劇場公開日 2023年7月14日

「今この映画を見ることができる幸運」君たちはどう生きるか sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今この映画を見ることができる幸運

2023年7月19日
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日本人でよかった、と思えるのはどんな時だろう?

この映画を見て、日本人で本当によかったと、自分は思った。
言葉もそうだし、下地になっている歴史も、描かれている時代の空気も、そしてそれが今この現在の日本に向けて作られたのだという、その感覚も、ダイレクトに感じることができるから。
なんて幸運なことだろう。
なんかこう、こんな映画が作られるまで、生きててよかった。

内容は、とても説明できる気がしないし、見てない人に言葉で語っても無駄かもしれないと思う。
ファンタジーといえばファンタジーだけど、イメージが氾濫しているというか、普通にストーリーが展開していく感じではないので、ともすると行き先がわからずにイメージの中に溺れてしまいそうになるかも。。
ただそこで、主人公眞人のあの強い目が、あの視線が、我々を物語の先に連れていってくれる。

タイトルになっている「君たちはどう生きるか」の本とは、少し世間にも流れている情報のとおり、全く関係がないです。
ただ、本を読んだ人はそう感じるのではないかと思うけど、心に伝わってくる感じ、雰囲気は、よく似ているところがあるように思う。

これは、このわけのわからない時代に、まっとうな心で生きていくための道標のようなものを、しなやかに、したたかに示してくれる映画だと思います。
世界中のどこにも、歴史上のどこにもない、そして生涯二度と見ることのできないような、傑作かと思います。
日本人として、この国に生きて、今この映画を見れて、良かった。

sokenbitea