「序盤とそれ以降とで 監督も作者も違う」君たちはどう生きるか タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)
序盤とそれ以降とで 監督も作者も違う
風立ちぬも ストーリーはひどかったのだが 監督は明らかに 宮崎駿 だった。 それは演出の力によってわかるのである。 演出の力というのは絵の構図とか色 バランス 、カメラワークなどによって伝わってくる 迫力とか緊張感とか 深みとかいうものとなって現れるのだ。 私が今回の作品を見て 演出の力を感じた部分は 3つ。 1つは婆様たちのいる部屋に主人公が近づいていくところ 。.。.それまでカメラを停止した時間を長くとっ、ここぞのところで 主人公に合わせてカメラが移動する・・という 宮崎駿がよくやる手法がとてもよく決まっていて 迫力があり怖さも出ていた。 2つ目は 堤防の上で主人公が他の少年たちに僕にされる シーンだ。 意図的に カメラを引いた構図を使ってこのシーンに何か 深い意味がありそうだという雰囲気を醸し出していた。もう一つは 主人公が自分の頭を石で殴ったら 思いがけず 血がたくさん出てきたところ。 意外性があって 見てて結構 びっくりして怖かったので 宮崎駿の演出だと思う。 その後を少しの間 スローダウンしたように見えたが あれは主人公がなぜ計画を実行しないのか、 その理由を 観客に考えてもらうためだと思う。 だからその辺までは 監督自身の脚本、 演出 だったと私は思うのだ。
主人公の父親は母親と政略結婚した。金持ちと金持ちのコラボレーションだ。父親は 最初の奥さんが亡くなったのでその妹と結婚した。 これを彼は大喜び しているようだ。その資金のおかげで 事業が順調なようだ。 もしも妹が他の男と結婚したら そうはいかなかっただろう。 そして少年は誰かを陥れようとして自分の頭を殴った。だが自分のその行動に嫌気がさした。父親と同じ悪党の血が自分の中に流れていると感じたからだ。・・・ これはおそらく 宮崎駿の生い立ちと似た設定だと思う。違うのは 宮崎駿は長男ではなかった。 もし 長男に生まれていたら 事業を継がなければならなかっただろう。 果たして映画監督になるという 今のような生き方ができただろうか?・・ さあ 君たちはこういうシチュエーションに生まれてしまったら、どう生きる?
・・という問題を 若手のアニメーターたちに投げかけたのではないかと思う。
考察
しかるにバトンを受けた 監督や脚本家たちは宮崎監督が どんなバトンを投げたのかさえ 理解することができず ワケのわからないものを作ってしまった。 全然思い入れをしていない継母がいなくなったからと言って 何だというのだ ?観客はそのどこに 主人公のモチベーションを見いだしたらいいのだ?作家や監督が主人公に何をやらせたらいいのかわからないんだから 観客が見ていて何をやっているのかわかるわけがない。 演出 に全く力がない 。絵も構図も カメラワークも全て平凡。インコのキャラクターとか全く魅力がない。あれを見て 宮崎駿 デザインだと誰が信じることができるのだ?人物のアップは ゲスだった。
この作品は序盤はかなり 点数高いが それ以降は0点だ。一体何点をつけたらいいのか とても困ったよ 。