君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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壮大な白昼夢
アカデミー長編アニメーション映画賞受賞おめでとうございます。
映画館で宮崎作品を観るのが本当に久しぶりで、開始早々、絵や、音、動き…初めて観る作品でも懐かしい感じすらした。
宮崎駿さんには幼少期より感動とワクワクを私の心に満たし続けて育ててくれたようなもの。
今作、日本では宣材はイラスト1枚。
他の情報もなく、、…観なくていいかな、と思っていました。
観に行かないつもりでいたが、ずっと、何となく後ろ髪をひかれた。
先日、海外の予告編見た。
あれ?海外では予告編あるんだ。
…日本ではイラスト1枚で日本人なら分かれや、って感じすらしたけど、海外ではそうはいかなかったのだろうか。
物語がイメージできて、少し変わった異世界モノのような印象を受けたのでちょっと現実逃避したい気持ちになってた自分としては、呼ばれた気がした。
冒頭の火事
昔の階段の角度やキシミ
妖怪の様なおばあちゃん達
カエルの群れ、、、
美しい映像に何となく癒やされ。。。
不思議の国に迷い込むあたりは言わば壮大な白昼夢のよう…。
そう…意識が離脱するあの感じ…
ねもい…。。。。
過去の宮崎作品の片鱗がそこここに感じられ、イメージの膨大な情報量の映像化に感心する。。
…何を言いたかったのか?
生と死について描きたかったのか
よく分からない。。。
思いついたまま描きたいことを描いたらできた作品の様な印象を受ける。。。
あそこで、それでもお母さん、と呼べるんだ…。
結局、宮崎映画だから観ておきたいと思った
声の担当は俳優さん女優さん。前から気になってはいたけれど…。
広がりすぎて収拾の付かない世界観…
もはやカオス…と思う反面
よくこれだけのものをあの御年で作り上げたな、と、そのエネルギーに感心する。
なのに、なぜか、あれだけの映像を見せられても物足りなさを感じた。
私が宮崎作品に期待した事…
米津の最後の曲はとても良かった。
色々思うところはあるものの、日本の作品が世界に認められたのは素直に嬉しい。
宣伝なしで正解
私が劇場でジブリを観るのはポニョ以来で、久々の宮崎駿作品ということで楽しみにしていました。それに加えて、ポスター以外の宣伝は一切やっていないことにも驚きました。これはまっさらな状態で見れるチャンスだと考え、公開後も含めて事前情報をシャットアウトして観に行きました。
全体的に宮崎駿らしい世界観で、過去のジブリ作品の要素が沢山詰め込まれていました。私は独自性を持った作品が好みなので、いつも彼の独特な表現に圧倒されてきました。今回も「これはジブリだ!」と思えるテイストになっており、ずっと眺めていられる安心感がありました。また、登場人物は「あっ、これ見たことがある!」というものが多く、同伴した母も千と千尋に出てきたキャラみたいだったと言っていました。
ストーリーは複雑であまり理解できなかったですが、命の大切さや生きる素晴らしさが込められていました。ここから宮崎駿は、今作を観て自分で考えて行動する重要性を伝えようとしている印象を受けました。特に、私のような若者に世界のバランスが崩れそうな時代を支える役割を担ってほしいメッセージ性を感じ取りました。
初めは宣伝なしで大丈夫かなと心配でしたが、観終わった後は予告出さなくて正解だったと実感しました。もし、この内容で公開前に情報を明かしていたら、退屈そうに見えてスルーしていたかもしれません。そう思えるぐらい、この判断を下したジブリの人々に納得できました。
情報過多の時代になかなか体験できない貴重な経験ができるので、この機会にぜひ映画館へ足を運んでみてください。
自己陶酔な駄作を、プロモーションの力で強引に動員した映画
ジブリの新作に飢えていた当方としては、いそいそと期待して観に行ったのだが。。。
いやあ、これは稀にみる駄作だった。
作り手たちは本当にこの作品が良いと自信をもって公開したの? 宮崎さん、そうなの? (頼むから、こりゃダメだと思っていたけど興行的に引き返せなかったのよ、と言ってくれ!)
