「つまらないのを覚悟して行ったらめっちゃ面白かった」君たちはどう生きるか なつさんの映画レビュー(感想・評価)
つまらないのを覚悟して行ったらめっちゃ面白かった
事前に軽く情報を仕入れて行ったから、わけわからんと思う描写は少なかった。
妻が死んでからすぐ妻の妹と結婚!?とも思ったけど、あの時代、家と家との結びつきの方が大切だから、姉が死んだら妹と結婚するのは割とよくあった。でも、あの夫婦はお互い大事にしているっぽいね。
あと、くちばしの栓を作るシーンで、アオサギに騙された直後によくまた助けたなとか、2回目はアオサギは騙さなかったとか、ご都合主義が見えるところもあるけど、あのアオサギのちょっと怖いシーンを描きたかったんだろうな。
生まれる前の魂がいるところは、スピリチュアルでよく聞くやつ。私が聞いたのは、光の粒が食べたり歩いたりして成長したら、虹の滑り台を滑って母の腹に行くっていう話。それを上下逆にして、飛ぶ表現にしたんだね。
あと、隠喩がたくさんある。あの時代は宮崎駿が少年時代に生きていた世界、老人は現代の宮崎駿、墓石ブロックは今までのジブリ作品。崩壊した王国はスタジオジブリ。和風不思議の国のアリス風に説明したジブリの崩壊って感じ。描きたいところを所々描いてから繋げたように見えるから、一貫性やメッセージ性を求めると「❓」ってなるかもだけど、それぞれの素材は一級品。ポニョの大波、もののけ姫の毒、ハウルの火花、ナウシカの虫に、ラピュタ城の崩壊。他にも、「この花、ラピュタに咲いてなかったっけ!?」とか「念入りに階段を壊すインコ大王!?なんか似たシーンあった気がする!」とか気になるシーンはたくさんある。トトロの病院も木造二階建てだったかな。風立ちぬの零戦の屋根部分だろうなとか。
あと、私の祖父母がど田舎で築100年家に住んでいるんだけど、四つ這いで駆け上がる高い階段や古いけど綺麗な色のタイル、着物みたいな掛け布団の模様とか、なんとなくわかる。
何に泣くかって、辞める辞めると言いながらこれら一つ一つを描かずにはいられない、宮崎駿のクリエイター魂に泣ける。