「難解?いえいえ カへカへ テーマはわかりやすい「コピー」です カへ」君たちはどう生きるか sinnrinn kouennさんの映画レビュー(感想・評価)
難解?いえいえ カへカへ テーマはわかりやすい「コピー」です カへ
7月14日、15日、16日、22日視聴。
映画が、まだ身体の隅々まで沁み入っていない現時点での感想です。
まず、以下『』内、私の7月19日tweetを、ご覧ください。
本稿のダイジェストとなります。
『 ネタバレ注意
インコは声真似。コピー の象徴かと。
大叔父様や彼の築いた世界は、黒澤明監督的な存在や映画界の比喩でしょう。
最終盤「時間がない」のに追い打ちをかけるようにインコ大王(コピー)の心ない行動で映画界は崩壊。
宮崎駿 流の警告?
定めならね 従うしかないんだよ? 』
君たちはどう生きるか のテーマ、「コピー」は2通りあるように思えます。
インコを通して描かれるもの
インコを通さず描かれるもの
今回は、公開後徐々に声が大きくなってきていると思われます、インコを通さず描かれる「コピー」 セルフオマージュ(今までの宮崎駿作品にこんなシーン出てきたでしょ)
については、記述しません。
インコを通して描かれる「コピー」についての記述となります。
まず、君たちはどう生きるか でインコとは何か。
インコは声真似をします。これは「コピー」の象徴かと思われます。
スタジオジブリは、自社映画作品の国内でのネット配信(アマゾン、Netflixなど)を認めていません。これは、一言でいえば行き過ぎた「コピー」を嫌っているからです。
作品最終盤、インコ大王は、心ない行動により大叔父様の築いた美しく幻想的な世界を
崩壊させてしまいます。具体的には、大叔父様が眞人に3日に1個づつ積むよう用意した13個の悪意に染まっていない石を、インコ大王が、まるでファスト映画を表現するような素早い動きであっという間に積み上げてしまい、積み上げられた石は案の定すぐにバランスを崩し~大叔父様の築いた世界はあっけなく崩壊します。
また、インコ帝国にいる無表情な、おびただしい数のインコたちはネット配信など、氾濫する「コピー」のわかりやすい例えでしょう。
つまり、ネット配信やファスト映画など、行き過ぎた「コピー」の横行によって、いまに映画界は崩壊しますよ、という重大な警告メッセージというわけです。
続いて
大叔父様や彼の築いた世界は、黒澤明監督的な存在や映画界の比喩でしょう。
について
「1993年4月、宮崎駿監督は、黒澤明監督と対談します。その模様はテレビ放送され、今もYouTubeで視聴することができます。また書籍化(「何が映画か」)されています。
宮崎駿監督52歳の頃です。対談の様子を一言でいうと、平身低頭。宮崎駿監督は黒澤明監督への敬意を隠そうとせず、聞き手に徹しています。」
「」内は、ー神の隠れる場所 映画「千と千尋の神隠し」のネガフィルムーより
一言でいうと、宮崎駿監督にとって黒澤明監督は憧れの存在です。また、アニメというくくりでなく広く映画界というくくりでは、宮崎駿監督は黒澤明監督の直系後継者という声が散見されます。
さらに、眞人の夢に出てきた、大叔父様が卓上で自分の積んだ石のバランスを確認するシーンでは、バランスを確認した高く積み上げられた方の石は7つ。(それとは別に2つの石が同じ卓上に。)この7という数字は、黒澤明監督にとって芸術全般の「最良の友」早坂文雄氏とともに完成させた「生きる」「7人の侍」「羅生門」を含む全盛期7作品を指していると思われます。
(※映画「千と千尋の神隠し」で釜爺が千尋らに渡した回数券の残り枚数は4枚。回数券は1951年から11枚綴りが定着。使用された7枚の回数券の意味は?詳しくは ー神の隠れる場所 映画「千と千尋の神隠し」のネガフィルムー を)
話が堅苦しくなりましたが、スタジオジブリ公式ツイッターのトップページを、ぜひご覧ください。7月14日公開日以降、かわいいアオサギのキャラクターがカヘカヘ鳴いています(笑)これはアオサギの鳴き声のふりしてモールス信号という声が大きいですが、私はさらに映画のテーマである「コピー」を表現していると読みます。
昔は(今でも)コーヒーのことをカフェと。カフェを単純化してカヘに。
カ→コ、ヘ→ヒに置き換えるとコとヒ、つまり「コピー」が浮かび上がるという仕掛けと
読んでいます。
ぜひ家族連れで鑑賞していただき、観終わった後上記のようなうんちくを、お子さんに。
気軽に本物の芸術に触れるチャンスかと。