画や音などパーツは素晴らしいが、肝心の物語が破綻してないか?何を言いたかったのかよくわからない。わざとらしいというか、小手先というか。人物描写にも違和感いっぱい、引っ掛かりまくり。全然、心が動かなかった。
中身のない映画だから、奇抜な宣伝無しのシークレットなスタイルで「どんなんだろう?」という興味の魅き方をしなければ動員できる自信がなかったのでは?と訝しく思う。大物俳優を声優にズラッと並べた点も然り。
この映画を2回観た人は一体どれだけいるのか?ぜひこの数値を確認してほしい。圧倒的に少ないと思う。
なんか騙されて観に行かされた感がある。ジブリがこういうことするのが悲しい。。
映画が終わって照明が付いたとき、周りも放心状態だったよ。
大好きなジブリ。
慢心せず、小手先に逃げず、前衛的にならず。初心に戻ってエンターティメントな映画を作ってほしい。
生命大肯定モノ。作家自身の欲望の掘削作業に付き合ってみたらこれまですべての宮崎作品を一貫するテーマにたどり着いた感動がある
アート鑑賞と読書してるようなアニメ映画体験で非常に楽しかった。私にとってのアート鑑賞の意図は勉強して読み解ける自分であることを証明あるいは否定されながら次の知的好奇心のモチベーションを得ていくこと、自分が知的生命体であることを肯定するための確認作業だから、それに値する内容だったことがまずうれしく有難いと思います。
この作家が意図したものを反映させた、という意味での思い通り具合は、今回何パーセントくらいだったのだろうか。もし何割かは思い通りに作った作品なのだとすると、老いて欲が剥き出しになった状態で、言いたかったことや自分の創作人生において悔しいこと、今までは意識下に抑えてきた願望が溢れてきたものを表現された割合が高く、その意味でこれまでにないジブリ作品となったことに面食らったファンも多くいたんじゃないだろうか。
これまでのジブリ映画って、自然と生命に対する畏怖と尊敬と美しさを、わざわざわかりやすい物語の形にしてくれて、私たち凡人にもわかるように提供してきてくれていたけど、今回は少しわかりにくいと感じたのは、今回は私たちへのサービスではなく、作家自身の掘削作業、自分自身の欲望や未消化の感情を表出する場を与えてもらうという作家自身へのサービスや夏休み的な空間だった感じがして、それは老いでわがままになった、ということもできるし、わがままを言える環境に育った周りがあったからこそ得られた自由なのかもしれないけれど、日本のエンターテイメントアニメーションの大黒柱としての作家から、作家自身を切り離し自由に死んでいくための大事なプロセスのように思え、とても肯定すべきものだと思います。
そんな環境の中で、彼が作家として言いたかった(あるいはにじみ出てしまった)内容の一つで私が気に入ったのは、女性と自然。この作家は出産する性としての女性を恐れ、また霊的で面白いと感じていて、とても好きなんだろうと思う。そして創作により出産の神秘にどうにかしてたどり着きたい人なんだろうなと今回の女性の描かれ方で確信しました。出産する性としての女性・人間の大肯定。それは産む産まない、産める産めないにかかわらず、生命を継ぐものとしての人と人の関わり方やありかたの美しさの肯定で、それにかかわる老若女性や謎の一体感や老人たちのまとまり、つながり、若い女性どおしの共感にもとづく世界の足元で、右往左往するしかない男性たちだからこそのどうしようもなさカッコよさ、冒険の主人公であること、醜く老いた姿などの対比と一緒に愛すべきものとして描かれていることが、生命大肯定。すべての生き物大肯定。という内容になっていて深いところでのこれまでの作家が表現してきたものとも一致しているため、作家としての一貫性を感じました。すべての生命の深い肯定と神秘に近づこうとする作家の欲求は、とても尊くて、あり/なし、使える/使えない、持っている/持っていないを分断する社会で生きづまる今にとって必要な視点で、この作家と同じ時代を生きることができた私が語る必要のある作家だと心から思う。
走馬灯であり遺書である作品のテクスチャーは、これまでの自分の創作の総復習や振り返りだったりもするし、積み上げた石の積み木に囚われないで新しく創作しろ、っていう後継やまだこれからを生きていく人たちへ向けたメッセージのようなものも込められていて、
