きみの色のレビュー・感想・評価
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変えられるもの。変えられないもの。
中国で開催された国際映画祭にて最優秀アニメーション作品賞を受賞した作品。
普段アニメ映画はあまり観ないのですが、たまたま空いた時間に丁度上映していたので観ることに。思いがけず素敵な作品に出会えてなんだか得した気分です😊
すごく優しいタッチで描かれたキャラクター達とその雰囲気に合った声。流れる音楽や景色、その全てが観客を優しく包みこんでくれます。キャラクター達の動きがとても可愛らしく微笑ましかったです。
ストーリーは、誰か死ぬとかゾンビが出て来るとか、重大な事件が起こるわけではありません。しかし、バンド結成の流れや、作曲のプロセス等にはワクワクしましたし、それぞれが打ち明けられない悩みを抱えていたりと、起伏のあるストーリーになっていたと思います。「色」を使った演出も良かったです。
変えられるもの。変えられないもの。変えるための行動。受け入れるための葛藤。誰しもが大小の差はあれど悩みを抱えて生きています。そんな悩める全ての人の背中をそっと押してくれるメッセージがたくさんありました。仕事で疲れ切ってた私は凄く癒されました😭
結構キリスト教が関わってくる辺り、観る人によっては刺さりにくい場面はあるかもしれません。それでも、爽やかで優しい気持ちに溢れた今作は、きっと観客の心を癒してくれるはずです。
印象派?
きみのギターを弾くシーンが良かった
全寮制のミッションスクールに通うトツ子は、幼いころから人が、色、として見える特異な能力を持っていた。そんなトツ子は、同じ学校に通っていて美しい色を放つ少女・きみ、と出会い、また、街の古書店で出会った少年・ルイと意気投合し、3人でバンドを組むことになった。古い教会を練習場所にし、3人は音楽によって心を通わせていき・・・という話。
ほんわかした絵のタッチで優しさに包まれる様なストーリーが良かった。きみがギターを弾いてるシーンが個人的には1番良かった。タイトルの、きみの色、はきみのことなのかな。
トツ子役の鈴川紗由の声はほのぼのとしてて聴き心地良かった。きみ役の髙石あかりはキャラに合ってた。
シスター日吉子役の新垣結衣は優しく包むような声で凄く魅力的だった。ガッキー、声優だけでもいける、と思う。
欲を言えば、きみがギターを弾いてる時の手の動きと音がズレてて気になった。難しいのかも知れないが、そこはなんとかタイミングを合わせて欲しかった、と思った。
明日へ一歩踏み出す元気をくれる映画です。
少しだけ、少しだけ足りなかったかも。
ふんわり
あらまほしきものは何ー山田尚子監督の「反骨心」により通底されたこととは
(まだ見ていない人に)
やりたいことがハッキリあって、そこに全力投球できたなら、結果がどうあれ、それは最高の青春だと思います。
けれど多くの人は、青春時代そこまで燃焼しきれず、自分がやりたいことをハッキリ捉えられず、なんだか思い通りになっていない状況に悶々として、誤魔化したりして、真っ直ぐ歩けずに立ち止まったりしていることが多かったのではないかと思います。
主人公たち三人は、まさにそんな状況です。
題材として扱っている色や音楽は、彼彼女らの心の内を表す一つの舞台装置だと思います。
音楽は何かを訴えたい人間にとっての自己表現でもあります。
彼彼女らの心が、出会いや周囲の大人たちを介して、どう変化し、開けていくのか。自分自身を見つめ、捉え、前に進むことができたのか。
それを、鮮やかな色彩と音で丹念に描いた映画でした。
ストーリーの起伏とか、凄い、圧倒的とかではなく、感性で受け止めるべき部分が多く、多くの場合、物凄く癒しになる映画だと思います。
