君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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壮大な白昼夢
アカデミー長編アニメーション映画賞受賞おめでとうございます。
映画館で宮崎作品を観るのが本当に久しぶりで、開始早々、絵や、音、動き…初めて観る作品でも懐かしい感じすらした。
宮崎駿さんには幼少期より感動とワクワクを私の心に満たし続けて育ててくれたようなもの。
今作、日本では宣材はイラスト1枚。
他の情報もなく、、…観なくていいかな、と思っていました。
観に行かないつもりでいたが、ずっと、何となく後ろ髪をひかれた。
先日、海外の予告編見た。
あれ?海外では予告編あるんだ。
…日本ではイラスト1枚で日本人なら分かれや、って感じすらしたけど、海外ではそうはいかなかったのだろうか。
物語がイメージできて、少し変わった異世界モノのような印象を受けたのでちょっと現実逃避したい気持ちになってた自分としては、呼ばれた気がした。
冒頭の火事
昔の階段の角度やキシミ
妖怪の様なおばあちゃん達
カエルの群れ、、、
美しい映像に何となく癒やされ。。。
不思議の国に迷い込むあたりは言わば壮大な白昼夢のよう…。
そう…意識が離脱するあの感じ…
ねもい…。。。。
過去の宮崎作品の片鱗がそこここに感じられ、イメージの膨大な情報量の映像化に感心する。。
…何を言いたかったのか?
生と死について描きたかったのか
よく分からない。。。
思いついたまま描きたいことを描いたらできた作品の様な印象を受ける。。。
あそこで、それでもお母さん、と呼べるんだ…。
結局、宮崎映画だから観ておきたいと思った
声の担当は俳優さん女優さん。前から気になってはいたけれど…。
広がりすぎて収拾の付かない世界観…
もはやカオス…と思う反面
よくこれだけのものをあの御年で作り上げたな、と、そのエネルギーに感心する。
なのに、なぜか、あれだけの映像を見せられても物足りなさを感じた。
私が宮崎作品に期待した事…
米津の最後の曲はとても良かった。
色々思うところはあるものの、日本の作品が世界に認められたのは素直に嬉しい。
宣伝なしで正解
私が劇場でジブリを観るのはポニョ以来で、久々の宮崎駿作品ということで楽しみにしていました。それに加えて、ポスター以外の宣伝は一切やっていないことにも驚きました。これはまっさらな状態で見れるチャンスだと考え、公開後も含めて事前情報をシャットアウトして観に行きました。
全体的に宮崎駿らしい世界観で、過去のジブリ作品の要素が沢山詰め込まれていました。私は独自性を持った作品が好みなので、いつも彼の独特な表現に圧倒されてきました。今回も「これはジブリだ!」と思えるテイストになっており、ずっと眺めていられる安心感がありました。また、登場人物は「あっ、これ見たことがある!」というものが多く、同伴した母も千と千尋に出てきたキャラみたいだったと言っていました。
ストーリーは複雑であまり理解できなかったですが、命の大切さや生きる素晴らしさが込められていました。ここから宮崎駿は、今作を観て自分で考えて行動する重要性を伝えようとしている印象を受けました。特に、私のような若者に世界のバランスが崩れそうな時代を支える役割を担ってほしいメッセージ性を感じ取りました。
初めは宣伝なしで大丈夫かなと心配でしたが、観終わった後は予告出さなくて正解だったと実感しました。もし、この内容で公開前に情報を明かしていたら、退屈そうに見えてスルーしていたかもしれません。そう思えるぐらい、この判断を下したジブリの人々に納得できました。
情報過多の時代になかなか体験できない貴重な経験ができるので、この機会にぜひ映画館へ足を運んでみてください。
自己陶酔な駄作を、プロモーションの力で強引に動員した映画
ジブリの新作に飢えていた当方としては、いそいそと期待して観に行ったのだが。。。
いやあ、これは稀にみる駄作だった。
作り手たちは本当にこの作品が良いと自信をもって公開したの? 宮崎さん、そうなの? (頼むから、こりゃダメだと思っていたけど興行的に引き返せなかったのよ、と言ってくれ!)
