「低評価ばかり目につくので」君たちはどう生きるか しろいろねことらさんの映画レビュー(感想・評価)
低評価ばかり目につくので
公開二日目に見てきました。千と千尋以降、少しずつストーリーの骨格が見えにくくなり、エンターテイメントから逸れてアート作品に立ち位置が近くなってきている感のある宮崎作品。
個人的にはストーリーも児童文学として王道だと感じましたし(異世界を訪ねたことによる少年の精神的成長)、真摯なキャラクター造形、圧倒的な世界観、美しいシーン、そして全編を経て伝わってくる、監督の「どのように生きてもいいんだよ」という誠実で優しいメッセージに、とても感動し、涙しました。
宮崎作品はこうでなければいけない、という先入観を持って鑑賞した人たちは裏切られ、失望した感があり、低評価をつけられたのでしょうか。
「宮崎作品でなければこんな作品に観客は入らない」というような立ち位置からの批評も目立ちますが、そうした批評は不誠実で嫌いです。興行成績の高低が、個人の評価と合わない場合に怒りを覚えるというスタンスが傲慢に感じるからです。
私はこの作品が、上記に挙げた理由からとても好きです。でも万人に受ける内容ではないのかもしれません。それで良いと思います。すべての人に受け入れられるように、スタジオジブリが会社として成り立つように、幅広いレンジに向けてこれまで作品を作り続けてきた宮崎監督が、本当に伝えたいことを伝えよう、として創られた作品に感じたからです。
評価が5でない理由は、ストーリーに粗い点や、キャラクターの心象の掘り下げがやや浅く感じたことにあります。そうした評価も、私の個人的な評価です。
映画批評なんてものは、個人個人違っていて当然です。主語を大きくする評価は、大嫌いです。それだけが書きたくて、登録させてもらいました。
低評価をつけた人へ一方的な先入観を持っている辺り、貴方も大概傲慢な人間のように見受けられます。一部の主張の強い方々への皮肉ではあるのでしょうけれど、少しばかりご自身を棚に上げた言葉が多くはないでしょうか。
主張が強いといえば今作も主張が強かったですね。ただ、コンセプトは素晴らしく感じましたが、どうにも監督の残した主張の強さが一人歩きしてしまっているように思えました。アートよりといえば収まりはいいですが、作品として洗練されておらず、あくまで駿ありきの作品、といった印象が拭えません。次世代へ託す、というよりは投げた。監督が投げた作品を監督らしい作品として評価するのは度が過ぎているように思えます。
なのでわたしは低評価。
ジブリ映画の何一つ、きちんと通しでみたことがありません。月に平均3本くらい鑑賞する、純粋に映画が好きという立場でみましたが、今年No1のつまらない映画でした。
もともとジブリ大好きという人しか対象にしていない映画だったとしたら、鑑賞しにいった私が悪かったです、申し訳ありません。