劇場公開日 2023年7月14日

君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価

全1334件中、1~20件目を表示

4.5予備知識なしの鑑賞体験は是か非か

2023年7月14日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

昨年は「THE FIRST SLAM DUNK」が事前情報を極力まで秘して公開を迎え、結果として大成功をおさめた。ただ、主要キャストの背番号に合わせたカウントダウン動画をちらりちらりと見せ込んでいたので、今回のような飢餓感を味わうことはなかった。

「風立ちぬ」から10年。まさか宮崎駿監督の最新作を観られるとも思っていなかったが、蓋を開けてみたらポスタービジュアル以外は何も情報がないまま公開初日に。ここまで予備知識なしに作品を鑑賞するのは、記憶にないほど新鮮な体験となった。

出足からスクリーンにくぎ付けになったのは言うまでもないことだが、序盤から中盤、中盤から終盤へと向かうなかで、全く読めない展開が脳内を活性化させてくれてすこぶる気持ち良い。「是か非か」でいえば、無論「是」である。声優情報や主題歌情報は、弊サイトのニュースをご覧いただきたい。ここでは、ネタバレすることなく、予備知識が一切なかろうが問答無用で作品世界にどっぷり浸かり、珠玉の映画体験が叶うということについて言及しておく。

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大塚史貴

3.5題名と内容は無関係‼️❓生きる意味は有りません‼️❓

2023年7月15日
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題名は主人公が贈られた本の名前で、映画の内容と関係ありません、よく村上春樹がする手法です。
内容は、千と千尋のリメイクのような、それが綿々と続くてんこ盛りです、深い意味が無いのは、これまた村上春樹のようです。
だから、宣伝することができません、今までの集大成であり、模倣でもあるからです。
でも、だからとゆうべきか、映像も集大成であり、ジブリを何作も味わうような、満腹感があります。
意味を与えるとすれば、正直に真摯に真面目に優しく生きていきなさい、後付けのようですが。
とにかく映像はとても良い、ジブリが好きなら、是非。

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アサシン5

4.5私はこう生きた。君たちはどう生きるか?

2023年7月14日
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 まず、この作品は楽しませる、売れるという目的で作られていない。

 完全なる宮﨑駿のエゴの集大成である。

 なぜなら、この作品自体が彼の頭の中を表しているからだ。

 主人公、牧眞人(まきまひと)は、宮﨑駿自身である。

 そして、塔の中の世界は眞人によって作られた世界である。
大叔父も、インコの大王も、キリコも、青鷺も、あっちの世界に登場したキャラクターはすべて眞人が作り上げたものである。

 そして、それらのキャラクターはすべて宮﨑駿の過去作で表現してきたキャラクター性を如実に表していた。

 ヒミの火を使う能力、母親は死んでいると分かっていても、それを確かめたい葛藤、塔の世界へ誘い込んだ青鷺、
すべてが眞人が作り上げたとすれば、筋道が通る。

 よく分からない、よく分からなくて当然である。
 退屈な映画である、当然である。

 この作品は、宮﨑駿は始めて自分の頭の中の世界観を思う存分おもねることなく、表現した初めての作品なのだ。

 宮﨑駿は、本作で何かを伝えようとしていないのだ。

 彼は本作で、「私はこう生きた。」という自省録を描いただけ。
 そして、彼はその後こういうのだ。

 「君たちはどう生きるか?」

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マカロニ

0.5分かんないよ…

2023年7月14日
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何が何だったのかさっぱりだよ…
何か良いのは分かるけど、何が良いのかは分からないよ…
褒めてる人の感想みたけど…
「宮崎駿の実母との関係が〜」とか「宮崎駿のこれまでの人生が〜」とか
知らないよそんなの…
それを知らないと楽しめないなら、楽しめなくて良いよ…
宮崎駿の人生を知るために2000円払ったんじゃないよ…
これ褒めてる人、宮崎駿じゃなかったら褒めてないでしょ…
宮崎吾朗だったら酷評してたでしょ…

宣伝しないのは逆に良かったんじゃないかな…
予告みてたら「あ、これ内容分かんないやつだな」って思って観に行ってなかったと思う…
でもエンドロールに予告編作った人の名前があったから、
きっと鈴木さんが「スラダン方法で行こう!」って思いついちゃうまでは、たくさんの広報の人が、たくさんの準備をしてたんだろうな…

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能面

2.0それはpovo〜

2023年7月14日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

おい、駿。これで引退してしまうのか。
公開日の朝8時、IMAXで鑑賞してきたが、、、想像しているものとは大きく違った。分からないぞ、理解できないぞ。おそらく宮崎駿の最後の監督作となるであろう本作は、万人受けするとは思えない、とても奇妙なものだった。

広告・情報一切無しの手法は、ハードルをあまりに上げすぎている。いや確かに、すごい映画ではあったけど、これは果たして観客が求めているものなのだろうか。これは、ジブリファンであれば楽しめる作品なのだろうか。何はともあれ、子ども向けの映画でないことは言い切れる。面白かった!楽しかった!とはならない。よく分かんなかった〜ってなるだろう。かといって大人が楽しめたかというと...笑 深いメッセージ性があるようには思えたけど、何も考えずに楽しめるような、エンターテインメント性に長けた作品ではないように思える。

独自の面白さというよりも、色んな映画から引用して作られたように思える。なんというか、新鮮味がない。なぜ、この作品を監督業復活してまで作りたかったのだろうか。色々考えれば心に響くものはあるんだろうけど...。なんかこう、ワクワクするものが無いんだよ。手放しに面白いとか言えたもんじゃない。結局、私たちはどう生きればいいのか。