画や音などパーツは素晴らしいが、肝心の物語が破綻してないか?何を言いたかったのかよくわからない。わざとらしいというか、小手先というか。人物描写にも違和感いっぱい、引っ掛かりまくり。全然、心が動かなかった。
中身のない映画だから、奇抜な宣伝無しのシークレットなスタイルで「どんなんだろう?」という興味の魅き方をしなければ動員できる自信がなかったのでは?と訝しく思う。大物俳優を声優にズラッと並べた点も然り。
この映画を2回観た人は一体どれだけいるのか?ぜひこの数値を確認してほしい。圧倒的に少ないと思う。
なんか騙されて観に行かされた感がある。ジブリがこういうことするのが悲しい。。
映画が終わって照明が付いたとき、周りも放心状態だったよ。
大好きなジブリ。
慢心せず、小手先に逃げず、前衛的にならず。初心に戻ってエンターティメントな映画を作ってほしい。
生命大肯定モノ。作家自身の欲望の掘削作業に付き合ってみたらこれまですべての宮崎作品を一貫するテーマにたどり着いた感動がある
アート鑑賞と読書してるようなアニメ映画体験で非常に楽しかった。私にとってのアート鑑賞の意図は勉強して読み解ける自分であることを証明あるいは否定されながら次の知的好奇心のモチベーションを得ていくこと、自分が知的生命体であることを肯定するための確認作業だから、それに値する内容だったことがまずうれしく有難いと思います。
この作家が意図したものを反映させた、という意味での思い通り具合は、今回何パーセントくらいだったのだろうか。もし何割かは思い通りに作った作品なのだとすると、老いて欲が剥き出しになった状態で、言いたかったことや自分の創作人生において悔しいこと、今までは意識下に抑えてきた願望が溢れてきたものを表現された割合が高く、その意味でこれまでにないジブリ作品となったことに面食らったファンも多くいたんじゃないだろうか。
これまでのジブリ映画って、自然と生命に対する畏怖と尊敬と美しさを、わざわざわかりやすい物語の形にしてくれて、私たち凡人にもわかるように提供してきてくれていたけど、今回は少しわかりにくいと感じたのは、今回は私たちへのサービスではなく、作家自身の掘削作業、自分自身の欲望や未消化の感情を表出する場を与えてもらうという作家自身へのサービスや夏休み的な空間だった感じがして、それは老いでわがままになった、ということもできるし、わがままを言える環境に育った周りがあったからこそ得られた自由なのかもしれないけれど、日本のエンターテイメントアニメーションの大黒柱としての作家から、作家自身を切り離し自由に死んでいくための大事なプロセスのように思え、とても肯定すべきものだと思います。
そんな環境の中で、彼が作家として言いたかった(あるいはにじみ出てしまった)内容の一つで私が気に入ったのは、女性と自然。この作家は出産する性としての女性を恐れ、また霊的で面白いと感じていて、とても好きなんだろうと思う。そして創作により出産の神秘にどうにかしてたどり着きたい人なんだろうなと今回の女性の描かれ方で確信しました。出産する性としての女性・人間の大肯定。それは産む産まない、産める産めないにかかわらず、生命を継ぐものとしての人と人の関わり方やありかたの美しさの肯定で、それにかかわる老若女性や謎の一体感や老人たちのまとまり、つながり、若い女性どおしの共感にもとづく世界の足元で、右往左往するしかない男性たちだからこそのどうしようもなさカッコよさ、冒険の主人公であること、醜く老いた姿などの対比と一緒に愛すべきものとして描かれていることが、生命大肯定。すべての生き物大肯定。という内容になっていて深いところでのこれまでの作家が表現してきたものとも一致しているため、作家としての一貫性を感じました。すべての生命の深い肯定と神秘に近づこうとする作家の欲求は、とても尊くて、あり/なし、使える/使えない、持っている/持っていないを分断する社会で生きづまる今にとって必要な視点で、この作家と同じ時代を生きることができた私が語る必要のある作家だと心から思う。
