝わってきてしまい、宮崎駿監督の集大成をIMAXのハイクオリティで見させて頂けていることにも感激でずっと泣いてしまっていたので本来の映画の楽しみ方が出来ていないのかもしれません笑。
この映画では、主人公眞人がタイトルとなった本を読むこと、キリコに労働を教わること等で自分以外の人の気持ちを知っていきます。芸能人への過度な誹謗中傷などもそうですが、この世の中にはなかなか受け入れられないこともたくさんあるけど、そこまで否定出来るものだろうか?自分は?どう?相手の気持ちに立って考えてみれば分かることだってあるよ、と宮崎駿監督に最後に伝えられた気がしています。ありがとうございました。上映中にあと何度か行く予定なので、また感想を書かせて頂きたいと思います。ジブリヲタの感想でした。長々とすみません。
自分の中の宇宙を冒険する傑作ファンタジー
自分の中の宇宙を冒険する宮崎駿集大成の傑作冒険ファンタジーです。
内容は極めてユング心理学的に感じました。少年が無意識世界に潜り込みの影やアニマとの対話を通して成長していく冒険物語です。
それら、集合的無意識世界の住人が宮崎駿の生み出すキャラクターで描かれている点がらしいなぁと感じました。
絵の中に埋め込まれだ情報量ハンパなく多いジブリ映画の傑作です。キャラクターの動きや、さまざまなメタファーにそれらが現れています。そして、主人公は明らかに宮崎駿そのものであり、彼の心の自叙伝的映画でもあるとおもいます。
まるでスルメ映画であり、見る人のアゴの強さが試されている映画ともいえます。読み解ける人ほど楽しめる作品ですが、そうでない人は消化不良になり、評価がわかれるのでしょう。
ただし作品のファンタジー要素も強いため、舐めるだけでもその片鱗を感じることはできますが、高学年の小学生以上が対象のように感じます。
主人公を自分に重ね合わせることで、さまざまなカタルシスを体験させられ、自分の人生や、この宇宙の奥深さを、教えてくれる傑作でした。
この作品は観る人の心の解釈に委ねられます。それゆえに、先入観を排除するために事前に宣伝ができなかったのでしょう。鈴木敏夫の凄さも感じる部分でした。
悪意のない心で、積み木を積み上げ、この世界のバランスを保つことを引き継いでほしい。
君たちはどう生きるか❔
これは、私たちへの遺言ですかね。
わかりやすく、消費されるコンテンツが多い中、歴史的名著のごとく、映画館で一度きりの体験として、観るべき映画です。
幼い頃から、アタリマエに宮崎駿監督の作品を観て、生きてきて。
私を含めた多くの方が、自分を形成する上での視点や思考に
宮崎監督の作品のイメージや信念が影響され、生きていると思います。
君たちはどう生きるか。を観た感想は宮崎監督への
「ありがとうございました。お世話になりました。」そういった気持ちでした。
ぜひ、多くの方に映画館で観ていただきたいです。
【以下、個人の感想】
子供向けの作品をずっと手掛けられてきて、飛行シーンと空想活劇が得意な
宮崎監督が今、誰に向けて創ったのか。
「君たち」をこども達に向け、メッセージ性の高い映画を創ると考えていた、
私にとって今作の創造点には驚かされました。
歳をとられ昔のようなワクワクするレイアウトや作画は減り、
映画のテンポ、構成もどうしても老いや才能の枯渇が感じられ
過去と比べたときのそうした変化は、私にとって、良いものと受け止められず
躍動感・リズムがない宮崎さんの作品は、劣化と思い、複雑な心境で
今作を含めた最近の映画を観ておりました。
それでも、現在のご自身を高い位置から俯瞰され、自分の現在地を
作品の魅力に変え、過去の作品をオマージュした世界で
ご自身の半生を強烈なメッセージで「魔法」にしてしまう。
そうした宮崎監督のイメージには感じたことがない、驚きと新しいワクワクを
この作品でもらいました。
・眞人が石で頭をぶつシーン