音響・音楽・声優はピカイチ。
誰が声を当てているんだろうと想像しながら鑑賞するのは、今までにないスタイルで面白い。IMAXで見て良かった。ただ、絵が綺麗〜世界観が美しい〜だけで映画は成立しない。そんなんで拍手を送ってはならぬ。厳しいこと言うと、この作品が一定数で評価されているのは、出来が素晴らしからではなく、今まで宮崎駿が積み重ねてきたものがあったからでは無いだろうか。

自伝映画にしたいのならもっとリアリティがあって説教くさくて良かったし、ファンタジー映画ならもっと早く切り替えて欲しかった。心に残るようなシーンもセリフもない。2年後・・・は一生忘れない、ある意味衝撃的だったけどね笑

追記
色んな人のレビューや動画を見て、この映画が如何につまらないものなのか、ハッキリと分かったので評価をさらにダウン。映画は、2時間で楽しめるのが素晴らしいのにも関わらず、この作品は2時間見ても理解出来ず、ましてや新鮮味もなく、公式から発表されてもない無駄で勝手な考察を見たり聞いたりして妄想を繰り広げるしか出来ない、狂作なのだ。

一生理解出来ないだろうし、理解する気にもなれない。考察ありきの映画なんて、映画でも何でもないし、そんなのただの設計ミスだ。しかも、よく映画を見たら分かるとか、宮崎駿の過去の経験と一致しているところがあるとか、そういう考察じゃ全くないんだから、なんの意味もないだろ?何がどうなったら、こんな楽しみ方が分からない映画が生まれちゃうんだ。よっぽどのジブリ信者、ジブリの人間にしか響かない。常人じゃ、ほとんどの人が置いてけぼりだろう。現に、周りで絵が綺麗だったという人は居るものの、面白かったという感想は聞いたことがない。

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サプライズ

4.5私たちは映画と共に生きる‼️

2023年7月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

怖い

こんなに興奮したのは久しぶりです‼️物語もわからない、ビジュアルもわからない、全てが謎に包まれた映画を劇場公開初回で見る‼️しかも宮崎駿監督によるジブリ最新作‼️ホントにワクワクしました‼️肝心の映画の中身はというと、宮崎駿監督の作風であったり、思想の集大成‼️いきなり昭和初期の風景が広がったので「風立ちぬ」みたいな戦争モノかなと思わせといて、父親と主人公が田舎に疎開してきて不思議の世界に迷い込むというのは、「となりのトトロ」だったり、「千と千尋の神隠し」を思わせる‼️そしてアオサギやワラワラ、インコたちの造形は「もののけ姫」や「ポニョ」を思わせます‼️ちょっと哲学ぽかったり、詰め込みすぎてうまくまとまってない印象がありますが、アクションなどの躍動感あふれるアニメーション作画は、さすが宮崎駿監督だなぁと思わせるところもあり、私はこれでいいかなと思います‼️今回鳥が重要なモチーフになっているのも、空を飛ぶことに憧れを隠さない宮崎駿監督らしいなと思いました‼️以前鈴木プロデューサーが、" 「風立ちぬ」では終われない。次作は大冒険活劇 " とおっしゃってたので、「カリオストロの城」や「ラピュタ」みたいな作品を期待したのですが、やはり御歳80歳の名匠には酷でしたか・・・

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活動写真愛好家

5.0宮崎家の貴種流離譚

2023年7月15日
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鑑賞方法:映画館

 アートして鑑賞するだけで、見たまま、感じたままをそのまま受け取るだけで、こんなに面白く感じるとは思わなかった。
 もちろん2回目ということもあるし、岡田斗司夫ゼミのプレミア解説まで聞いているということもある。一番参考になったのは、村上隆が示したヒント。ベックリンの「死の島」。この絵をしばらく眺めているうちに、無性にもう一度見たくなった。「死の島」の意味は、漠然としかわからなかったが、宮崎駿の絵の力に引き込まれただけでよしとしよう。
 評価は爆上がりです。

 以下は、寝落ちしてしまった1回目の感想です。

 あっけないラストにポカーン。エンディングで流れる米津玄師の曲を聞きながら思った。
 これは、内省的な自伝的物語ではなく、宮崎家の貴種流離譚じゃないの。なんか鼻につく。

 主人公の家庭は、戦時中にも関わらず、転校先の学校にダットサンで乗り付けるくらい裕福で、家には何人もの使用人がいる。嫌味なくらいのお金持ちの息子が、心抉られるくらいのどん底に落ちてしまう物語であれば、自然と感情移入もできる。
 それがまた、苦難には程遠く、ほどよい試練の連続なんだよね。なんか、お伽噺を聞かされているようで、後半は何度か寝落ち。

 期待したゆえに、不満を先にこぼしてしまいましたが、アニメーションに関しては文句なし。宮崎監督お得意の、サスペンションの動きを使って、車に演技させるシーンは絶品だし、アオサギの七変化やペリカンの大群は、大スクリーンで見ないともったいない。

 物語としては、いただけませんが、すばらしい映像と芸達者な声優の演技を体感できるので、是非劇場でご覧になってください。

追記
2回目の鑑賞ポイント。

①ベックリン『死の島』との関連性
②キリコの部屋のワンピース。高そうでオシャレなワンピースが2種類ある。
③ワンピースの隣に掲げられているトルメキアの旗。
④菅田将暉の青鷺。七色の声。
⑤インコのフンまみれ=金まみれ
⑥大叔父=アインシュタイン=科学の負の側面
⑦ラノベ異世界ハーレム構造(夏子、キリコ、ヒミ)
⑧あっさりすぎるラス
⑨とんでもない迫力の冒頭シークエンス