走馬灯であり遺書である作品のテクスチャーは、これまでの自分の創作の総復習や振り返りだったりもするし、積み上げた石の積み木に囚われないで新しく創作しろ、っていう後継やまだこれからを生きていく人たちへ向けたメッセージのようなものも込められていて、
どのくらい作家の意識下の仕事かは不明であるが、ずっとジブリで育ってきたファンや、その意思を1割でも継ごうとしてこのアートを読んでいる読者にとっては、死ぬまでかけて読みとく価値のある映像作品として受け取ることができる素晴らしい作品だったと思います。作家自身の掘削作業だから難易度は各段に高いですがまずは前情報なくこの作品に触れられたことに感謝です。
この映画をどうみるべきか
一切の宣伝もせず情報封鎖されていたのは、とても良かったと思う。
果たしてどんな映画なのか。導入で、リアリズムのある空襲の激しいシーンから始まり、果たしてこの映画は、高畑勲監督の火垂るの墓よろしく、戦時中のリアリズムのあるリアルなドラマへ展開するのか、宮崎駿監督ならではのファンタジーへと突入するのか。
ファンタジーかと思いきや、「はい、夢でした」と目覚める主人公。でも、現実であったというサインをチラチラ。映画「コンタクト」にあったような幻覚とも言い切れないような顛末にするのだろうか。そんな微妙なラインを歩いて行くかのような展開だからこそ、どこぞの解説者のコメントを聞かずに鑑賞出来たのはとても良かったと思う。
ファンタジーといっても色々あるのですが、作中に同じタイトル「君たちはどう生きるべきか」という本を読むシーンがあっただけに、子供の頃に読んだ本に出てきたような、なんだか懐かしさを感じるファンタジーでした。
実の母親と死に別れ、新しい継母と出会い、妊婦のお腹を通して新しい兄弟と出会い、新しい生活空間、新しい学校で新しい級友からイジメにあい、それでも頑なに表情を崩さない主人公。
いやいや、その心中は千々に乱れているはず。その鬱屈が爆発したのが自ら作った眉間の傷。そんな主人公の思いを解きほぐしたのが母の残した本から広がるファンタジーの世界。そんな理解で良いのでしょうか。現実か夢の世界かは判らないけど、ラストで大人びた主人公へと繋がる冒険譚であったのかと解釈します。
それにしても、木村拓哉さんのお声がハウルに比べて重みを増しましたね。好演でした。米津玄師さんのエンディングテーマも素晴らしかった。いつもながら、宮崎駿監督の歌選びも楽しみの一つです。
長編アニメーション賞受賞作品、世界の宮崎駿さん渾身の一作
前宣伝を一切しないという宣伝方法は、宮崎駿監督だから成立する。知らされているのは映画タイトルとイメージ画像のみ。全くといっていい程情報なしの初日映画館はほぼ満席。宮さん流石です。観客は小学生低学年から大学生、いい大人まであらゆる年齢層が集い、ただ「ジブリと宮崎駿」という冠に一心の期待を寄せてこの場に集う。その事実がもやは奇跡!!
そして肝心の内容は?というと、小学生にはやや難解。誰にでも受け入れられるエンターテイメント性にやや欠けると言えなくもない。
だけど、私はこの映画が宮崎駿監督の最後の作品で良かったと思います。一時は引退を決めてから、よくぞ戻ってこの作品を作ってくれましたと感動もひと塩です。宮崎駿さんの全てがぎゅっと詰め込まれているような作品でした。7年かけて作られた作品、やはりたった一度鑑賞したくらいでは、味わい尽くすことはできません。次は原作も読んで、もう少し勉強してから鑑賞させていただきます。
エンドロールで米津玄師さんの主題歌が流れた時、何故か盟友高畑勲さんの「かぐや姫の物語」を思い出しました。クリエイターの最後の作品は、万人受けする作品に媚びるより、自分が満足する作品を是非作るべきだと私は思います。これまで、十分に日本や世界のアニメ界に貢献してきた宮崎駿監督なのですから。
*2024年3月11日追記
第96回アカデミー賞長編アニメーション賞受賞おめでとうございます㊗️