・御屋形様の様相と口にしたセリフ
・インコたちの暴動
さいご
塔が崩壊し、鳥が世界へ飛んでいくシーン。
先頭を走ってきた宮崎監督の「ひとつのイメージ」が伝わり、
感謝と少しの寂しさを覚えました。
また宮崎駿作品を映画館で会えるように、楽しみに、楽しみに
言葉にすることで、また会えることをイメージしています。
宮崎監督は最高のエンターテイナー。
本当に多くの素晴らしい作品を創っていただき
ありがとうございました。
ラストメッセージ
今伝えなければならない想いを最後に全部詰め込んでくれた。
そのメッセージをどれだけ受け止められるかで評価が分かれる作品。
まだまだ描きたい、伝えたい事がある中で抗えない老い。後継者の難しさ。残る世界の危うさへの不安。現実問題をも投影した宮崎駿の集大成としては最高傑作だと個人的には感じました。
印象的だったのは鳥たちの描き方。
欲を持てば人間のように醜くなり飛ぶことも出来ない。元の姿になれば自由に空を飛べるが糞を撒き散らす。
美しさと汚れと儚さこそが生命。
生命への畏敬の念が宮崎駿作品全体のテーマだった気がします。
終盤のセリフと描写には宮崎駿の想いが詰まっています。
主題歌も良かったです。
もう彼の作品が見れないと思うと切なくて自然と涙が出ます。
想いを引き継いで行きましょう、皆で
ジャムパンのシーンに感じ入った。
宮崎駿監督は、ちゃんと汚いものは汚く、臭いものは臭く描くのが好きですね。千と千尋の神隠しに近いがあれほどエンタメしてなくてメッセージ性が強いと思います。
眞人は自傷も厭わないし、自分を汚物で汚すことも厭わない、あるいは何者かを殺傷することも厭わない。それだけ母の死が大きく自分をないがしろにした自暴自棄。
夏子は夏子で眞人の最も信頼ある人物、彼の父の様に裕福さや安心の暮らしを眞人にアピールして受け入れられたいのに、そもそも眞人は母そっくりな姿で現れた挙げ句父の様に振る舞い、母の愛した男と愛し合う夏子に心を開けない。
眞人には自分がやってる事への罪悪感が確かにあるのに意固地で表に出せない。これ見よがしに自傷して父に甘えても夏子は拒絶する。戦時中にしてはあり得ない位恵まれた生活を送れているのにそれも態度で反発する食事シーン。それでも眞人と何とか分かり合いたい夏子への酷いお見舞い。そこに垣間見える子供の未熟さ。
その結果として、あの世界に閉じ籠った夏子の吐き出した本音は眞人が初めて生で触れた己の罪深さそのもの。ここではまだ罪悪感や贖罪から夏子を母と叫ぶ。夏子は大人で、眞人へ酷い本音をぶつけた自分に思わずハッとして、何とか弱った心で姉の声に応えようとするところが私は好きですね。
あの世界で、人に助けられなければまともに生きることも出来ない眞人が己の小ささを思い知りながら周囲の人達の愛に気付きながら、自分を破壊して再誕させる物語に感じられました。夏子も眞人とは違う形で自身を再誕させている。
あの汚ならしいジャムパンの食べ方、母を相手に子供の純真な幼さがよみがえったんでしょうね。それにあの時、我が子へ口を拭うものを母が差し出してました。あれは眞人と夏子への愛に溢れるシーンなんだと思ってます。
あれ最後のシーンで夏子も眞人もインコの糞まみれになったのに、次の瞬間顔がキレイだったのは、母の愛と同じく拭ったんですよ、母から貰った愛を同じく母である夏子に返した事で親子になれたシーン。ここに生きてたシーンだと勝手に思ってます、あの汚ならしいジャムパンのシーンw
10年ぶりの宮﨑駿ワールドを存分に楽しませてもらった
1枚のポスターデザインからは想像がつかない展開の数々に、ワクワクが止まらなかった。
※この先はネタバレを含むため、ご注意ください。
空襲警報が鳴り響き、眞人の母のいる病院から火の手が上がる冒頭シーンから、時代設定が第二次世界大戦中ということがわかり、けっこうビックリした。