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bion

4.0のびのびとした宮﨑アニメの表現に惚れ惚れ。

2023年7月31日
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主人公の父親が、母親の妹と再婚することになり、母親の実家に疎開する。母親の妹は、駅まで人力車で迎えに来ていて、カバンを人力車に積むと人力車がカバンの重みで揺れる。ああ、いま宮﨑アニメを見ているのだなと、長いこと感じていない感覚にとらわれた。別に10年ぶりだからではない。もう長らく宮﨑駿は、新作ごとに新たな挑戦をしていて、同時に過去にやったことを封じていたように感じていた。昔から観ていた世代として、その都度その都度表現の強さに畏敬の念を覚えつつ、あれ?この表現はもっと素晴らしいのを前に見たことがあるぞ、と違和感も覚えていたのだ。それが今回は、リミッターを外したかのごとく、得意な表現を出し惜しみしていない。今回は絵コンテを担当し、作画は別のアニメーターに任せたという記事も目にしたが、細部の動きがいちいち宮﨑アニメが持っていた心地よさなのである。もちろん、最初の火災(というかおそらく空襲)の場面は凄まじいインパクトだった。でも、建付けの悪い窓を力をかけて閉めようとする場面とか、ああいうところにいちいち宮﨑アニメを感じてしまい、ノスタルジーと同時に、やはりアニメーションとして素晴らしい芸だなと思ってしまう。相変わらず好き放題の内容だが、のびのびとしていてヨカッタ。

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村山章

3.5宮崎駿監督作品エッセンスを潤沢に盛り込んだ少年の成長物語

2023年7月18日
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楽しい

興奮

難しい

学生時代、授業の合間に近くの名画座で貪るように映画を観ていた時期がある。その時に、喝采、波止場、白鯨、などの名作に出会い感銘を受け、事前情報ゼロの映画鑑賞の醍醐味を知った。以来、現在に至るまで、極力、原作を読んだ作品は観ないし、事前情報は最低限での映画鑑賞が続いている。本作の事前情報ゼロを聞いた時には、久々に学生時代の感覚が味わえると思うと公開が待ち遠しかった。

予想通り、先が読めない、何が起きるか予測不可能な、宮崎駿監督作品のエッセンスを潤沢に盛り込んだ、らしい作品だった。無心で画面を追い続けた。本作の舞台は、太平洋戦争中の日本。主人公は眞人。彼は、住んでいた東京の空襲で母を失い、父は母の妹なつ子と再婚する。なつ子は妊娠する。3人家族は父の実家に疎開する。疎開先は、となりのトトロを彷彿とさせる雰囲気がある。そこで、主人公は、虐められたり、ふとした切っ掛けで、人間界とは違う異世界に触れ、摩訶不思議な異世界の多様な価値観を知る。ここは、千と千尋の神隠しを彷彿とさせる。また食物連鎖の非情さを改めて知る。貴重な経験をして眞人は、大きく成長していく。

ラストシーン。眞人一家は東京に戻っていく。眞人が疎開してから東京に戻るまでの数年間のプロセスは、眞人が疎開先での体験を通して自分の生きるべき道を定め行動していくプロローグである。眞人はどう生きるかを決めた。そして、日本の戦後復興に貢献、尽力したと推察できる。

では、本作を観終わった観客=君たちは、今後、多様化が進み、科学技術が進歩し、ますます複雑化する社会のなかでどういう価値観、覚悟を持って生きていくのですか。誰も教えてくれません。君たち自身が、今後の人生をどう生きるのかを決めて行動して下さい。ラストシーンの眞人の東京に戻る姿を通して、本作は、我々観客に、そう強く主張していると感じた。日常に追われ漠然と生きていくのではなく、本作を機会に今後どう生きていくのか真剣に考えていきたい。

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みかずき

4.5日本中が狐につままれた感じになってるんじゃないかな。     二回目観てきました。

2023年7月14日
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鑑賞方法:映画館

宮崎駿監督の新作という以外全くの前情報なしで初日の劇場へ。こんなにワクワクすることは滅多にない。

ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女の宅急便、もののけ姫、千と千尋、ポニョ、風立ちぬ、、、宮崎駿監督作品、スタジオ・ジブリの作品には誰しもが特別な思い入れがあるだろう。ジブリパークで楽しい時を過ごした親子もたくさんいるだろう。その思いと期待を持って初日の劇場へ足を運んだ人たちの何人が大いに満足して劇場を後にしたことか。(鈴木プロデューサーは満足してるだろうな)

A Iに「宮崎駿新作」って、つくらせたみたいな、たしかに宮崎駿作品には違いないが、これが期待していたものかというと、、、。

何回か観れば、込められた意味がわかってくるのだろう。
あまり込められた意味など考えすぎずにただ宮崎ワールドを楽しんだ方が良いのかしれない。

エンドロール。こんなにもたくさんの人が関わっているのに、公開日まで情報が漏れなかったってすごい。
(岸田総理の親族が入っていなかったんだろうね)

せっかく極秘にしてたんだから内容には触れません。
作品には関係ないですが、遙か昔、学生の時にハイジや未来少年コナンのファンの友人がいて、高畑勲や宮崎駿について熱く語っていた。彼が、宮崎駿の新作が今度公開されるから是非観てくれって周りに勧めていた。
当時アニメなんて興味なかったけど勧められるままに観に行った。「風の谷のナウシカ」という作品だった。
(まさかテーマパークまでできるなんて夢にも思ってなかっただろうな。)
それから数年。神道学者の鎌田東ニさんが「かんながらガール ナウシカ」という評論を雑誌に書いてて、外国人に紹介するのにいいなと思って「ナウシカ」のビデオの英語版(Warriors of Wind 主人公の名前はナウシカでなくプリンセス・ザンドラでした)を買ってアメリカの知り合いに見せて回ってた。

ナウシカの服っていつ青色に変わったの?