「千と千尋」は純粋に作品に贈られた賞。2度目の今作品では、内容もさることながら、長年アニメ界を牽引してきた宮崎駿監督、しいては鈴木敏夫さん率いるスタジオジブリの貢献に贈られた賞だと思います。日本にジブリがあってよかった!日本人として誇りに思います。正座してもう一度映画拝見致します🫡
君たちはどう考察するか
タイトルのもとになった原作小説は未読だったが、スタジオジブリが「まっさらな状態で映画を観てほしい」と言うので、言われた通りの状態で鑑賞した。
主人公の眞人(まひと)は第二次大戦中に母を亡くし、疎開先で父の再婚相手であり母方の叔母でもある身重のなつ子と暮らすことになる。転校先でいじめられ、義母の存在も受け入れられず、母が亡くなる時の悲しい記憶とともに鬱屈とした思いを抱えて暮らす眞人だが、ある日姿を消した義母を探すうち、怪しいアオサギに誘われて敷地内の謎の洋館から異世界へと旅をすることになる。
大人の目でこのタイトルだけ見ると説教臭そうに見えるが、そんな傾向はほとんどなかった。端的に言えば少年が未知の経験をする中で成長し、自分の中に生きる実母の愛を確認して、義母を家族として受容するまでの心の彷徨と義母側の葛藤をファンタジーで表現したものだと、個人的には解釈した。
ファンタジーのシークエンスに入るまでが結構長い。映像や想像上のキャラクターは、宮崎駿が過去に関わった作品のセルフオマージュがふんだんに詰め込まれているように見えた。おばあちゃんたちや疎開先の建築物の描写、ワラワラ、遠景で眞人を探す父親が銭形警部に見えたりもした(笑)。子供が異世界でなんやかんや揉まれて成長するという話の大筋自体も既視感がある。
異世界でのステージがどんどん転換してゆくのだが、説明はほぼない。大おじの洋館の床に沈んで、ペリカンがいっぱい出てきて、船を漕ぐお姉さんが出てきて、なんかインコがいっぱい出てきて、ここはインコの国でどうのこうの、となってきたあたりで、設定の意味を考えるのをやめた。
この説明のなさ、考察好きな人にはたまらないのかもしれない。私も考察を楽しいと思うことはあるが、それも本筋のストーリーの面白さと、情報量が適切であるかどうかによる。物語がたまらなく面白ければ、意味深な情報の洪水も考えてみようというエネルギーが湧いてくる。
本作は映像的には十分楽しいのだが、インコたちと終盤に登場した大おじとの関係などを見る頃には、お腹にいっぱい溜まった未消化の謎情報を消化するモチベーションがなくなっていた。オマージュ要素が先行して、大きく驚かされるような展開のダイナミックさや新しさがほぼなかったせいだろうか。
洋館の地下以降はあの世で、なつ子はつわりも重くて出産にあたり実は生死の境をさまよっていたのであの異世界の奥の方にいて、わだかまりのあったなつ子と眞人の関係を亡くなった実母=ヒミが取り持ったのかな、程度のことは考えた(ヒミの立ち回りを見てちょっと「TENET」のニールを思い出した。全然違うんだろうけど)。
あと、後継指名しようとした大おじは宮崎駿自身だったりして……とか。
本作の事前プロモーションなしもびっくりしたが(「THE FIRST SLAM DUNK」はキャラ設定などの予備知識は原作から得られた)、前売券もなし(これはディズニーもそうだが)、パンフレットに至ってはなんと後日発売という、ビッグネームだから出来るある意味超強気というか、何か別の事情や思惑があるのかよくわからないアプローチ(宮崎氏は前宣伝しないで大丈夫かと心配していたというのを記事で読んで笑った)。興行的には、初動でどれだけ稼げるかにかかっている気がする。評価が広がったら、人を選ぶ内容なのでちょっと厳しいか。
おかげで、本当にまっさらな状態でスクリーンの前に座るというなかなか貴重な体験を出来たことはよかった。
のびのびとした宮﨑アニメの表現に惚れ惚れ。
