劇場公開日 2023年7月14日

「悲しみを抱えて生きる」君たちはどう生きるか しんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5悲しみを抱えて生きる

2023年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

宮崎駿という監督は、最初から一貫してこどもたちのための映画を真摯に真面目に創り続けてきたひとだと思います。だからこそ彼の作品は、大人が鑑賞した際にも、こどもに戻って観られるものになっていて、それが素晴らしいと思うのです。
この作品を観た後、こどもたちのこころにずっと残るメッセージがあるとすれば「空想の世界は悪意もなくて整然としたルールに守られた美しい世界だけど、それは積み木の塔のようにもろくて壊れやすい。いっぽうでぼくらの生きてる現実は悪意に満ちてて混沌とした世界だけど、とても強い世界だ」
「空想の世界が壊れてしまうのはとても切なくて悲しいことだけど、ぼくたちはその悲しみを抱えてこの現実を生きていかなきゃならない。そしてぼくたちこどもが守られるだけの弱い存在から成長していくためには、不完全なこの世界を許して受け入れなきゃいけない」
というものではないかなと、こどもに戻って鑑賞したぼくは感じました。

しん