「考察ありきのシナリオ。」ゲネプロ★7 抹茶さんの映画レビュー(感想・評価)
考察ありきのシナリオ。
初レビュー。
考察ありきの映画であるというのが第一印象。
作品内で全て回収せず委ねる形にすることに関しては個人的には嫌いではない。この点は後に言及する。
キャスト陣の演技は素晴らしかった。元々観劇を決めた理由のひとつに”推している俳優がいること“があったためそう感じるのかもしれないが、舞台を畑にしているだけあって殺陣は圧巻だった。時々聞き取れないのは自分の耳に原因があると思いたい。メディアを主にしている俳優が好きな方には馴染みがないかもしれないが、作品自体が舞台を取り上げているため、このキャスティングなのではないだろうか。
シナリオ、演出等に関しては始めにも書いたが、考察あってこその面白さだと感じた。
流れとしては概ね予想通りに進み、序盤は徐々に不穏な空気感を流しておいて、終盤で大きく物語が動く形となっている。ただ、最終結論が作品内で明かされなかったことのみが予想外な点だった。
この点に関しては深く考察させることを目的としているのだろうが、好き嫌いは分かれるのだろう。多くの方がレビューで言及されている、画面のハレーションに関しても、そもそもゲネプロ7そのものが蘇我によってあてがきされた劇の中であるという3層構造の考察によって納得したが、自分自身その考察にたどり着くまでに3回観劇が必要だった。
3回とも飽きることなく観ることはできたが、3回も観なければまともにシナリオを理解できないというのは、自分の理解能力が足りないのか、シナリオ自体が難しすぎるのか。なんにせよ説明不足という点に関しては否めない。シェイクスピアをもっと良く知っていれば楽しめた点があるのかもしれない。なおここに書いた考察はあくまで個人的見解であり、正解ではないということは念を押しておく。
再度記述するが、自分はキャストを知っている上での観劇であり、これはその目線からの感想である。思うところは多くあったが、忙しい俳優を集めてギチギチのスケジュールの中で作ったのだと思えば、よくできているし面白かった。しかし、考察をさせるのも良いが、あまりにも作品中での語りが少なく、どれだけこちら側で考察しても”正解”が出てこないことだけが残念である。
ヲタクとして言えば推しが尊かった。