主人公の父親が、母親の妹と再婚することになり、母親の実家に疎開する。母親の妹は、駅まで人力車で迎えに来ていて、カバンを人力車に積むと人力車がカバンの重みで揺れる。ああ、いま宮﨑アニメを見ているのだなと、長いこと感じていない感覚にとらわれた。別に10年ぶりだからではない。もう長らく宮﨑駿は、新作ごとに新たな挑戦をしていて、同時に過去にやったことを封じていたように感じていた。昔から観ていた世代として、その都度その都度表現の強さに畏敬の念を覚えつつ、あれ?この表現はもっと素晴らしいのを前に見たことがあるぞ、と違和感も覚えていたのだ。それが今回は、リミッターを外したかのごとく、得意な表現を出し惜しみしていない。今回は絵コンテを担当し、作画は別のアニメーターに任せたという記事も目にしたが、細部の動きがいちいち宮﨑アニメが持っていた心地よさなのである。もちろん、最初の火災(というかおそらく空襲)の場面は凄まじいインパクトだった。でも、建付けの悪い窓を力をかけて閉めようとする場面とか、ああいうところにいちいち宮﨑アニメを感じてしまい、ノスタルジーと同時に、やはりアニメーションとして素晴らしい芸だなと思ってしまう。相変わらず好き放題の内容だが、のびのびとしていてヨカッタ。
きっと人生の折々にこの”問いかけ”を思い出す
宮崎駿やジブリの映画として最高傑作かどうか。そんなことはどうでもいい。私の心を捉えたのは随所で過去作の記憶が蘇ってきたこと。あの生い茂る草木のトンネルを潜り抜ける場面、王蟲の殻のような戦闘機の天窓を持ち運ぶ場面にハッとさせられつつ、冒頭で母を喪うというくだりではなぜか高畑勲の「火垂るの墓」すら思いおこした。ただし本作では母の亡骸は描かれないし、日本が戦争へと突き進む時代を背景に、あくまで飛翔感あふれるファンタジーの構造を貫く。その世界で、眞人は死の香り漂う不条理な世界を生き抜きながら、自らの意志で決断を重ね、”真の人”として成長を遂げていくのである。着想を与えた同名小説も、日本が戦争へ向かう時代に、社会を見つめ、友を得て、自分の頭で考えることの重要性を青少年へ訴えた。物語は異なるがエッセンスは似ている。映画が終わっても問いかけは続く。この先、人生の折々に本作の記憶が蘇ってきそうな気がする。
予備知識なしの鑑賞体験は是か非か
昨年は「THE FIRST SLAM DUNK」が事前情報を極力まで秘して公開を迎え、結果として大成功をおさめた。ただ、主要キャストの背番号に合わせたカウントダウン動画をちらりちらりと見せ込んでいたので、今回のような飢餓感を味わうことはなかった。
「風立ちぬ」から10年。まさか宮崎駿監督の最新作を観られるとも思っていなかったが、蓋を開けてみたらポスタービジュアル以外は何も情報がないまま公開初日に。ここまで予備知識なしに作品を鑑賞するのは、記憶にないほど新鮮な体験となった。
出足からスクリーンにくぎ付けになったのは言うまでもないことだが、序盤から中盤、中盤から終盤へと向かうなかで、全く読めない展開が脳内を活性化させてくれてすこぶる気持ち良い。「是か非か」でいえば、無論「是」である。声優情報や主題歌情報は、弊サイトのニュースをご覧いただきたい。ここでは、ネタバレすることなく、予備知識が一切なかろうが問答無用で作品世界にどっぷり浸かり、珠玉の映画体験が叶うということについて言及しておく。
暗喩とか一旦置いといて
映画館で見逃し、地上波放送を録画も中々視聴せず観たくなったタイミングで観よう、と思っていたらとても中途半端な時期に。誰の目にも触れないレビューかもしれません笑
そしてあらゆる考察が出揃っていて、なるほどと思うことばかりなので、良いも悪いも言うべきことは見つかりません。
なので、個人的に心が動いた部分だけを、メモとして。
居場所をうまく探し出せない、真人の細やかな表情、仕草、説明ができない感情、それが冒頭にぎゅっと詰まっていて、なんとか彼が楽になれることを、願っていました。父も、義母も、愛情を注いでいるのは間違いないけどそれにうまく馴染めない、反発しているわけではない、でもそれに力を抜いて甘える自分にはなれない、ほんとのおかあさんを忘れるわけにはいかない、まだ子供なのに子供でいるわけにいかないと自分を律している姿、台詞にはないけれどここまで表すことができるのは、凄いことだと思います。お腹に触れさせられてギョッとした顔、おそらくは抱いてはいけない嫌悪感に対する自己嫌悪、2、3秒で表現できるのはジブリ映像作品ならでは。
