「疾走感、血飛沫、イイ男」オオカミ狩り りらさんの映画レビュー(感想・評価)
疾走感、血飛沫、イイ男
冒頭からなかなか強烈なエピソードで始まり、一気にメインストーリーへ。息つく間もなく、まさに血で血を洗う殺戮の嵐が吹き荒れる。逃げ場のない、大洋上のタンカーの中での凶悪犯罪者たちと護送の刑事の「死ぬか、殺すか」のやりとりが沸点ギリギリに昂ったところにぶち込まれるのが、謎の超絶身体能力殺人マシン・α、という…。血飛沫、流血の量は『哭悲』もかなりのものだったけど、今作はそれを軽く凌駕してる。でも、疾走感あるストーリー展開とド派手なアクションの故か、耐えられないような重さは感じない。とはいえ、人体破壊度(特に潰す、えぐる系)が描写、音、ともにキツいので何度か目を背けはしましたな。
しかし感銘を受けたのが、イッちゃってるレベルに凶悪な犯罪者ジョンドゥを演じたソ・イングク。本格的な悪役は今回が初のようだけど、狙った相手を喰らい尽くすような狂気と、凄絶な色気がなんとも魅力的。韓国の俳優は本当に層が厚い。
全体としては大変面白く観たけれど、後半がやや単調な感じはしたかなぁ。怪人vs超人になってからは、アクションのほうが前面に出てしまい、かえって恐ろしさが薄れてしまった。
むしろ、怪人相手に刑事と犯罪者がやむを得ず共闘したり、さらに裏切り殺し合ったりと、もっとストーリーで緊迫感を高めてもよかったのでは?
αの存在や黒幕に関しても、謎が残りまくりではあったけど、もしかすると続編作る気満々の仕掛けかもしれないから、そこは気にしないことにします。
誰にでも勧められる作品じゃないけど、私はもう一回観たい。次に観るときは血飛沫に惑わされず、イイ男を堪能しようと思うので。