初日鑑賞の際は途中でウトウトしちゃったのか、思い出せないところがあるのでリベンジのため、2回目観てきました。
宮崎駿監督10年ぶりの新作、前情報なしということである意味勝手に膨らんだ期待、すごいものを観せられるられるんだろうという先入観なしで観たら充分面白かったです。
宣伝なしという宣伝が成功したのはよかったですが、賛否が分かれています。
キャストや主題歌も発表して、どういった内容であるかの情報を出した上で、タイトルも「青鷺とぼく」にして公開すれば、それほど批判はなかったんではないでしょうか。
タイトルが出るまでがあんなに短かったとは。初回観た時、印象が強かったのでもっと長かったのかと思ってました。それほどインパクトのあるオープニングでした。

せっかく、あいみょんが出てるんだから、あいみょん版の主題歌も聴いてみたかったな。(実際にあったりしてね。)

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大吉

3.0私たちはどう受け止めるか

2023年7月15日
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鑑賞方法:映画館

難しい

興行的戦略なのか、フラットな状態での鑑賞を望んでのことなのか、一切の事前情報を伏せられていた本作。それでも、ジブリ作品で宮﨑駿監督となれば、いやが上にも期待値は高まり、そして迎えた公開当日。仕事を終えて、映画館に向かう途中で見たレビューサイトでは、投稿数がすでに100近い中で、評価はあろうことか3.4!これにはかなりの地雷臭を感じながらも、覚悟して鑑賞してきました。

ストーリーは、戦時中の空襲で母を亡くした少年・眞人が、疎開先で父の子を妊娠した継母であり、母の妹でもある夏子と生活することになるが、なぜか夏子が失踪してしまい、彼女を探してアオサギに導かれるように森の中の塔に足を踏み入れ、その先にある別の世界で不思議な体験をするというもの。

…とまとめてみたものの、正直言ってほぼほぼ理解できていません。終わってみれば、継母を受け入れ、家族も増え、新たな家族として前向きに再スタートできそうでよかったね、というラストシーンだけで得た小並感。これが今のところの精一杯の感想です。

そこに至るまでの過程が、塔の中での不思議体験なのだと思いますが、これが実に難解です。登場人物の語るセリフがどれも意味ありげなのですが、理解できないものが多く、それが疑問につながり、結果として作品のおもしろさを減じているように感じました。ある意味、現実の困難や不満を感じた主人公が、異世界の体験を経て成長し、元の世界に戻って力強く前に踏み出していくという王道展開だと思います。しかし、肝心の変容部分がわかりにくいのがとてももったいないです。わかる人にはわかる奥深さはもちろんあると思うのですが、世代を超えて愛されるジブリ作品には、もっとわかりやすく万人に受け入れられる作品であってほしいです。

とはいえ、いきいきと動き回るキャラクター、細部まで丁寧に描かれたファンタジックな情景は、紛れもなくジブリワールドで、ジブリ作品を観たという満足感は得られます。他のジブリ作品を彷彿させるシーンも多く、宮﨑駿監督の集大成としての意気込みも感じます。それだけに、監督の思いを受け止められなかったことが残念でなりません。今後の監督自身のコメントや他の方のレビューを読んで補完したいし、それでヒントがつかめたら改めて鑑賞してみたいと思います。

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おじゃる

5.0生まれて来てよかった。生きろ。生きねば。

2023年7月15日
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【『失われたものたちの本』について追記】
2023.7.27

宮﨑駿監督が映画化したいと切望した物語。
それはアイルランド生まれのジョン◦コナリーの書いた『失われたものたちの本』
映画の理解に役立つかもしれないので、一部を概説します。

第二次大戦下のイギリス。12歳の少年デイヴィッド。愛する母親を亡くした直後、こちらの世界ではカササギの姿で現れる〝ねじくれ男〟にこう声をかけられます。
「わしらは待っておりますぞ。ようこそ、陛下。新たなる王に幸あらんことを!」

ドイツ軍の爆撃機墜落をきっかけに、デイヴィッドはねじくれ男の待つ異世界に入り込み、冒険が始まります。
冒険と言っても一般的なファンタジーと違いこの世界は暴力と血とブラックユーモアに塗れています。赤ずきんと狼の間に生まれた人狼と闘い、太った大食いの白雪姫に抑圧された小人は権利を主張したり。ダークファンタジーというだけでは収まらないほど少しのエロとたくさんのグロに溢れています。
少年デイヴィッドも盗賊相手とはいえ、正当防衛の域を超えて人を殺します。

デイヴィッドが、新しい母親(妹ではなく、亡くなった母親の看護施設の人)から生まれるこどもを憎む感情は、父親を奪われたと思う少年にとってはある意味、無邪気とも言える素直な嫉妬だが、異世界のねじくれ男は、このような少年少女の負の感情を糧に生きながらえているのです。
デイヴィッドに母親の声を聞かせて異世界に誘い込んだのもそのためです。

この異世界にも王が存在します。ねじくれ男は、ある思惑により、この玉座をデイヴィッドに継がせようとするのですが、この物語の核心はここにあります。デイヴィッドが少年から大人になるための闘い。

亡くなった母親が少年に伝えたこと。
『物語は読んで欲しがっているのよ。読んでもらわなくちゃいけないの。だから物語は、自分たちの世界から人の世界へとやってくるのよ。私たちに、命を与えてもらいにやってくるの。』

ねじくれ男の人間観の一端を表すセリフ。
『お前は誰かに邪悪な行いをさせられたのではないぞ。そんなことは誰にもできやせん。己の内に飼う邪悪に、お前が溺れただけのことさ。人間とは常に、自らの持つ邪悪に溺れるものだからな』

異世界に現れる怪物や凶悪な敵。
理性など働かない少年少女時代の邪悪な動機によってもたらされる不幸。
その不幸を招いた責任を負わせることで少年少女を支配するねじくれ男。