夏子さんに心を許したい気持ちは、産屋で激しく拒否されるシーンに逆説的に表現されています。自分が拒否しているつもりが、相手からされたときの衝撃。それを恐れていた自分の無意識が見せたものなのではないでしょうか。
実は先にジョン・コナリー「失われたものたちの本」を読んでいました。クレジットにも、影響を受けた本として流れてきますが、ストーリー的にも設定的にもこっちのほうが原作なんじゃないかと思うくらい似ています。主人公の苦しみの種類が同じなんです。
「居場所」を探す物語、どちらも大円団ということもなく、これからも時々苦しいことがあるだろうな、でもちょっとだけ解決したかな、という塩梅まで似ています。ファンタジーパートのモンスター?が違うだけ。
映像に関しては、ちょっと残念だっかな‥海の表現は千と千尋のほうがとびぬけて素晴らしいし、パンもラピュタのほうが美味しそう。家や塔はさすが!と思いました。
音が良かったです。アオサギの屋根を踏む音、重たそうな翼の音、キリコさんちの古い船の庭の足音。
説明しなくては物語がまとまらないのかもしれませんが、大叔父さんのシーンはまるっといらないかも。気配だけでもよかったのかな‥説教くさいと感じると反発してしまう性分なので笑‥
成り立ちや意味などわからなくてもいい、でも行ったことがある気がする世界、知っているような気がする世界、いつか忘れてしまう世界、わたしがジブリ作品からいつも受け取る感覚です。
好みの問題かな…?
若者が分かってくれるのだろうか
私小説というか、自伝というか・・・
戦争の時代に、奔放な父親を軽蔑し、病弱な母親の愛に飢えながらも
あまりにも恵まれた幼少期を過ごした彼
正式に引退を宣言しながらも、復帰して作り上げた彼
心の奥底では「後継者が欲しい」というあがきにも似た感情・葛藤・渇望がありながら
「我ヲ学ブ者ハ死ス」という戒めも説く
実は「人生は捨てたもんじゃない」「生きる価値があるんだ」
という監督自身が得た「人生」の結論を語りたかったのでしょうね
初めはピンとこなかったけれど
やはり、この映画はタイトル通り
『君たちはどう生きるか』というメッセージに他ならない
若者やジブリメンバーや今を生きる人々への「遺言」と言ってもいいのかも
ただ、絶対に1度観ただけでは分かり得ない作品です
例えが多すぎて深すぎて・・・・魑魅魍魎??
監督が伝えたいと願っている若者達に
ストーーンと伝わる物ではないと思う
だって、ダンテの神曲なんて読み込んでいる人は多くないでしょ
トトロのような作品が観たかったな
繊細な表現はジブリならでは👍でも…
昨夜(2025/08/15)から、バンコク→成田の機内で、予めダウンロードしておいた本作をスマホで観ました。
国内で観られないジブリ作品を、海外渡航でアプリで見つけて現地でダウンロード、帰路で視聴というまわりくどい方法でしか観られないのが、いささかもどかしいですが、観られてよかったです。
「わけがわからない」などの評判を以前に目にした以外は、何の予備知識もなく観ました。宮崎駿作品らしからぬシーンとシーンのギャップ(映画後半の大叔父と眞人と会ってから次の場面への切り替えなど)に違和感を覚えました。
昭和初期、戦時中の日本の風景は、当時をリアルで見ていないせいもあるかも知れませんが、とても繊細で細かく、リアルでした。火事のなか、母を助けんと人混みをかき分けて眞人が疾走する表現にも、ジブリらしからぬ違和感を感じました。
しつこくまとわりついてくるアオサギの羽ばたき、弓をいる時のたわみながら飛んでいく矢の表現は『もののけ姫』のままで最高でした。
自らのこめかみを、石で叩いた時の尋常ではない流血は、『千と千尋』の千尋がハクからもらったおにぎりを食べて流す大粒の涙を思い出させました。
眞人に襲いくるペリカンの群れ、『ハウルの動く城』のカルシファーの如く、火を纏った娘。