どのくらい作家の意識下の仕事かは不明であるが、ずっとジブリで育ってきたファンや、その意思を1割でも継ごうとしてこのアートを読んでいる読者にとっては、死ぬまでかけて読みとく価値のある映像作品として受け取ることができる素晴らしい作品だったと思います。作家自身の掘削作業だから難易度は各段に高いですがまずは前情報なくこの作品に触れられたことに感謝です。
この映画をどうみるべきか
一切の宣伝もせず情報封鎖されていたのは、とても良かったと思う。
果たしてどんな映画なのか。導入で、リアリズムのある空襲の激しいシーンから始まり、果たしてこの映画は、高畑勲監督の火垂るの墓よろしく、戦時中のリアリズムのあるリアルなドラマへ展開するのか、宮崎駿監督ならではのファンタジーへと突入するのか。
ファンタジーかと思いきや、「はい、夢でした」と目覚める主人公。でも、現実であったというサインをチラチラ。映画「コンタクト」にあったような幻覚とも言い切れないような顛末にするのだろうか。そんな微妙なラインを歩いて行くかのような展開だからこそ、どこぞの解説者のコメントを聞かずに鑑賞出来たのはとても良かったと思う。
ファンタジーといっても色々あるのですが、作中に同じタイトル「君たちはどう生きるべきか」という本を読むシーンがあっただけに、子供の頃に読んだ本に出てきたような、なんだか懐かしさを感じるファンタジーでした。
実の母親と死に別れ、新しい継母と出会い、妊婦のお腹を通して新しい兄弟と出会い、新しい生活空間、新しい学校で新しい級友からイジメにあい、それでも頑なに表情を崩さない主人公。
いやいや、その心中は千々に乱れているはず。その鬱屈が爆発したのが自ら作った眉間の傷。そんな主人公の思いを解きほぐしたのが母の残した本から広がるファンタジーの世界。そんな理解で良いのでしょうか。現実か夢の世界かは判らないけど、ラストで大人びた主人公へと繋がる冒険譚であったのかと解釈します。
それにしても、木村拓哉さんのお声がハウルに比べて重みを増しましたね。好演でした。米津玄師さんのエンディングテーマも素晴らしかった。いつもながら、宮崎駿監督の歌選びも楽しみの一つです。
長編アニメーション賞受賞作品、世界の宮崎駿さん渾身の一作
前宣伝を一切しないという宣伝方法は、宮崎駿監督だから成立する。知らされているのは映画タイトルとイメージ画像のみ。全くといっていい程情報なしの初日映画館はほぼ満席。宮さん流石です。観客は小学生低学年から大学生、いい大人まであらゆる年齢層が集い、ただ「ジブリと宮崎駿」という冠に一心の期待を寄せてこの場に集う。その事実がもやは奇跡!!
そして肝心の内容は?というと、小学生にはやや難解。誰にでも受け入れられるエンターテイメント性にやや欠けると言えなくもない。
だけど、私はこの映画が宮崎駿監督の最後の作品で良かったと思います。一時は引退を決めてから、よくぞ戻ってこの作品を作ってくれましたと感動もひと塩です。宮崎駿さんの全てがぎゅっと詰め込まれているような作品でした。7年かけて作られた作品、やはりたった一度鑑賞したくらいでは、味わい尽くすことはできません。次は原作も読んで、もう少し勉強してから鑑賞させていただきます。
エンドロールで米津玄師さんの主題歌が流れた時、何故か盟友高畑勲さんの「かぐや姫の物語」を思い出しました。クリエイターの最後の作品は、万人受けする作品に媚びるより、自分が満足する作品を是非作るべきだと私は思います。これまで、十分に日本や世界のアニメ界に貢献してきた宮崎駿監督なのですから。
*2024年3月11日追記
第96回アカデミー賞長編アニメーション賞受賞おめでとうございます㊗️
「千と千尋」は純粋に作品に贈られた賞。2度目の今作品では、内容もさることながら、長年アニメ界を牽引してきた宮崎駿監督、しいては鈴木敏夫さん率いるスタジオジブリの貢献に贈られた賞だと思います。日本にジブリがあってよかった!日本人として誇りに思います。正座してもう一度映画拝見致します🫡
君たちはどう考察するか
タイトルのもとになった原作小説は未読だったが、スタジオジブリが「まっさらな状態で映画を観てほしい」と言うので、言われた通りの状態で鑑賞した。
主人公の眞人(まひと)は第二次大戦中に母を亡くし、疎開先で父の再婚相手であり母方の叔母でもある身重のなつ子と暮らすことになる。転校先でいじめられ、義母の存在も受け入れられず、母が亡くなる時の悲しい記憶とともに鬱屈とした思いを抱えて暮らす眞人だが、ある日姿を消した義母を探すうち、怪しいアオサギに誘われて敷地内の謎の洋館から異世界へと旅をすることになる。
