「繊細な表現はジブリならでは👍でも…」君たちはどう生きるか 蜷川吝塀さんの映画レビュー(感想・評価)
繊細な表現はジブリならでは👍でも…
昨夜(2025/08/15)から、バンコク→成田の機内で、予めダウンロードしておいた本作をスマホで観ました。
国内で観られないジブリ作品を、海外渡航でアプリで見つけて現地でダウンロード、帰路で視聴というまわりくどい方法でしか観られないのが、いささかもどかしいですが、観られてよかったです。
「わけがわからない」などの評判を以前に目にした以外は、何の予備知識もなく観ました。宮崎駿作品らしからぬシーンとシーンのギャップ(映画後半の大叔父と眞人と会ってから次の場面への切り替えなど)に違和感を覚えました。
昭和初期、戦時中の日本の風景は、当時をリアルで見ていないせいもあるかも知れませんが、とても繊細で細かく、リアルでした。火事のなか、母を助けんと人混みをかき分けて眞人が疾走する表現にも、ジブリらしからぬ違和感を感じました。
しつこくまとわりついてくるアオサギの羽ばたき、弓をいる時のたわみながら飛んでいく矢の表現は『もののけ姫』のままで最高でした。
自らのこめかみを、石で叩いた時の尋常ではない流血は、『千と千尋』の千尋がハクからもらったおにぎりを食べて流す大粒の涙を思い出させました。
眞人に襲いくるペリカンの群れ、『ハウルの動く城』のカルシファーの如く、火を纏った娘。
火事で命を落とした母をなんとか救おうと努める眞人の姿などには感動を覚えました。が、120分超えのアニメとなると余程でない限り、集中力が続きません。
本作の劇中歌や、エンディング曲からはほぼ感動しませんでした。
新しい風を取り込むために、いわゆる“ジブリらしいジブリ映画”から離れたい気持ちがあるのかも知れません。オールドスクールのジブリ作品が好きな身としては、「そういうのいいから」。という気分です。