劇場公開日 2023年2月23日

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「人の命に値付けする仕事」ワース 命の値段 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人の命に値付けする仕事

2025年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

9.11同時多発テロ事件の被害者への補償基金プログラムの管理人に指名された弁護士の物語。

補償金算定のプロである彼は、遺族の境遇に胸を痛めながらも、補償基金プログラムが設立された趣旨に則り、管理人としての使命を果たすべくプロ意識を発揮して効率的にプログラムを構築します。
つまり、冒頭で明かされる舞台裏の通り補償基金プログラムとは、あまりに多い対象者に対して最小の補償金で済ませるために設立された、という目的に従って。

亡くなった時の年齢、年収、扶養家族の人数。
これらの要素から数式で導き出される「合理的」な金額。
WTCに入居していた金融機関に勤めるエリート達。
救助のさなかに命を落とした警察官と消防士。
清掃、デリバリーなどに従事していた低所得の移民たち…
彼らの命の値段はそれぞれに異なると。
人の命の値段は同じではないことに遺族たちは深く傷つき、プログラムに反発します。

亡くした人に言いたかったこと、言えなかったことへの後悔。
プログラムの期限である2年あまりの日々の中で否応なく明かされる故人の秘密。

故人と遺族たちの人となりを深く知るにつれて、弁護士は人間の命を数式で金銭価値に換算すること疑問を抱き、ついにある決断をします。
そしてスピード感溢れるクライマックスヘ。

どうすればよかったか!?
最近話題になった映画のタイトルのごとく、何が最善だっのかという思いは繰り返し、誰の胸にも去来するのではないでしょうか。

だからこそ、我々は常にその時々で最善だと思う選択をし続けることが大切だということを改めて考えさせられた映画でした。

さとうきび
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