「この夏はもう来ない」君たちはどう生きるか アルバーさんの映画レビュー(感想・評価)
この夏はもう来ない
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物語のある時から、テンポが速くなる。ハヤオが思い出したかのように、得意で大好きなことを描き始める。アクション、異世界、そして少女。夏休みが終わることを悟ったかのように。急ぎ足で。
この映画の制作中に、恩師でありライバルの高畑さんが逝去し、自身にも死が迫っていることを初めて意識したのかもしれない。
過去作のオマージュは、オマージュではなく、締め切りや予算に追われて当時描ききれなかった後悔を総括するための、描き直しなのかもしれない。それは夏休みの宿題だったのかもしれない。
花火大会のフィナーレのように、惜しげもなく繰り出されるあの玉この玉が、公開初日の満員のスクリーンで大爆発していた。
“Animation”
絵に息を吹きこむ喜びを。アニメーションの、原体験を呼び起こさせる、純粋な動機を、好奇心を感じろ。読むのではなく、考えるのではなく、見るのだ。
そこで観客も気づく。
あれ、これはもう見れないの?
夏ってこんなに短いの?
もうこの夏は来ないの?
宮崎駿、好きに生きてくれてありがとう。
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