見終わった後、鑑賞者の中に何かが浮かび上がることも多いのではないかとも思います。
映像美と音の良さ、楽曲の良さはとにかく素晴らしいので、IMAX推奨です。
舞台は長崎と五島。五島列島に一度行ってみたい人にもお勧めです。
また楽器を何かやっていた人にも、感じられる所があると思います。
(以降見た人向け、5行改行)
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この映画には物凄いハッキリした芯が通っていて、それは「嫉妬心や妬み、悪意や敵意を描かない」というものです。パンフレットでの監督コメントでは、「現実社会がストレスだらけなので、映画の中ではそれを描く必要がないのではないか、それが一つの反骨心」と。
主人公たちを見て思うのは、「ああ、こんな風に勇気を持って、やってみたい方向に向かい、最後には保護者にも向き合いしっかり説明することができていたら」
シスター日吉子を見て思うのは、「こんな風に、引き締めるところは引き締めつつ、若い子を支え、寄り添い、エンパワーメントするような指導者であれたなら」
保護者陣を見て思うのは、「言いたいこともあったろうに、それを飲み込んでこんなにも子供のやりたいことに乗っていける保護者であれたなら」
つまり、この映画は、「こんな風であれたなら」=あらまほしきもの を、それが成立するごくごく小さな世界で、色鮮やかに描いたものだと思います。
現実社会は監督の言う通り、嫉妬心や妬み、悪意や敵意、利害の衝突だらけです。ので歳を取れば取るほどシビアにしか世の中を見れなくなる。けれど、こんな風にポジティブにお互いあれたら、と言う気持ちもどこかにあったりします。
大人であればあるほどその価値は分かります。
よほど強くなければ、他人はおろか自分にもそうそうポジティブでいられないのですから。
だからこの映画は人を癒し、泣けるのだと思います。
また女性を描く上ではやはり女性監督は素晴らしく、トツ子やきみの人物造形には一定のリアリティがあったと思います。逆にルイ君は女性の願望全部乗せで男性からするとリアリティはないですが笑(高身長、医学部志望=高学歴、将来の高収入、イケメン、性格穏やか)。
またMr.Childrenの主題歌は映画のテーマや世界を捉えた素晴らしいものでした。
チャイムから始まり、一定のリズムをメトロノームあるいはマーチのように刻むドラムは否応なしに過ぎていく時間、これは同時に何かを選び、進まねばならない圧力を隠喩しているかのようです。その一方でメロディと歌詞は「迷いは去年の上着のポケットに置いてきた」けれど「心はずっと不安定でカーテンのように揺れる」と、リズムの一定感と真逆にグラグラしている様子が歌われて、最後はそれも受け入れて「好きな色を手にとって描いていい」「自由でいる方法はいくつもある」と、まだ覚束ない足取りでも自分を肯定していい、と言う所に向かっていく内容。
主人公3人はバンド活動を始めて、ついにライブまでできたけれど、まだ不安定。
特にきみは、自分の思いを言葉にしてハッキリ表現するのが苦手です。
大サビ前のシャウトは、映画のラストシーン、そんなきみの絶叫に重なります。
ああ、やっと、自分を解放できたんだな。
そういう強烈に浄化されるようなカタルシスがありました。
いや、映画っていいものですね、と水野晴雄さんのように映画館を後にしました。
音楽映画っていいよね🎶
主人公たちの苦悩や葛藤がまったく伝わってこない
淡い色彩の美しい絵柄と、悪人が一人も登場しない優しいストーリーには癒されるが、面白かったかと言えば、首を横に振らざるを得ない。
まず、タイトルにもなっている、主人公の「人の色が見える」という能力は、一体何だったのだろうか?