以上は、ほんの一部ではありますが、宮﨑駿監督に、引退を撤回してでもまた映画を作りたい、と思わせた要素のいくつかであることは間違いありません。

想像できるものは、なにもかも現実である。
               ーパブロ◦ピカソー

【悪意の石について】2023.7.29 補記
こんなシーンがありました。

「あと一日は保つ」といった後だったと思うのですが、大叔父が手のひらに乗せた3個の石を示しながら、
「眞人、この石をお前が積み上げるのだ」
「いえ、その石には、墓石と同じ悪意があります」
と拒否した眞人。

あの墓を構成している石は、大叔父にこの異界を作らせた石の一部であり、この世界の悪意でもある。或いは、墓石自体に悪意を封じ込めてあるのか。
もしかしたら、〝パンドラの墓〟的なものなのか。

この映画における悪意とは、個人的な受け止めとしては、〝支配〟と〝抑圧〟。

支配とは、国家や帰属集団の統治システムのことでもあれば、子にとっての親という場合もある。
抑圧とは、支配する側の意図的な情報遮断により、その世界の仕組みや実相を知らずに生きている人たちであり、息苦しさを肌で感じている場合もあれば、始めからそういうものだと刷り込まれている場合もある。
石との契約で条件をつけられていた大叔父も、抑圧されている側のひとりとも言える。

『わたし(悪意)を学ぶものは死す』

これが、なんらかの教訓を含む言辞なのか、支配するものからの牽制なのかは、わかりません。
石との契約で成り立つ世界には、〝死〟が多いとキリコも言ってたのは、そういうことと無関係ではないと思います。

この世界の支配を続けるものは血縁(たぶん男子限定)でなければならないのは、この世界の永続性を弱めるための仕組み?
眞人のように、こちらの世界に飛び込んでくる子孫がいなければ、その時の支配者の寿命とともにこの悪意の世界は消え去るようにできている?
ということなのかどうか、まだまだ分からないことがたくさんありますが、そのぶん繰り返し見たくなります。

【二度目の鑑賞後の追記】2023.7.18
①積み木の数について(もし、監督に何らかの意図があると仮定した場合)の穿った考察。

初めの積み木の数は9個(数え間違いでなければ)。「これであと1日は保つ」と言ってた場面です。
スタジオジブリ、ではなく宮﨑駿監督作品という括りで並べると、こうなります。

カリオストロの城
風の谷のナウシカ
天空の城ラピュタ
となりのトトロ
魔女の宅急便
紅の豚
ON YOUR MARK
もののけ姫
千と千尋の神隠し

当時の日本映画史上最大のヒット(304億円)、かつアカデミー受賞。この節目の作品でちょうど9作品。

積み木とは言っても、素材は石、それも悪意ある石。
ここで言う〝悪意〟とは邪悪な悪という意味ではなく、『確信犯的に自分の意図を込めてるよ』というほどの意味なのだと思います。法律用語で何も知らないまま、関わってしまった人のことを〝善意の〟第三者と呼ぶのと対をなす意味合いで。

ハウルの動く城
崖の上のポニョ
風立ちぬ
君たちはどう生きるか

以降の4作品を加えると、9+4=13!

インコ大王が積み上げたと同時に崩れた積み木の数は13でした。が、大叔父が、はじめの9個とは別に各地で拾い集めた無垢で悪意のない石だ、と言ってましたから、監督作品の数と同一視するには無理があります。
はじめの9個はこの13個の中には含まれないはずです。
単なる遊び心でちょい数合わせしてみた。そんなことならあったのかもしれませんね。

宮﨑駿監督は、紅の豚の制作中に湾岸戦争が勃発すると、「こんな時に能天気なものは作れない」と発言してるし、ハウルの時は、「今日性のある、作るに値する作品」にする、とやはり言ってます。いつでも、その時見る人たちの感性、世界情勢の影響も受けているに違いない人たちに寄り添う作品を生み出そうともがいています。
ポニョの時には、「少年少女、愛と責任、海と生命、これら初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである』とも書いてます。

最後に大叔父が、真人やヒミや夏子に向かって、それぞれの時代に帰れ❗️と叫んでいたのは、我々観客に向かって、それぞれの世代で、なすべきことをしなさい‼️
そう言ってるように聞こえました。

一部で言われているような家族や周辺のアニメーターその他関係者のことを主要テーマとして描こうとしたら、そんなつまらないことでは、そもそもスタッフが着いてきません。チームでやる仕事ってそういうものです。
だから、ジブリ或いは宮﨑駿監督の作品として発表できるほどの仕上がりにはならなくて、頓挫したと思います。

②なぜ鳥なのか、なぜ夏子は入り込んだのか
神社には、鳥居があります⛩
異界との結界という意味合いなのだと思います。
それを知ってる夏子は、だから弓矢を持っているし、使えもする。
真人が、鳥🦅の影響で、異界に連れ込まれるのを阻止しようと自ら結界を超えた。そんなふうに見えたし、産屋(うぶや)での剣幕もその思いから発せられたのではないでしょうか。
(ここまで追記)

(以下は、はじめのレビュー)

正直、SF的設定の部分は、一回見ただけではよく分からず、家に帰ってからも頭を整理しきれず、取り敢えずもう一度見ることにしました。

でも、宮﨑駿監督がこれまで示し続けた、若者への一貫した応援メッセージだと思って見ると、テーマ性みたいなものは意外とスッキリと腑に落ちるように思えます。
他ならぬ我々日本人がしでかしたあの酷い戦争、やっと平和かと思ったら、経済成長という名の下に環境を破壊、バブルは弾けたけれど経済格差は厳然と残り、戦後いつまで経っても、若者が生きづらい世の中であることだけは不変。ネットには悪意が満ち、コロナ禍やウクライナのような外部からの影響もますます閉塞感を強めている。

