「背景知識があれば(ネタバレ含む)」君たちはどう生きるか ニックさんの映画レビュー(感想・評価)
背景知識があれば(ネタバレ含む)
オカルト好きで背景にオカルト的な知識がある私は、割とすんなり理解できる世界観でした。
少なくとも、この映画には監督の死生観を垣間見たような気がします。
主人公が、奇異な世界に入り込んだ時に最初に見た風景を見た時に、私は「天橋立」の風景にそっくりだなと感じました。
天橋立は言わずと知れた日本三景の一つですが、丹後風土記によるとイザナギノミコトが天界と下界を結ぶために、梯子を作って立てておいたが、寝ている間に海上に倒れ、そのまま一本の細長い陸地になったのが天橋立だと記されています。
つまり、あのシーンは死後の世界を意味する常世(永久に変わらない世界)と現世(生者の世界)を結ぶ世界観を反映する象徴的なシーンであったと感じます。
その他、日本神話を背景としたオブジェやモチーフ、ノアの方舟を感じるオブジェや世界中の神話や死生観に関する集合的無意識的な世界観であったと感じます。
また、登場人物のセリフからも「この世界には死人も多くいる」との発言があることから、この世界観が天橋立的な世界観であると解釈するのが自然です。
その上で、この世界観には過去・現在・未来が並列に存在します。
このような考えの世界観は、量子力学的な考えでは受け入れられている考え方ですし、オカルト的にもそのような世界は多く見られます。
監督の年齢を考慮すると、死生観が反映されていても何ら不思議ではありません。
ただ、映画というエンターテイメントの中で監督の死生観だけを観せられても、背景知識がなければ抽象的な世界観の中で途方に暮れてしまうのではないでしょうか?
そういった意味、観る人をある意味で選ぶ際どい作品に感じました。
オカルト好きの個人的には、世界観は好きでしたが。
惜しいなという印象が残ってしまいます。
私、個人としてタイトルからは
過去(後悔、自信)、現在、未来(不安、希望) あなたたちはどう生きる?
というようなメッセージを受けました。