「集大成作品として見ない」君たちはどう生きるか TTJDKさんの映画レビュー(感想・評価)
集大成作品として見ない
君たちはどう生きるかと問う作品なのかなと、予想して観たがそんな事はない。
今まで観てきた宮崎作品を下敷きにした新しい境地にある映画なのだ。
なぜなら、全く分かりやすく作っていないし、全く説教臭くない、ただ自分の作りたいものを熱意を持って作ったと感じる作品だからだ。こう言う作品は、はっきり言って若いと感じる。
長いキャリアの中でいかに映画を面白く見せるか計算し、観客に伝えたいことを明確にする、現に宮崎作品ははっきりと何が言いたいかわかる作品が多い。しかし、この映画にはそう言った分かりやすさはない。
それでいて、何の話かわかるけどわからない気分になる、しかしどこかで観たことあるような、既視感はある。ここは、あれだな、あそこは、これだなみたいなシーンがたくさん出てくる。宮崎監督でなければパクリだオマージュだの連続だ。しかし、自分の作風の、オマージュしてるんだから文句はない。
では、何作も作っている監督がそう言う作り方をするだろうか、あまりないのではないだろうか、それでいて感じる若々しい熱量。鑑賞後、頭をガンガン殴られたような衝撃を受けた。
次の作品を予感させる熱量がこの作品にはある。何作も積み上げないとこの作品は出来上がらないと言うことに衝撃を受けた。さらに、まだまだ次の作品への足がかりなのだと思うと、なんとも先の長い話で途方もなさを感じずにはいられない。
あれこれと思う事を書いたが、この作品は凄いんだとシンプルに思う。次の作品を楽しみながら今は積み上げられた重みを感じつつ余韻に浸ろうと思う。
星5にしない理由はまた次の作品に取っておこうと思うからです。
予備知識なしで観る映画鑑賞もまた新しい。今度タイトルのみであらすじも出演者も見ないで映画を鑑賞して、この映画との差異を検証するのも悪くないかなと思う。