「アニメの続編として◎。映画単体としては…?」青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメの続編として◎。映画単体としては…?
待ちに待った青ブタ映画第2弾。
久々に前売り券を買うなど、準備万端で映画館に行きました。
解説等にも「続編」とある通り、映画の第2弾といってもTVアニメシリーズ・映画第1弾からの連続した流れのストーリーです。
上映時間も73分とアニメの3話程度にうまく収まっており、感覚的にはあっと言う間でした。
作画も音楽も相変わらず良い感じ。
「不可思議のカルテ」はやっぱり素晴らしい曲ですし、主人公と各シリーズで登場したキャラクターとのその後の関係性も垣間見られるのも嬉しく、全体を通して原作・アニメファンの期待にはきっちり応えてくれていた気がします。
一方で映画単体としては、これを初見で見るには正直厳しいかな、という印象を抱きました。
各キャラの関係性が既に出来上がっている事に加え、物語上、過去の経緯が極めて重要になるためです。
このあたりは事前予習なしには理解できないはずで、間口という意味でやや狭いのは否めない気がします。
加えて、今回はストーリーも比較的シンプルなのが難しい。
本シリーズの魅力は、丁寧かつ芯のある描写と、「思春期症候群」を通した小説・アニメならではのダイナミックな展開だと思っていますが、本作では展開上そこまでの起伏はありません。
その分、キャラクターの内面の成長が柱になっており、それはそれで充分な見ごたえがあるのですが、その感動がどこまで広く伝わるか…。
私自身、青ブタはこれからも見続けたいシリーズですので、人を選びかねない、という意味で興行的な部分がどうしても心配になってしまう訳ですが、
冗長なあらすじ等を入れず、しっかり一連で表現することを選んだ製作側にはきっと十分な勝算があるはずと信じています。
私が観に行ったのは都心の映画館のレイトショーでしたが、周辺が「持込音立て飲食+スマホいじりさん」と、開始20分後にやってきた「ポップコーン回し食べ&コソコソ会話集団の皆さん」という鑑賞環境としてはイマイチな状況でしたので、改めて落ち着いた場を探して観に行きたいなと思いました。
(マナーは守らないとダメですね。自戒を込めて)
色々書きましたが、多くの方に楽しんでもらいたいシリーズですし、既に決まっている映画第3弾も楽しみにしています。