火事で命を落とした母をなんとか救おうと努める眞人の姿などには感動を覚えました。が、120分超えのアニメとなると余程でない限り、集中力が続きません。
本作の劇中歌や、エンディング曲からはほぼ感動しませんでした。
新しい風を取り込むために、いわゆる“ジブリらしいジブリ映画”から離れたい気持ちがあるのかも知れません。オールドスクールのジブリ作品が好きな身としては、「そういうのいいから」。という気分です。
思ったような内容じゃなかった。
原作未読で見た。ところが、どうやらあの有名な本とは内容が関係ないんじゃないかと思えるほど「宮崎ワールド」全開でした。
振り返れば、『ハウルの動く城』なんかも、原作を読んでみようとも思わないし、おそらく好きなようにいじって自分流の作品に仕上げていたのだろう。
でも、「生き方の啓発を目的に作られた映画なんだろう」と、多少構える部分があるので、もう少し内容に踏み込んで宣伝した方がよかったんじゃないか。今になってそう思う。なにしろ、公開当時は本当に情報が少なくて、こんな映画なのだとは想像もつかなかった。
とにかく、いつもの宮崎アニメとは違うんだろうという気がしたが、見てみたら「いつもの」宮崎アニメだった。
いや、そうとばかりも言えないか。
どうも娯楽性から遠ざかっていくのは間違いないようだ。
想像よりも堅苦しくなかった。
吉野源三郎さんの著書「君たちはどう生きるか」をアニメ化した映画だと勘違いしていて、公開当時 映画館に足を運ぶことはなかった。堅苦しくて難しいとばかり思っていたけれど、地上波初放送で観たら想像以上に面白くて惹き込まれてしまった。
ユニークでノスタルジックでミステリアス。わくわく感。ジブリに慣れ親しんできたから そう感じるのかもしれないが、見たかったアニメーションが そこにあった。私は好き。
戦争や病気などで伴侶が亡くなると その兄弟(姉妹)と婚姻するのは当時はよくあった話だと聞く。もうこの世にはいないが、実際に親戚にも そういう例があったから、継母や残された子どもの心情、継母が子を宿した時の兄としての思いに感情移入できたのも良かったかもしれない。
いろんな意味で集大成?
世界観は思い出のマーニー?
冒険要素はハウル?
異世界は千と千尋?
キャラはトトロ? 以上。
本編の中に同名の小説が出てきたので、期待したんだけどスルー。。
ひみ=お母さんは割と判りやすく、火事で死んだんじゃなく何か訳あって自分で火をつけたのかな?とか思ったけどそれもスルー。。
夏子は終始意味不明。。
結局大伯父がまひとに跡を継がせたくて色々やってみたけど継がずに自分の力で未来を切り開く、っていう少年の成長を描いたファンタジーアニメって事ですかね。。
アニメーションはさすがジブリ
「壊れていく世界で、自分の道を選ぶ勇気をくれた映画」
正直に言うと、最初は何が起きているのかよくわかりませんでした。
母を失った少年・眞人が異世界に迷い込みますが、その世界は現実とも夢ともつかず、不気味で混沌としています。
しかし、映画を観終わってからも映像や言葉、空気がずっと頭に残り、離れません。
この作品は「こう生きなさい」と答えを教えてくれる映画ではありません。
むしろ、「答えなんてわからなくていいから、自分で問い続けなさい」と言っている気がします。
理不尽や悲しみ、混乱から目をそらさず、何度も自分の気持ちと向き合う大切さを教えてくれました。
私はこの感想をnoteにも綴りましたが、noteという場所だからこそ、自分の言葉でじっくり考えをまとめられた気がします。
特に印象的だったのは、崩れゆく塔のシーンです。
それは自分の居場所や信じていたものが壊れていく瞬間の象徴のようで、でも壊れた後は自分で新しい道を選ぶしかないことを静かに示していました。
答えのない問いに戸惑いながらも、自分なりに考え続ける勇気をもらった映画です。
また時間を置いて観返したいと思います。
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