大人の目でこのタイトルだけ見ると説教臭そうに見えるが、そんな傾向はほとんどなかった。端的に言えば少年が未知の経験をする中で成長し、自分の中に生きる実母の愛を確認して、義母を家族として受容するまでの心の彷徨と義母側の葛藤をファンタジーで表現したものだと、個人的には解釈した。
ファンタジーのシークエンスに入るまでが結構長い。映像や想像上のキャラクターは、宮崎駿が過去に関わった作品のセルフオマージュがふんだんに詰め込まれているように見えた。おばあちゃんたちや疎開先の建築物の描写、ワラワラ、遠景で眞人を探す父親が銭形警部に見えたりもした(笑)。子供が異世界でなんやかんや揉まれて成長するという話の大筋自体も既視感がある。
異世界でのステージがどんどん転換してゆくのだが、説明はほぼない。大おじの洋館の床に沈んで、ペリカンがいっぱい出てきて、船を漕ぐお姉さんが出てきて、なんかインコがいっぱい出てきて、ここはインコの国でどうのこうの、となってきたあたりで、設定の意味を考えるのをやめた。
この説明のなさ、考察好きな人にはたまらないのかもしれない。私も考察を楽しいと思うことはあるが、それも本筋のストーリーの面白さと、情報量が適切であるかどうかによる。物語がたまらなく面白ければ、意味深な情報の洪水も考えてみようというエネルギーが湧いてくる。
本作は映像的には十分楽しいのだが、インコたちと終盤に登場した大おじとの関係などを見る頃には、お腹にいっぱい溜まった未消化の謎情報を消化するモチベーションがなくなっていた。オマージュ要素が先行して、大きく驚かされるような展開のダイナミックさや新しさがほぼなかったせいだろうか。
洋館の地下以降はあの世で、なつ子はつわりも重くて出産にあたり実は生死の境をさまよっていたのであの異世界の奥の方にいて、わだかまりのあったなつ子と眞人の関係を亡くなった実母=ヒミが取り持ったのかな、程度のことは考えた(ヒミの立ち回りを見てちょっと「TENET」のニールを思い出した。全然違うんだろうけど)。
あと、後継指名しようとした大おじは宮崎駿自身だったりして……とか。
本作の事前プロモーションなしもびっくりしたが(「THE FIRST SLAM DUNK」はキャラ設定などの予備知識は原作から得られた)、前売券もなし(これはディズニーもそうだが)、パンフレットに至ってはなんと後日発売という、ビッグネームだから出来るある意味超強気というか、何か別の事情や思惑があるのかよくわからないアプローチ(宮崎氏は前宣伝しないで大丈夫かと心配していたというのを記事で読んで笑った)。興行的には、初動でどれだけ稼げるかにかかっている気がする。評価が広がったら、人を選ぶ内容なのでちょっと厳しいか。
おかげで、本当にまっさらな状態でスクリーンの前に座るというなかなか貴重な体験を出来たことはよかった。
のびのびとした宮﨑アニメの表現に惚れ惚れ。
主人公の父親が、母親の妹と再婚することになり、母親の実家に疎開する。母親の妹は、駅まで人力車で迎えに来ていて、カバンを人力車に積むと人力車がカバンの重みで揺れる。ああ、いま宮﨑アニメを見ているのだなと、長いこと感じていない感覚にとらわれた。別に10年ぶりだからではない。もう長らく宮﨑駿は、新作ごとに新たな挑戦をしていて、同時に過去にやったことを封じていたように感じていた。昔から観ていた世代として、その都度その都度表現の強さに畏敬の念を覚えつつ、あれ?この表現はもっと素晴らしいのを前に見たことがあるぞ、と違和感も覚えていたのだ。それが今回は、リミッターを外したかのごとく、得意な表現を出し惜しみしていない。今回は絵コンテを担当し、作画は別のアニメーターに任せたという記事も目にしたが、細部の動きがいちいち宮﨑アニメが持っていた心地よさなのである。もちろん、最初の火災(というかおそらく空襲)の場面は凄まじいインパクトだった。でも、建付けの悪い窓を力をかけて閉めようとする場面とか、ああいうところにいちいち宮﨑アニメを感じてしまい、ノスタルジーと同時に、やはりアニメーションとして素晴らしい芸だなと思ってしまう。相変わらず好き放題の内容だが、のびのびとしていてヨカッタ。
きっと人生の折々にこの”問いかけ”を思い出す