6月21日に発売されたばかりの『スタジオジブリ物語』(集英社新書)の帯にはこんなコピーが刷られています。
4歳と14歳で生きようと思った。
「生きる力」を呼び醒ませ❗️
生まれてきてよかった。
生きろ。
生きねば。
(火垂るの墓、千と千尋の神隠し、崖の上のポニョ、もののけ姫、風立ちぬ。)

以下は、同書からの要約(一部引用)。

・宮﨑は、引退宣言後も月に3〜5冊の児童文学を読んでいて、ある時、「読んでみてください」と鈴木に渡した本があった。それはアイルランド人が書いた児童文学←この原作のままでは映画にならない、というとことで、最終的には宮﨑駿監督のオリジナル脚本、監督となった。

・その企画書を宮﨑が鈴木に渡したのは、2016年7月。
2013年に引退宣言をした宮崎が〝晩節を汚す〟ことになりはしないか、と危惧する鈴木に、「絵コンテを20分ぶんだけ描くから、それで判断して欲しい」

・絵コンテは本当に面白かったのだが、鈴木は迷い続けたままであった。そうこうしてるうちに返事をする日が来てしまい、宮崎のアトリエを訪ねたところ、宮崎はいつになくニコニコしていて機嫌がよく「お茶飲む?」などとコーヒーのお湯を沸かし始めた。

・鈴木はそんな宮崎の様子を見てると、「なんかもう、やるしかないのかな」と心を決め、「やりますか」と話しかけた。絵コンテ面白かったですよ、と声をかけても、跳び上がらんばかりに喜んでいる宮崎はもう聞いちゃいなかった。(笑)
本当は、絵コンテを描く、と言い始めた時点で、すでに抑えが効かなくなっていたのだ。

・今回は、共同製作となる出資会社もなくスタジオジブリの単独出資。とことん思うように作りたい、その責任もすべて負うという覚悟をもって制作。

・作画インから足かけ7年に及ぶ制作期間中、コロナ禍だけでなく、高畑勲ほか関係の深い何人かのアニメーターも亡くなるなど、悲しい出来事も多かった。

82歳の宮﨑駿監督の挑戦。

時空を超えたファンタジー、アメコミヒーローのパラレルワールド、スズメの戸締まり。
宮﨑駿監督流の『俺ならこうする』
それが、あの設定だったのだとも感じてます。
新海誠監督の考える扉は、あちら側が悪で、こちら側の世界に災厄をもたらすことになってましたが(本当はもう少し複雑でしたけど)、宮﨑駿監督の扉は、善悪の境目ではなく、どう生きるか、どういう世界にしたいのか、の選択肢のようでもあった。

劣悪な環境の社会ならば、そもそもペリカンに食われて生まれ落ちることも出来なかったかもしれません。

どんなに悲惨な世界であっても、生まれてしまったからには生きろ❗️そして、扉を開けて戻ってきた以上は、生きねば‼️

私にはそれらの叫びが、とても力強く響いてきました。

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グレシャムの法則

0.5みんなはっきり言おう

2023年7月16日
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鑑賞方法:映画館

みんな、はっきり言おう!
面白くないものは、面白くないと。
訳がわからないものは、訳がわからないと。

これが宮崎駿作品じゃなかったら、ジブリじゃなかったら、同じ評価でいられるか?
彼の考えや生き方がなんちゃらかんだらと言うレビューが多いが、そんなのみんな本当に知ってるの?

作品として、物語として面白くないものを作者の影響で面白い、素晴らしいとしてはいけません!

ジブリも宮崎駿も一部の作品は素晴らしく、応援したいとは思うけど、だからこそ面白くないものは面白くないと言いたい!

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熊親父

3.5母亡き少年の成長物語

2023年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

事前に明かされていたのは変な鳥が描かれた一枚のポスターだけ。内容やストーリー、声優は全てベールに包まれたまま公開に至り、しかも引退表明を撤回し、10年ぶりに監督・脚本を宮崎駿が手掛けるというのだから、公開前から期待値は高まった。

昨年公開された『スラムダンク』も内容が明かされないまま公開し、大ヒットを続けているが、これほどまで秘密主義ではなかった。よって、製作者の意図も鑑みて、あまりネタバレにならないようにレビューする。

本作のモチーフとなった、戦前に書かれた、題名と同名の小説『君はどう生きるか』は、数年前に漫画化され大ヒットした。その書籍は既読だが、これが戦前に書かれたものとは、思えない内容だった。現代に通じる思春期の悩みや葛藤をテーマにし、一歩ずつ大人への階段を登っていく少年の揺れ動く心情に、叔父さんのノートに綴られた言葉が染み渡っていく内容だった。

本作を一言で言えば、戦争によって母を失った少年が、母亡きトラウマから、再び歩み出そうとする物語。いろんな場面において、是々非々の判断をしていくのは結局は自分なんだということ。たとえ人を偽る事はできても、自分は偽ることはできないこと。そんな人としての生き方についてをテーマにしながらも、あの原作を、宮崎駿ならではの描写とストーリーによって、観る者をエンタメ性の高いファンタジーの世界へと導いてくれる。

しかしながら、この作品は賛否は分かれるだろうと思う。内容的に難しく、テーマが重すぎる。様々なジブリらしいキャラクターの登場はあったものの、容姿は変われどこれまでの二番煎じな感じは否めなかった。また、戦中の日本から始まり、和洋折衷の年代も関係なしの舞台が、次から次へと繰り出され、展開も慌ただしいので、小さな子供まで楽しめる作品とは言い難く、これまでのジブリ作品としては、異彩を放つ内容だ。

そして、そして…、本作の最大のサプライズは、ラストのクレジット・ロールにあった。声の出演者として映し出された名前を見て、「エッ!」と驚かされたのは、自分だけではなかったと思う。

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bunmei21

3.5共感出来ない、教訓さえない!

