「ごめんなさい、理解不能です。」君たちはどう生きるか こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
ごめんなさい、理解不能です。
ここ半年ほどずっと体調を崩していて中々観られなかったのだが、先日中古のBDを購入したので鑑賞した。
コレは、宮崎駿監督の極めて個人的な生い立ちや体験を、走馬灯のように鮮やかな色彩で描き切った、観客の理解なども全く考えないファンタジー映画だと感じた。
個々のキャラクターの仔細は全く分からないし、新しいお母さんを探しに行って、本当のお母さんに会えた喜びまでは何となく分かったが、大叔父さんが保ち続けた世界を呆気なく壊して「自分の世界を作るんだ!」と自信満々に帰って来る辺りは殆ど理解できなかった。
ただ、とにかく晩年の黒澤明作品をも彷彿とさせる、そんじょそこらのフワッとしたアニメ等とは程遠い《力強い、強烈な色彩感覚》は観ている間、本当に心地が良かった事だけはハッキリ言える。声も、より自然な人間らしい喋りを意識して、敢えて有名な声優を使わず、様々なジャンルから選んでいるのも宮崎駿らしい発想だ。まぁ、以前の○野さんより酷い喋りwをしていた人は居なかったから、その点でも良かったが。
NHKで制作過程を追っ掛けてたドキュメンタリー番組も録画してあるので、これから後を追い掛けて、物語をより楽しみたいと思う。
最後に、今流行りのアニメ等をひたすら見ている若者たちに伝えたいのが、《乱暴なほど大胆な構図やアングル、原色に近い色使い、かと思えばまるで見てきたかのような精細な背景描写》、これらが混沌とした物語の中でどれだけ観客へ芳醇な効果を発揮出来ているか、たとえ物語が分からなくてもどれだけ観客の心に突き刺さる映画と成り得るのか、映画館の大画面でしっかりと目に焼き付けておいて欲しいと云う事だ。
これは宮崎駿にとって最終作に成るかもしれないが、そうなっても惜しくは無い、ぶっ飛んだ作品だという事は、良く物語が出来ていない頼りない映画好きの一人としてだがw、強く言っておきたい。