劇場公開日 2023年7月14日

「夜見る夢に理屈はないように」君たちはどう生きるか suupaamannさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0夜見る夢に理屈はないように

2023年8月17日
iPhoneアプリから投稿

朝起きて、寝てる間に見た夢を思い出す時、素敵な夢を見たなーと思ったり、二度とごめんだというくらい悍ましかったり、色々あります。
生まれてから今までに脳内に蓄積された、様々な要素が形を変えたり、拡張したり、変容しながら紡がれていくのが夢であって、冷静に考えると辻褄が合っていないことはよくあります。

この映画は、(事実は知りませんが)宮崎駿が見た夢を追体験する作品なのだと感じました。

母を救えなかった後悔、新しい母への違和感と愛せねばという葛藤、疎開先で出会った生き物とどこかで出会った生き物やモノたち、人たち。
戦争、世界の行末への不安。

それらが、宮崎駿の脳内で形を変えながら、一つの繋がりとなって投影されたのだと思います。

ですから、本人(宮崎駿)以外が、理屈によって解釈をする性質の作品でもないし、観た人がどう感じ、受け止め、自らの価値観にどう追記していくのかは、人それぞれでしょう。
それが、君たちはどう生きるかなのだと理解しました。

絵画でも音楽でも、創作物には作り手の精神が表現されていて、でも、受け手がどう受け止めるかは、それぞれの生きてきた価値観で変わるものですから、どう生きるか、の前に、どう感じるか問われているのだと思います。

suupaamann