2023年7月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

難しい

日本のみならず、世界でもその名を轟かせた大アニメ監督である宮崎駿さんが自身の引退を撤回し、長年の歳月をかけ作り上げた新作長編アニメーションです。

期待しないわけがないですね。ファンとしては指折り数えて今日のこの日を待ちました。

ただ事前の宣伝広告が一切なく、作品に関する情報が「君たちはどう生きるか」という題名以外は完全シークレットでしたから、実は不安のほうが先にたっていました。

題名からして、凄く説教くさい作品じゃなかろうかと(笑)。お前らは人生というモノが全く分かってない、・・・みたいなことを止め絵で延々と語られることを想像しました。

しかし、その想像は全くのハズレでした。映像美や躍動的な人物の動き、心理描写なんかは最高!いつもの宮崎ジブリアニメでした。これは流石と思いましたね。

ですが・・・ここからが問題。人物、特に主人公の行動や思想、嗜好などが随分と偏りがあって行動も突拍子がないのです。

もしかしたら宮崎駿監督自身を投影したからかもしれません。

彼自身も素晴らしい作品を生み出す人ではあるが、一個人として人格者で皆に愛される人かっていうとそうじゃないわけですよね。

作品中の主人公もなんかひねくれていて偏愛でマザコン気味の少年(失礼)で、周囲に敵意剥き出しにしてあわや暴走しそうになってる様はあまり好感もなく無論、共感できるものでもありませんでした。

その彼が何か得体の知れないファンタジーの世界に誘われるのですが、終始掴みどころがなく、題名になっている名著の様な明らかな教訓の提示もなく・・・これはいったいどこに心を寄り添わせるべきなのか、むしろ観客に気を遣わせる映画になっていました。

「となりのトトロ」を初公開時映画館で観たオールドファンとしちゃ本当に残念な作品となってしまいました。

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やまちょう

5.0「『スタンド・バイ・ミー』と『壊れかけのRadio』」

2025年5月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

知的

難しい

癒される

東京は警報級の豪雨で、GW後半の予定を変更して帰宅しました。疲れてうとうと眠って目が覚めて、夢うつつで映画を観ていました。主人公の眞人と同じように…

「この映画、こんなに優しい映画だった?」「宮﨑駿監督の自伝的映画、って言われてたよね!?」そんな話をしながら、金ローを観ていました。

11歳の眞人の姿に、『スタンド・バイ・ミー』の主人公ゴーディを思い出しました。幼馴染みの4人の少年、12歳の夏の日、列車に轢かれた少年の死体探しの旅。原作はスティーブン・キングの“The Body”(死体)。

4人は旅の途中焚き火を囲み、ゴーディは創作したファンタジックホラーを話します。友達から物語の続きを聞かれて、この先は無いことを上手く答えられず、その終わりではつまらないと言われてしまいます。

映画版の主人公は成長して作家になり、スティーブン・キングの少年時代のように描かれていました。

眞人が自由に空想していた異世界や、言葉にしたら壊れてしまいそうな心の奥に秘めた想いを、そのまま映画にした宮﨑駿監督。評価が分かれてしまったこの映画の、眞人とゴーディの姿が重なりました。

『君たちはどう生きるか』は、劇場で鑑賞した時には、★を多く付けられなかった作品です。

公開当時、頑なに“宣伝をしない宣伝”にも、この映画のタイトルにも、所謂あざとさを感じて身構えてしまったからだと思います。

『スタンド・バイ・ミー』と同じように、宮﨑駿監督の自伝的な回想だと思いながら観ていたら、全く違う感想になったのにと残念です。

映画館で観た時に、何となく好きになれなかった作品を、納得できなくて後付けの理屈で評価していたりします。

時間が経って地上波でもう一度観たら、こうして評価が変わることも、不思議なことにたまにあったりします。

TV地上波の映画放送は、SNSで感想をリアタイ共有できて、配信とは違う2回目の映画鑑賞の楽しみがあります。

「みんなとつながる映画館、金曜ロードショー」の枠は、いつまでも無くならないでほしいと願っています。

✎____________

2024年1月31日映画館で鑑賞
2025年5月2日地上波で鑑賞
5月2日★★★★★評価
5月2日レビュー投稿
5月4日レビュータイトル編集

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ひな

3.5素晴らしい絵と世界観。けどよく分からん

2023年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

率直によく分かりません。別に難しい話ではないのですが、君たちはどう生きるか、と言われるとどうもあれこれ考えてしまうんです、なんか強烈なメッセージでもあるんじゃないかと─。
難しく考えるとなんかダメな気がします。単に、希有なクリエイターの力作として存分に楽しめば、素晴らしい作品のような気がします。
絶対的に変わらない絵とアニメーション、なのに古さをみじんも感じない─レトロな感じはするけれど・・・。目眩く世界観、自在に世界がどんどん変化していく、その様を感覚的に楽しむべきだったなぁと少し後悔。
さすがの質と作風でしたが、個人的には締め方があまり・・・といったところでした。

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SH

3.0普通に

Mさん
2023年7月22日
Androidアプリから投稿

おもしろかった。
賛否両論あったので、自分はどちらかなあと楽しみでした。
宮崎監督は、晩年の大林監督と同じように、戦争のことを伝えたかったのかなあ、と思いながら見ました。(勝手な考えなので、監督の考えは全く違うのかもしれませんが)

