「遺言」君たちはどう生きるか マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
遺言
スタジオジブリ
宮崎駿の代表作
「風の谷のナウシカ」制作のため
東映動画が作った「トップクラフト」
スタジオを徳間書店の出資で引き継ぎ
1985年に設立
「となりのトトロ」「魔女の宅急便」
などを生み出すが制作毎にスタッフを
雇用しては解散で歩合制だった業界に
「会社員の待遇で制作できる環境」
を目指したがそれも「もののけ姫」
後に独立するスタッフが増え崩壊
再び作品毎雇用となるがその後
綱渡りで作った「千と千尋の神隠し」
が大ヒット
しかし宮崎駿頼みの制作体制に
限界は明白で
その後は興行的にも振るわず
(ハウルくらいまではそれでも
黒字だったそうですが)
テーマパーク「ジブリパーク」
の開設などもあったが話題性に
乏しい現状が続いていた
そんな中公開された
「風立ちぬ」以来10年ぶりの
氏監督脚本による今作
広告宣伝一切無しで今週
公開なことも世間は気がついてない
雰囲気な中どうだったか
「君たちはどう生きるつもりだ」
と宮崎駿に120分延々説教されるのを
覚悟して映画館へ向かいましたが…
あっ?…えっ…こんなわかりやすく
作ったんだという感じでした
ややこし感ももう慣れてますし
そう言う意味では
目新しさは感じませんでした
または予想通りというか
細かな部分は色々考察が
あるでしょうがまぁ
まず物語の始まりは宮崎氏の
幼年期の年代が舞台で
あの空から落ちてきたって塔
その先に広がる生も死もない世界は
宮崎氏の創作の世界でしょう
ポイントは最初の戦時中の
世界も現実世界ではなく
あくまで創作上の世界で
あるということ
だから取って付けたように
ヒロインとして若い頃の母が
あてがわれたりします
大叔父様は氏本人
もう老いて作り上げた世界が
崩壊しかかっているところで
同じ遺伝子を持った子孫
(ジブリで育ったアニメーター達)
に引き継いで欲しかった
でもそれは拒否され
混沌とした元の世界
(現世のアニメーター達が生きる世界)
へ帰るって事なんでしょうね
最後までこだわってた
インコの王はさしずめ鈴木P
でしょうかね
「鈴木さんもう終わりにしよう」
それを作品の中でやりました
眞人や母が世界へ帰って行く
扉の番号とかなんか意味が
あるんでしょうね
まあ今流行の
マルチバースしっかり
取り入れてるようにも感じました
大叔父がいた空間もあたかも
ゼーレ本部のゲンドウがいたとこ
みたいでもあります
個人的に印象的だったのは
眞人が学校でケンカした後
父がダットサンで戻ってくる
シーンのクルマの動き
中割りが全然出来てなくて
ガッタガタなんですが
ここかつての盟友だった
大塚康生さんだったら
ヌルヌルに動いたんだろうな
って凄く感じてしまいます
そう感じさせようとしている
ようにすら受け取りました
もちろん今作にはジブリで
育った高坂希太郎氏や吉田健一氏
田中敦子女史など今更言うまでもなく
一流アニメーターの方々が
関わっていますから
もっと出来たはずなのに
そうしたと
よくアニメ業界を
食べれる環境を作らずに
アニメは後継者育成に失敗した
とかどこの誰だか知らんやつが
オワコンメディアで好き放題
言ってますが
それを観て感動した人が
その世界に飛び込んでくる
作品が人材を産む世界
でしかないと思います
ならば宮崎氏が残した作品は
永遠に残り続けそこから影響を
受けた世界中の若者がアニメの
世界に飛び込んでくる
そういう世界に思います
宣伝をしないことも
鈴木Pがついに
宮崎氏がずっと言ってた
「わかる人にしかわからなくていい」
というプロデューサーとして
考えちゃいけない事をついに
観念したんじゃないかなぁ
そんな願いを込めた「遺言」
と受け取っておくことにします
自分の感性に従えば良いと思います