「感謝」君たちはどう生きるか villageさんの映画レビュー(感想・評価)
感謝
冒頭の5分、火災のシーンで「あぁ、これが宮崎駿の映画だよな」と思った。階段を駆け上がり群衆を掻き分ける躍動感のある人物の動き、まるで生きもののように蠢く炎の描写に、目が釘付けとなった。
前半の静寂(感傷的な静けさ)と、後半のごちゃごちゃ(しっちゃかめっちゃか)感。イマジネーションの大海原に放り出されたような感覚。CGでは真似できない手書き作画ならではの美しい映像表現。端々に感じとれる自然や生き物たちへの敬意や畏怖。敵とも味方ともつかない不思議なキャラクター同士の関係性。頭で理解しようと思っても追いつかない数多くの暗喩たち。
そして、これまでのジブリ作品を思い出すようなオマージュ(と思えるシーン)の数々。
見終わった後に、結局よく分かんねえな、という感想を持つことになった。でも、それも「もののけ姫」以降はずっとそうだったような気がする。
稀代の天才アニメーターが、純粋にただ自分の作りたいものを作った作品。
80歳を超えてなお有り余るその想像力や情熱を目の当たりにして、彼の頭の中(心の奥底)を少し垣間見ることができたような気がした。
そういう意味で、これが宮崎駿の最後の長編映画だとしたら(おそらくそうなるのだろう)、こんなにふさわしい作品はないと言っても良いかもしれない。
これまでの数々の作品への感謝の意味も込めて、(かなり贔屓目に見て)★5つです。
コメントありがとうございます。
イマジネーションの大海原。観ているときに自然と浮かんできた言葉です。広くて深くて、底知れないです。
火災のシーン。あの短い間に、どれだけの時間と労力がかかっているのかなと考えてしまいます。すごい技術と情熱です。
イマジネーションの大海原!
まさに。
監督の創り出すものにこめた思いは深くその熱量に圧倒されました。
振り絞り、伝える…そこに、わたしも感謝の気持ちでいっぱいです。