「『地球儀』で完結する物語」君たちはどう生きるか コットンさんの映画レビュー(感想・評価)
『地球儀』で完結する物語
一回目は初日初回、当たり前だが何の情報も持たずに観に行った。
どうにかメッセージを汲み取ろうとしたが、どうにも難解だった。
意味を得ようと約2時間、ひたすらアンテナを張り巡らせた結果、余計に分析が追いつかず、それ故ラストに正解を求めようとしていた私は、呆気ないというか、肩透かしをくらったように感じていた。
彼は、あの後どうなったんだろう?と。
何が、君たちはどう生きるか、なのか?と。
本日、2回目を観た。
今回は気楽に観ることができたので、少年が体験する不思議な出来事を、流れるままに観れたのが良かった。
だがラストシーンは、前回と同じような気持ちだった。
そんな中『地球儀』が流れ始めた。
これまでに『地球儀』は何度も聴いていた。
なので、歌詞は空で歌えるくらい覚えていたのだが、2回目を観た直後だったためか、歌詞の内容が全く違って聴こえたのだった。
『地球儀』は、おそらく、その後の主人公を描いた歌なのではないか?
その後の眞人の視点に置き換えると、妙にしっくりくるのと同時に、もやが晴れたかのように安堵できたのだ。
この歌をもってして、初めて私の中で、この物語が完結した。
主人公が、この後、どう生きたか。
歌詞のそこかしこに、過去を大切にし懐かしみながらも、前へと進んでゆく主人公の姿が描かれていた。
人生とは続くもので、それぞれの道がある。
道を曲がる。ということは、曲がる前の道は振り返ることができない。ということ。
主人公は自分なりの正しさを持って進んでいるのだ。
人との関わりを持つくらいなら、自傷さえもやってのけた彼が、この道の行先に誰かが待っている。と未来に想いを馳せるようになれたのだ。
ああ、良かった。と。
私は、そう解釈して納得した。
自分が知りたかったのは、彼が(その後)どう生きたのか?だったから。
大なり小なり、人はそれぞれ何かしらの秘密を抱え、取捨選択をしながら大きくなってゆく。
それでも地球(儀)を回す=日々は続いていくのだ。
私にとって、これは、そんな誰かの物語だった。
※追記
宮崎駿監督から米津玄師へ。
それぞれの作り手の気持ちは想像しかできません。
監督の意図は分かりません。米津さんの思いも分からない。
ただ、この訳の分からない私のもやもやは、歌を通じて未来の主人公を想像をすることで、やっと昇華できた。そんな気がしました。
この曲を監督が選んだから。そういうことにします。
誰に押し付けるでもない、自分自身が納得のいくように解釈をしただけのものです。