「観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 映画と云う表現媒体によるA級のシチュエーションドラマでありディスカッションドラマ。女性達だけで考え、悩み、論じたうえでの結論を一人の男性として諸手を挙げて支持しよう。」ウーマン・トーキング 私たちの選択 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 映画と云う表現媒体によるA級のシチュエーションドラマでありディスカッションドラマ。女性達だけで考え、悩み、論じたうえでの結論を一人の男性として諸手を挙げて支持しよう。
①素晴らしい。ラストは久しぶりの感動に胸が震えた。泣いた。
大袈裟かも知れないけれども、彼女達の列が行く道の先を捉えるラストの映像が、これまで男中心だった人間社会(殆んど破綻しかけてますが)の未来の希望へと続いているような気がする。
②舞台はもちろん現実にある村でも村社会でもない。
女性達だけで議論し結論を出すと云うシチュエーションを作り出すために設けられた架空の世界である。
登場する女性達はみんな神への敬虔な信仰を持ってるキャラクターにしてあるが、これも重要なファクターではない。
何故なら人間は何かを信じていないと生きていけない生き物だから。人生の中で起こる出来事(特に悲しみや苦しみ)を自分の中で落とし前をつけるために、それを神の意思としたり、運命だとしたり、人生はこんなものだという諦観であったり、また、人生の価値を、信仰に、金儲けに、他人や社会に尽くすことに、家族を持つことに、世界の真理を探求する事に等々、人生を歩んでいく依り代がないと前に進めない生き物だから(勿論、前に進めない人もいますが)。
信じられるのは自分だけ(自分が自分を一番分かっていないのにね)、と云うと人もいますけど。
だから、彼女達の信仰をあまり特殊なものと捉えない方がよい。
また、敢えて女性達を教育を受けたことのない環境にいる人々とする為に、特殊な信仰的教義に縛られた村社会にするのが舞台設定として自然で便利だっただけで、信仰のみを取り出してこの映画を語るのはあまり適切ではないと思う。
③ディスカッションする女性達を文盲(つまり教育を受けたことがない)にした設定も巧い。
それで、余計な学識や近代的な知性等に邪魔されない(でも生活の知恵はあります)より本質的な女性性・母性がぶつかり合い、主張し合い、語り合い、考え合うドラマになったと思う。
登場するほぼ唯一の男性も中性的なベン・ウィショーにしたのも巧い配役。
物語の純粋性を保つにはマッチョな男性像はここでは必要ないのだ。
④ただ、男性を排除して女性だけの世界が理想だなどと主張しているわけではなく、○○することでしか性欲の捌け口を知らない無学・無教養な男性達の救済にも言及している。
⑤“Daydream Believer”をこんなに感動的な気持ちで聴けるとは思わなかった。
⑥アガタに頼まれて作る“善きもの”のリストの最後に、オーガストが「Women」と書き込むのにはサラ・ポーリー監督の女性讃歌を感じる。
⑦演技陣の中では、クレア・フォイとジェシー・バックリー(最近、彼女の出ている映画ばかり観ている印象が強い)とが印象的。
本日、「共感した!」に印をつけてくださった「ウーマントーキング」「アフターサン」「ソフト/クワイエット」の3作品は、近頃、特に心に残った作品です。自分が心からよかったな(あるいは凄く衝撃を受けた=「ソフト・・」)と思う作品に共感してもらえると、それだけでほんとにうれしいものですね。
しかも「大脱走」「007」付きだし。(繰り返しになりますが)なんか、うれしいです。