「素敵じゃないか」君たちはどう生きるか Shinoさんの映画レビュー(感想・評価)
素敵じゃないか
2度の鑑賞。抽象的な部分も多いので、初見→他の方のレビューをみる→2回目、という流れを通して(自分なりに)理解できた部分も多い。
沢山の鳥→烏合の衆、大叔父様→宮崎駿監督という解釈はしっくり来るなと思った。
大叔父様が、石の世界を血縁のものに継がせようとしたこと、そしてそれを諦め(自分の世界を終わらせ)、下の世代に、その人たち自身の物語を生きなさいと願う。その姿に、監督の姿を重ねた。監督自身のアイデアではなかったようですが「君たちはどう生きるか」がタイトルになったのもすごい。わたしたちは、わたしたち自身で選択して未来を生きていく。さて、どう生きる?
散りばめられた今までのモチーフ、わざとなのか、そうじゃないのかは不明だけど、「ジブリを観ている」という幸せがありました。
34歳未婚の身としては、出産はすごく響くキーワードで、ヒミさまのセリフがすごく胸に残った。高齢出産、満足いくような生活をさせてあげられるのかなど、心配事は尽きない。わたしはその子の為に、ボロボロになるかもしれない。でもそれでも、素敵じゃないか、と、わたしも本当に思えた。
それから、キリコさん含む7人のおばあちゃん。なんとなく七福神みたい。彼女たちは真人の家族ではないけど、間違いなく子育てに参加している。昔に比べて少なくなってしまったけれど、そうやって子供たちは育ってきたということも感じた。そういう意味では、駿監督はわたしにとって親戚のおじさんみたいなもので(鈴木さんもそう)会ったことはないけど、育ててくれた一人だと思っています。そして、わたしのような人が、日本に世界に沢山いるんだと思う。
過去のインタビューで「子供たちに、この世は生きるに値するということを伝えたくて作品を作っている」という旨のお話をされていたことを強く覚えている。
今まで、例えば千と千尋やハウルは、面白かった!楽しかった!という感想が前面に出るような作品だったと思う。今回はそういうタイプではないけど、とても強いメッセージを感じました。
この世界(駿監督が生きるに値すると信じてきてくれた世界)で、わたしたちは、どう生きるか。世界を率いる存在(ジブリ)の、そして命そのもの(駿)の、世代交代の物語。
これを作った皆さんに感謝と尊敬の意を。本当にありがとうございました。