「宮崎監督の、その時を振り返る話」君たちはどう生きるか mizukaさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎監督の、その時を振り返る話
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亡くなった母の妹と再婚するという父親やまだ共に暮らしていないのに妊娠しているという新しい母への不信感。老人たちへの嫌悪。口に合わない食事への批判。そして亡くなった母親への強い思慕。
そんな子どもらしい態度を率直に出せるのは子どもを子どもらしくいさせてくれるまわり環境があるから。
子どもだった眞人は異世界で生きるための殺生や命の選択の不条理を経験する。また生命誕生の神秘や世にはびこる悪意などを知ることになり、冒険や正義、協力を通して成長していく。
この話は少年が子どもから大人になる、その時どんなことが起きるのか…それを映像化したものだと私は捉えた。心の中で起きている大事件、子どもの世界が崩壊し、大人のそれが再構築されていく過程。
火事で亡くなった母が、もしも火を操る特別な力を持っていたら…火事で亡くなるはずがない…どこかで生きているかもしれない。少年の切ない空想が作り出した物語と捉えることもできる。
いつから自分は子どもではなくなったのだろうか、その時何が起きた?何を見た?そう考えれば全ての場面が腑に落ちる。
宮崎監督の自伝的成長譚だとしても、そこには普遍的要素が詰まっている。
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