疎開先の駅に出迎えてくれた母の妹のお腹には、腹違いのきょうだいがいるというのは、当時は割とよくある話だろうけれど、素直に受け入れられない眞人の繊細な気持ちの描き方は流石の一言。
眞人が机の上に積んでいた本の山が崩れて片付けているときに偶然見つけた『君たちはどう生きるか』を開いたら、「大きくなった眞人君へ」と書かれた母の字があり、読み進めたページの上にぽたぽたと彼の涙が落ちるという一連のシーンにはグッと込み上げるものがあった。
自分がいなくなった後も大切な存在に残してあげられるものが、この小説ということも、宮﨑監督からのメッセージなのだと受け止めたし、ぼくもわが子に同じことをしてみたくなった。
本作にはいろんなキャラクターが登場するが、若き日のキリコさんは痺れるほどカッコよかった。切符のいい女性像は『天空の城ラピュタ』のドーラを想起したし、他にもこれまでの宮崎駿作品の登場キャラクターを重ねてしまう場面があった。
眞人の父親は戦闘機の部品を作る工場の経営者として儲ける人物として描かれていた。そして眞人も、望むと望まぬとに関わらずその財力の恩恵を受けていることがわかり、複雑な思いに駆られた。
眞人の「悪意の証」は、そういう自分自身を否定したい気持ちから付けられたのではないかと想像する。
「命の誕生」も重要なテーマとなっており、密接に関わるキャラクター「ワラワラ」もかわいかった。すべてのワラワラが無事に空に飛び立てるわけではないところがリアル。生命は誕生そのものが奇跡であり、神秘的なのだということを表しているように感じた。
魚、蛙、ペリカン、セキセイインコの大群に対して、唯一無二のトリックスター青鷺の存在感は抜群。擬人化されたインコたちもユーモラスだった。
お屋敷のおばあちゃんたちは「白雪姫」に出てくる7人の小人のように可愛らしかったし、冒険シーンはいかにもジブリ作品らしかった。
ラストは少し唐突な感じがしたことは否めないが、10年ぶりの宮﨑駿ワールドを存分に楽しませてもらったことは間違いない。
「便所」と「トイレ」「坊ちゃん」と「若旦那」
これは下手にCMを打つと、思っていたのと違っていたという批判を呼んで、下手すれば大コケになるかもしれない映画だったように思う。予備知識なしで観させたからこそ、文句が言えない、感じる人は感じる、でも大半の人は苦笑いで劇場を出る、それくらいで済んだ映画だったように思う。
眞人は冒頭、熱に浮かされながら「どこにいくんですか」と聞かれて「便所」と答えて部屋を出る。しかし、下の世界でキリコには「トイレはどこですか」と尋ねている。
これは、上の世界は日本の戦中であることを表していて、下の世界は洋風な、現代に近しい時代である事を示しているのではないかと感じた。
また、キリコは森の中に入る前まで眞人の事を「坊ちゃん」と呼んでいるが、途中洞窟を抜けた先で急に「若旦那!」と呼んだ。ここの時点ですでに見た目に変化はなくとも時空の歪みがあり、むしろ最初の世界より先の、眞人が若旦那になる未来のキリコがそう呼んだのかもしれない…
どうにも夏子に、奥底に隠しきれない女らしい嫌らしさを眞人が感じてしまっている表現が上手く、それを強調された口紅や、黒く長い髪を振り乱す表現で伝えるあたり、高度なテクニックだなと感じた。対比で自分の母親は美しい少女の姿のままで、高潔で髪をきちんと結い、手作りの料理でもてなし、死因となった火さえも自分の力としていく芯の強さや優しさを表現している。
それにしても、宮崎駿監督はそんなに鳥がお嫌い?フンや細かい毛がフワフワと浮くあの感じ、匂いまでこちらに漂ってきそうで途中鼻を覆いたくなるような表現が素晴らしかった。
長編大作の夢を見た後のような、どっと疲れた、しかしあんまり覚えてない、場面場面は綺麗だったけど…。そんな印象を残した映画でした。
全763件中、241~260件目を表示



