「悪意に染まらぬもの」君たちはどう生きるか 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
悪意に染まらぬもの
悪意を識る者こそ、悪意に染まらぬものだとしたら、私の悪意は、何処に向かえばいい?。
原本未読。予備知識は、原本原理主義者が本作を観て、怒り捲っているとの噂だけ。まぁ、無理もないですね。
この映画、傑作だと思います。まず映像。宮崎サンの集大成。これまでのジブリ作品、総てに捧げるオマージュ。だから、初めて観るのに懐かしい。それだけでも凄いことですが、やはり、原本が気になる。おそらく宮崎サンが、原本から大きく逸脱したのは、原本と張り合うことを避けたのでしょう。何故避けたのか?、その理由は原本読むしかなさそうです。きっと宮崎サン、自分のネームバリューを使ってでも、多くの人に、原本を手に取ってほしいんだろうな。私、手にしてませんけど。
観てから読むか、読んでから観るかで、意見が真っ二つになるようですが、改めて本作のタイトル、思い出してほしい。私達に、悪意に染まらぬものを受け継ぐ資格が、あるのか知りませんけど、他者を批判、あげつらうことで、自分が優れていると思うような生き方、したいですか?。君たちはどう生きるかを問う前に、私がどう生きるかを問うべきかな。
追記
「沈黙の艦隊」映画になりますね。原作好きの私としては、どんなに優れた映画であっても、今回は、原理主義者として、敵に廻る予定です。予告見ただけで、私の悪意が止まらないから。
更に追記
ネットの受け売りです。日本人の国語力、読解力は著しく低下したそうです。文字は読めます。単語の意味は、分かります。ただ、その文章を書いた人の意図を汲むことができなくなったそうです。
例えば「はだしのゲン」。作中に、ゲンが朝鮮の人を、からかうシーンがあります。それを見たお父さんがメチャメチャ怒ることで、差別の愚かさを伝えようとしたのですが、からかうシーンだけ見て、「はだしのゲン」は差別マンガだと思っているヒトが、いるそうです。
原因は不明。ネットで短文のやり取りを繰り返すうちに、表面的な言葉のみ使うようになったとか、学校のテストが、木を見て森を見ない、字面だけなぞる文言解読に、高得点つけるようになった為とか。学校で、思想、信条を教育するのは、やめてほしいですが、何故、文章を正しく解読することが必要なのか、何の目的で長文が、今、そこにあるのか、そこは伝えてほしかった。
昔と異なる宮崎サンを嘆くコメントが、散見されます。「ワ◯ルドスピード」のように、フォーマットは変えず、アクションスケールだけをアップすることを良しとしない宮崎サンの意図は、何処にあるんでしょうね。変わりゆく世界を描けば、変わらない世界を求める方々は、反発するでしょう。それでも、この映画のタイトルは……ね…。
書き込み自体が、他者を批判することになりますが、アニメという変わらない世界から、変わりゆく世界を描こうとした宮崎サンの問いかけを、汲むことができるのは、誰かな?。未だに「カリオストロの城」の、派手なアクションが好きな私が言うのも、変ですが…。