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M

4.0アオサギ、特殊詐欺、フィッシングサギ

2024年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

 久しぶりの映画館鑑賞となりました。映画館は北陸初のIMAXシアターも増え、各スクリーンの扉も新しくなっていた・・・まるで別世界に迷い込んでしまった感覚に陥りましたが、映画そのものも別世界に。所々宮崎駿作品らしいというか、過去作へのセルフオマージュを散りばめられたような映像・演出部分(特に湯バーバ)にほっこり。ちいかわまで登場・・・笑笑

 アオサギ、ペリカン、インコという鳥の世界。神隠しに遭った少女といい、生と死の狭間を彷徨う姿が生き方を問うかのような不可思議な感覚にさせてくれた。特に積み木なんてアイテムが考えさせられるのです。

 ただ、ストーリーはキリコとヒミが現われた時点で読めてしまうのが残念なところでもあるし、グロテスクさも現実と不思議世界の対比で中途半端になってる気がしました。ドロドロの血とこぼれそうなジャムの色が似通っていたりして・・・

 久しぶりの宮崎作品を観ただけで涙を流してしまいましたが、冒頭の火災シーンで輪島の朝市通りを思い出したり、キリコ(能登の祭りの切籠)やヒミ(氷見市)という名前が追い打ちをかけてきました。さらには落ちてきた塔とかで震災を思い出さずにはいられなかった。公開当時に観ていればそんな感情は湧かなかっただろうに・・・

 戦争を扱った部分はあったけど、悲惨な被害は敢えて(?)描かず、少年眞人の複雑な感情中心だったと感じた。叔母さんからお母さんへと変化する夏子への想い。火災で死ぬことがわかっていても生きることの意味。もしかして大空襲や原爆被害についても予知していたかのような眞人の表情が気になるところ。なにしろ大伯父の顔がアインシュタインに似ていたし・・・

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kossy

4.5君たちはどう生きるか?で、君たちって誰?

2023年7月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

はい。良く私のやんちゃ&妄想レビューを覗きに来て頂きました。ありがとうございます。

この映画って毀誉褒貶が激しいですね。モーゼの十戒か!わからない。つまらない。そんな意見もあります。 それでもいいんです。リリースした瞬間から受け手のものですから、それでもいいんです。でもね・・・ちと、もったいない。私達があんなに愛した宮崎駿を一刀両断で切り捨てていいのでしょうか?

さてと・・・やや個人的な話しです。この映画は鳥が沢山出てきますね?鳥マニアの私はたまりません!

インコ

特にセキセイインコ。可愛い。大好き。動画でお喋りインコを見ちゃう。沢山。そして知能も高い。(ジャングル大帝レオでもライオンキングでも知性の象徴です)
でもね・・・インコって最大の特徴はモノマネじゃないですか?私はアニメーターさんと解釈しました。先輩の技術を真似て、一流のアニメーターさんに成長するのではないでしょうか?

ペリカン

嘴の袋が印象的ですね。これはメディアの象徴ではないでしょうか?クリエイターの作品をガンガン食べて育つ。そして消費する。私達もペリカンかもしれません。

アオサギ

敵なのか、味方なのか中々正体が判然としません。宥めたりすかしたり褒めたり貶したり。

正体は鈴木敏夫プロデューサーです。眞人(まひと)を不思議な世界に導いた張本人ですから。

プロデューサーって大変な仕事。主には予算管理。アニメって映画公開まで一円も儲かりません。つまりスポンサーを探すのが一番大事。ただねスポンサーの意向を聴かないとダメです。具体的に言うとジブリの映画に出て来る調理シーン。美味しそうですね。はい大手食品メーカーがスポンサーです。

天才肌のアーチスト宮崎駿はなんども衝突したはずです。(この辺りは実写映画のハケンアニメでも触れられいます。)

最大の敵であり最大の味方。

映画は終盤に、昔、忽然と消えた大伯父が登場します。主人公の眞人(まひと)と対峙します。不安定な積み木を毎日積み上げています。それはアニメの作画そのもの。

やや混乱。眞人は宮崎駿本人だと思っていたからね。

この方は手塚治虫?高畑勲?いや違う。宮崎駿本人です。

宮崎駿は本質的にはアニメーター。自分で全部描きたい人。では主人公の眞人は誰?

私は息子の吾郎さんの長男と解釈しました。2008年生まれなので現在、14歳か15歳ですね。つまり宮崎駿にとって孫にあたります。

多分ですが宮崎駿は息子の吾郎をアニメ業界に入れた事に色々思うところがあるのでしょう。すぐに叩かれるしね。

宮崎家の一族は駿が超有名人なんで色々あったのでしょう。せめて孫には自由に生きて欲しい。

アニメ業界は華やかな世界じゃないよ。暗い森を分入って、塔にはいる。そこは魑魅魍魎が跳梁跋扈する世界でもあるよ。

そんな願いが込められています。なんならジブリがなくなってもいい。

そう感じました。

余談ですが京アニの放火事件のあと京アニの映画を観に行ったんですよ。

こんなに美しい絵を描くアニメーターさんが不憫で切なくてね・・・胸がいっぱいになりました。ふと気づくと周りの方々も泣いています。泣く場面でもないのにね・・・

エンドロールにはジブリゆかりの制作会社がいっぱい。熱い熱い。

やっぱりアニメは絵が命。そんな事を思いました。

前半の30分は盟友、高畑勲に捧げられています。火垂るの墓みたいだしね。

そんな宮崎駿のメッセージ。しっかり受け取りました。

日本には手塚治虫と宮崎駿がいる‼️

いやね大谷さんとTONIKAKUさんも誇らしいんですけどね・・・

一応ですが個人的な意見ですよ。

お付き合い頂きありがとうございました。

PS 色々考えているうちに評価が上がりました。そんな映画も有って良いよね!

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masami