宮崎駿やジブリの映画として最高傑作かどうか。そんなことはどうでもいい。私の心を捉えたのは随所で過去作の記憶が蘇ってきたこと。あの生い茂る草木のトンネルを潜り抜ける場面、王蟲の殻のような戦闘機の天窓を持ち運ぶ場面にハッとさせられつつ、冒頭で母を喪うというくだりではなぜか高畑勲の「火垂るの墓」すら思いおこした。ただし本作では母の亡骸は描かれないし、日本が戦争へと突き進む時代を背景に、あくまで飛翔感あふれるファンタジーの構造を貫く。その世界で、眞人は死の香り漂う不条理な世界を生き抜きながら、自らの意志で決断を重ね、”真の人”として成長を遂げていくのである。着想を与えた同名小説も、日本が戦争へ向かう時代に、社会を見つめ、友を得て、自分の頭で考えることの重要性を青少年へ訴えた。物語は異なるがエッセンスは似ている。映画が終わっても問いかけは続く。この先、人生の折々に本作の記憶が蘇ってきそうな気がする。
予備知識なしの鑑賞体験は是か非か
昨年は「THE FIRST SLAM DUNK」が事前情報を極力まで秘して公開を迎え、結果として大成功をおさめた。ただ、主要キャストの背番号に合わせたカウントダウン動画をちらりちらりと見せ込んでいたので、今回のような飢餓感を味わうことはなかった。
「風立ちぬ」から10年。まさか宮崎駿監督の最新作を観られるとも思っていなかったが、蓋を開けてみたらポスタービジュアル以外は何も情報がないまま公開初日に。ここまで予備知識なしに作品を鑑賞するのは、記憶にないほど新鮮な体験となった。
出足からスクリーンにくぎ付けになったのは言うまでもないことだが、序盤から中盤、中盤から終盤へと向かうなかで、全く読めない展開が脳内を活性化させてくれてすこぶる気持ち良い。「是か非か」でいえば、無論「是」である。声優情報や主題歌情報は、弊サイトのニュースをご覧いただきたい。ここでは、ネタバレすることなく、予備知識が一切なかろうが問答無用で作品世界にどっぷり浸かり、珠玉の映画体験が叶うということについて言及しておく。
名馬も老いては駄馬になる
“君たちはどう生きるか”の意味を感じ取ることも出来ないままに…
私にはとても難しい作品で、
ただただ映像美だけに陶酔させて頂いた
ような印象の作品だった。
以前、宮崎駿映画の製作方法として、
見せたい“絵”を先に決め、
その後にそれらの“絵”を繫ぐべく
ストーリーを構築するとの話を
聞いたことがあったが、
この作品は正にそれを証明するような
相変わらずの見事な映像の連続ではあった。
もっとも、インコの軍団が登場してからは
そうとも言えなくなってしまったのだが。
果たして、
各キャラクターがビジュアル優先で、
全体ストーリーの中での意味性に
明確さを欠いた印象があり、
「となりのトトロ」のような、
現実世界とファンタジー世界の
上手い融合ではなく、
また、意識下としたいのか不明だが、
現実世界とは明確に別けた“下の世界”の
位置付けと共に、
主人公の父親の軍事工場経営者との設定や
そもそもが、太平洋戦争時を舞台とした意味
が最後まで私には理解出来なかった。
更には、「風の谷のナウシカ」のような
骨太の物語性が欠如している構成に、
この作品への没入感も阻害されてしまった。
そんな影響もあってか、
“君たちはどう生きるのか”のタイトルに
繋がる意味合いも
感じ取ることも出来ないままに
鑑賞を終えてしまう残念な作品となった。
映像美は素晴らしい
巨匠の仕事
一方的ですが、私が「私の中の文豪、巨匠」と呼ぶ方は、私の人生に問いかけてくる作品を創られる方です(宮崎なら「風の谷のナウシカの原作」のラストのような)
私の中ではこの作品はやはり、宮崎駿という巨匠の仕事であると思っています。
前もっての情報も無く、まっさらな気持ちで観させるとしたら、もしかしたらタイトルも無題だったかもしれません。
でもこのタイトルを敢えて付けたのは、『君たちはどう生きるか』という素晴らしい小説を中高生にぜひ読んで欲しい、(世界中の)大人達にも、あのコペル君の叔父さんのような大人になって欲しい!という宮崎駿の気持ちが、きっと込められていると私は思います。
ブルースリーは「考えるな、感じろ」と言いました。でも、宮崎はあたかも逆に「考えるんだ」と映像全編に込めて言っているように、今回この作品を観て感じました。(今でも折に触れ考えています)
