「アメリカの被害者遺族は補償を受けられる、だが…」ワース 命の値段 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの被害者遺族は補償を受けられる、だが…
神楽座の試写会にて鑑賞。
肝心の、命の値段の算出方法についてはあまり出てこない。補償金を一律平等に分けるかについても、富裕層のロビイストと結託した政府の権限で既に却下されているところからのスタートである。公平さとは何か。
個人的には、さんざん非難されていた補償額算出の数式や、不完全な基金の補償対象外となった人々をどのように救済するかについての具体的な修正事項についてもっと描いてほしかった。もっとも上映後のトークイベントでも語られていたように、現場のがれき撤去作用にあたったのが主に不法移民だったため、そこで健康被害を負った人たちは国の補償の対象外となり、基金が終わっても9.11の補償をめぐる戦いはまだ続いているとのこと。原爆被害や水俣病における戦いを思い出す。
ともすれば英雄譚としてのみ語られがちな9.11被害者のエピソードだが、英雄的な面を持つ被害者の「英雄ではない」面についても描かれていたのは良かった。
一方で、アメリカの被害者遺族は補償を受けられているが、9.11以後のアフガン・イラクの戦争において亡くなった民間人の犠牲者については何の補償もうけられていないんだろうなと考える…。公平さとは何か。
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