「タイトルがいけない」君たちはどう生きるか たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルがいけない
あの宮崎駿大先生がいったん折った筆を握り直して引退を撤回してまで10年ぶりに世に問う長編作である。予告編も作らず鳥の被り物をつけた鳥のポスター以外に一切PRや宣伝無しで「見たければ見ればぁ」というスタイルはくやしいが正解と言わざるを得なくてこれを観ずにやり過ごすことのできる人がどれだけいるだろうか?
他の人のレビューを見ると賛否両論でやはり自分で観て確かめたくなるであろうが、もし宮崎駿信者でなければあまり面白くないので見なくてもよい作品だしその時間があれば「ナウシカ」か「ラピュタ」をもう一回見たほうがずっと良いかもしれない。お話はそんなに悪くはないのだが、タイトルがいけないのだ。80歳を超えた巨匠に「君たちはどう生きるか」と問われればどうしても強烈なメッセージを持った感動作を期待してしまうが、中身は戦争中に少年が疎開先の田舎で体験する「不思議の国のアリス」的な冒険ファンタジーである。監督自身がアニメーション制作が好きで好きでたまらないという気持ちはひしひしと伝わってきて、人物や動物がフレームインしてアウトするまでをきちんと描くシーンが多く尺が延びる所以。もう少し意見を言えるプロデューサーがいたならばテンポよく面白くなっていたと思われるので観客を無視してやりたいようにやらせた鈴木プロデューサーの責任は問われるべきであろう。
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