文学でいうならこの作品には、芥川龍之介の『歯車』に通ずる、全てを脱ぎ捨てた天才の凄まじいキレを感じます。そして13という数字が出たのは(うちの近くの寺にも十三重の塔がありますが)何か仏教的な、全ての魂への鎮魂を意味しているのかなとも思います。キリスト教徒であった遠藤周作やヘルマンヘッセが最後、仏教を書いたように。(作品数との説が有力かな)
私には、前作『風立ちぬ』から感じる、血の描写、デフォルメされたキャラクター、あと、やはり声優陣には違和感(菅田将暉は良かったなあ)が正直あり、主人公も2年後と2年前の声の変化は欲しかったと思います。上から目線ですみません、ぜひ次回作でご検討お願いします笑。(でも、声はさておき『風立ちぬ』は感動しました。今回シベリアも出てきました!よね?。私はあのシーンが好きでした。主人公のやさしさと、子供ながらに「物乞いではない!家族を待ってるんだ」という毅然とした精神が感じられて)
眞人はきっと、コペル君のような道を歩んでゆくと私は思います。
俗世で生きることを決め、様々なしがらみや反面教師としての父と闘いながらもきっと、この体験を胸に秘めながら...。
「いざ、生きめやも...」
(愛する人(母)は風となって空に舞い上がっていってしまった...さあ、僕はこの世界で生きてゆかなければ...)と
星4つですが、5つめの☆は、今後自分の人生で何か探し出せたら、付けさせてもらいたいと思っています。(実は私も後悔している出来事や謝りたい人がたくさんいます)
長々と自分目線ですみません。
追伸:
※あと鳥好きの私としては(長々ついでで、笑)
日本の水辺にもいるアオサギは、古代エジプトでは「再生をつかさどる(雨を呼ぶ)鳥」と言われ、ペリカンとともに「聖なる鳥」とされていたようです(山下達郎の「Heron」もアオサギなんですよね)。ペリカンは「愛の象徴」との事で、というと?ワラワラを食べてしまうのは逆につらい俗世に生まれないようにとの愛でしょうか?? 劇中のインコは解き放たれた瞬間、目の位置が正面から本来の横の位置に戻ったような。人間の姿のほうが視野が狭いのかな?笑(インコのキッチンのシーンは、なんか遠い記憶にある、映画『デリカテッセン』を思い出したようなユーモラス(ブラックな)感じで私の中で◎でした)
名前負け
問題提起するようなタイトルをつけているが名前負けしている。
宮崎駿作品とは気が合わないので劇場ではなく金曜ロードショーを待った。
君たちはどう生きるかというタイトルで、最後まで戦時中の話を緻密に描いているのであればどう生きるのか考えながら観ることができたかもしれない。
そういう意味では最初の方は良かった。
カエルのシーンなんかは気持ち悪いけれどアニメーションの、テクニックとしては世界に誇れるのもよくわかる。
ただ、ファンタジーの世界に入ってからは、どう生きるか考えるより、鳥の群れの気持ち悪さとか、展開の無理矢理感が気になって考えることを放棄してしまった。
それでは身も蓋もない。
観客がついていけないようなものからは大風呂敷を広げたタイトルのどう生きるかを考えてしまったという気持ちには至らないだろう。
菅田将暉の演技の幅の広さには感心しきり。
観終わって、お口直しが必要な感じの仕上がりだったから、もっと美しい世界を描くことで、戦時中の悲惨さと対比させて欲しかった。
駿らしい
心の奥深くに問いを投げかける傑作
宮﨑駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」は、これまでのジブリ作品とは一線を画すようでいて、やはり“ジブリらしさ”をしっかりと感じさせる作品でした。
ストーリーは一見、幻想的で難解に思える部分もありますが、そこに込められた「命」「喪失」「選択」といったテーマはとても普遍的で、観る人それぞれの人生経験と照らし合わせて深く考えさせられるものでした。
個人的には、主人公・眞人が悩みながらも成長していく姿に、自分自身の過去の葛藤や迷いを重ねる瞬間が多々ありました。「君たちはどう生きるか」という問いは、まさに今を生きる私たちに投げかけられているのだと感じます。
また、映像美や音楽のクオリティは言うまでもなく素晴らしく、ジブリファンとしては胸が熱くなるシーンがたくさんありました。
一度観ただけでは全てを理解するのは難しいかもしれませんが、それもまたこの作品の魅力。観るたびに新たな気づきがある、そんな“深い映画”です。
ワラワラはコダマ?
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