劇場公開日 2023年7月14日

「宮崎駿 君たちはどう生きるかを見て」君たちはどう生きるか ひなたさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0宮崎駿 君たちはどう生きるかを見て

2023年7月17日
スマートフォンから投稿

興奮

知的

難しい

僕は宮崎駿引いてはジブリが嫌いなわけではない
ただ、近年の作風に魅力を感じないのもあり、今回はあまり期待していなかった
ただ、何も広告も宣伝もないというのを知った時は、何が来るかわからない怖さと同時に、下手にSFというかファンタジーに手は出すなよとそれだけを思っていた
実際観てみて彼の独りよがりなところは否めなかったし、ファンタジー要素というか異世界への移動からその先の展開があり、まあ驚いた
で、この映画は、なんというか事象の原因や細かな設定を鑑賞者が想像しなければならない作りになっている、この作り自体は良いとして、あまりにも場面場面がかけ離れすぎていたように思う、海に行ったと思ったら山へ行って山に行ったと思ったら実家に帰って、みたいな状況
それからその途中経過があまりにも雑というか省かれてる部分が多く見られるというのも少し引っかかった
 例えば走ってると思ったらなぜかもう目的地の近くまで行っていたり、階段を降りてると思ったらすぐ目的地に着いたり 千と千尋の電車に乗って行くシーン、崖の上のポニョの車で家まで爆走するシーンを思い出して欲しい あのシーンでカットが挟まれて突然目的地の近くに居たらどうだったか、僕はそれが気になった
宮崎駿含めその下で働く方々は素晴らしいと思う
だからこそ物語の場面場面をしっかりと繋げてほしかったし、歩くところ、走るところ、向かうところそしてそれらの背景をしっかりと描いてほしかった
それから、この映画を理解し難いと言っている人に、想像力が足りていないと主張する方がいるが、これは想像力の問題では無く想像で補完する域を超えているというと言うのが問題だと思う 鑑賞者の想像が作品の情報を補完することも、映画やアニメで時たま必要になるが、大衆のみんながみんなそんな素晴らしい想像力を持っているわけではない 間髪入れずに「なぜなぜ、原因を知りたい、いつ教えてくれるの」と思うだろう そして分からなかった挙句帰りの電車でネタバレサイトの適当なレビューを見る始末 このような人が大量に生まれる映画を作るのは少しばかし独善的なのではないかとも思う
 そして今回、反応を試されてると感じて気持ち良くなる人もいるが、何が何だか分からなくて終わった人が多かっただろう だから評価が二分されてる現状も、至極真っ当と言えば真っ当といえる どっかのサイトでレビューが5と1ばかりで結果3になってると言うのを見たこれはこれで面白いと思った
 いや本当にこう書いているとなんか悔しかったというか、結局期待してしまっていた自分がいたということに気づいてしまった 彼らの技術は素晴らしいが今一つというか、私がもし他人にこの映画どうだったと言われても、別に面白かったとも言わないし、勧めないなという感じ まぁ見てみればと言うだろう、と言うか実際そう言った
 結局、数十年に渡って、映画公開当時の熱狂が語り継がれるような、そんな作品を僕は求めていたんだ ジブリに傾倒しているわけでもないし、盲目の信者なわけでもない、グッズも買ったことはあるが別に多いわけではないただの一般人の僕が、こんな気持ちを持っていると言うことは、こんな感情を覚えた方は多いんじゃないかなと思う それで僕は最初、タイトルの「君たちはどう生きるか」というのを見た時、ああ宮崎駿は、僕たちに生き方を教えてくれるのか、と安易に思ってしまった。 いつでも餌をくれる親鳥がいる雛のように、ジブリが僕に答えを明確に示してくれると思ってしまった。色々な映画を見ててなんというか、分かりやすいのが当たり前、答えがあるのが当たり前だと、勝手に、我儘に決めつけてしまっていたんだ
 今でもぐるぐると頭の中を色々な思いが巡っている。良かった、いや本当にこれで良かったのか、、でもきっとこれで良かったんだな
 この映画の掴め無さ含め、内容の圧倒的質量と鮮やかな色遣いだったり、色々な部分で輝かしいものがあった。そうその他諸々これでよかったんだ
 映画を作るのは彼らであり、僕達があーだこーだ言っても何も変えることはできない。 彼らの努力と研鑽を、僕たちは直接助けることは出来ない。ましてや、作品の責任を持つこともできないのだから
 それでそう、そんな細かいことは置いておいておこう 今は彼らに感謝を伝えたいと思う。本当にありがとう 7年もかかって作るプロジェクトと聞いた。そこにどれだけの人と熱量と時間が必要だったのか まずは休息を
そして制作秘話で、後々裏話をたくさん教えていただけるとありがたい 本当にお疲れ様でした
次回作も必ず見に行きます よろしくお願いします

ひなた