主人公のトツ子は、その能力のことを秘密にしているが、それで悩んでいるような様子はなく、その能力が、生活に役立ったり、支障をきたしたりすることもない。
トツ子だけでなく、バンド仲間の3人は、それぞれに秘密を抱えているのだが、3人が自分の秘密を打ち明ける場面では、他の2人の秘密は現実的なのに、トツ子の秘密だけは何ともファンタジックで、そのギャップに違和感を覚えてしまった。
トツ子の能力のお陰で、何か問題が解決したり、物語が大きく動くような展開もなく、どうしてわざわざこのような設定を導入したのか、最後までよく分からなかった。
同級生のきみちゃんにしても、学校をやめた理由がなかなか明らかにならなかったせいで、共感することも、感情移入することもできなかった。3人の打ち明け話の場で、それが、「良い子を演じることに嫌気が差したから」だということが分かるのだが、その割には、学校をやめた後も、そのことを祖母に内緒にして、良い子を演じ続けていたのはどうしてなのだろう?反抗しているのか、お婆ちゃん孝行なのかが、よく分からなかった。
先輩のルイくんに至っては、受験生なのにバンド活動をしていることを親に黙っていることを悩んでいたのだが、バンドか進学かを選ぶのならいざ知らず、どちらもあっさりと両立させて、めでたく医学部に合格してしまうところには、あまりの優等生ぶりに唖然としてしまった。
物語そのものも、フワフワとしている分、テンポが悪く、バンドを結成して、「さあこれから!」と思っていると、トツ子が修学旅行をサボってきみちゃんを寮に泊まらせたり、雪のために3人で離島に取り残されたりといったエピソードが続いて、一向に話が転がらない。ここで、印象に残るのは、シスターの日吉子先生の「善い人」ぶりばかりで、肝心の3人の結束の強まりのようなものは、今一つ感じることができなかった。
皆で作っていた曲も、何の苦労も困難もなくいつの間にかでき上がっているし、クライマックスのコンサートのシーンも、初心者のはずなのに演奏が上手すぎて、逆に心に響かなかった。
創作活動には、苦悩や努力や葛藤がつきものであり、そうした「産みの苦しみ」があってこそ、作品は輝くと思えるのである。
10代で観たかった。
よく言えば穏やか、わるく言えば抑揚がない
思っていたより感情の動きが微細な作品だった。
キャッチし切れた自信は正直無い。10代でこの作品に触れたかったな。
高校3年生、将来への不安や不満、希望よりそっちが先に来る状態がまずベースにあるんだろうな。そこは薄っすら雰囲気で感じるが終盤まで口に出さない。バンド活動も具体的な目標も無い。なので衝動的な楽しさはあるものの、がむしゃらさは無い。それが目的ではなかったんだろうな。
向かっていくものがハッキリしないまま進行するので観る側も迷いながら観てる人が多かったのでは無いだろうか。
正解を探しながら観ると納得行かない作品かも知れません。
自分は特に目標無く高校時代を過ごした人間だったので共感出来る点はありましたが、映画館でこれが観たかった!とは言えないかな。
人の色をイメージしてしまうという仕掛けは面白かったが、トツ子がそれを押し隠してる事もあり前面には出て来ない。自分の色がわからないのは、自分がわからないという事なんだろう。最後にそれが見えるのは良い仕掛けだったな。具体的ではない色で納めてる、ぼんやり色しかわからないのが良い。
とにかく淡い色合いのフィルターがかかった作品だった。
音楽的には、バンド物という頭で行ったので「あ、こっちか!」と思った。アンダーワールドのボーンスリッピーが流れたとこら辺からボンヤリこっちの方に行くのかと思ったら、音楽監督の牛尾さんって電気グルーヴと関わりが深かったりもしてるんやね。合点がいった。ちょっと相対性理論ぽさもあったのでそっちかと思ったらこっちだったw
これはと思いIMAX上映で観てきた。が、そこにこだわらなくてもよかったかな。auマンデイで観たから1700円で観れたけどね。TOHOシネマズなんばのスクリーン2、H列はちょうど良かった。字幕読むならもうちょい後ろかな。
3人の、それぞれが悩みを抱えた高校生がバンドを組む―言ってしま...
3人の、それぞれが悩みを抱えた高校生がバンドを組む―言ってしまえばそれだけのお話で、同じプロットでも岡田麿里脚本なら、もっと波乱万丈の三角関係と情痴に溢れた痛々しい青春ものに仕立て上げたことだろう。そういった派手なイベントを一切廃し、一貫して抑制的、老成しているといっていいようなトーンを支えているのは、主人公トツ子のキャラクターか。敬虔な信仰者でいながら(だからこそ?)強烈な自己と欲望と瞬発力の持ち主で、物語を下支えしてくれる。仮病で修学旅行はサボるは、寮に女連れ込んで同衾するわ、さらに意中の女に捧げたラヴソング(「私は惑星」「このままふたりで宇宙の果てまで」歌詞もスゴイ)をそいつ自身に学園祭で歌わせる!?「アーメン」といえば何でも許されると思ってるだろコイツ!不良を通り越してロックである。そういう内側で真っ赤に燃え盛る情念(ラストシーンで自分の「色」を知るシーンは「でしょうね…」という納得感しかない)を、敢えて台詞にせずに色彩と歌と踊りで表現するのも、アニメーションの醍醐味という感があって素晴らしい。
ふわっとした映画
尊く大人な映画
山田監督の作品はアニメ「けいおん」からファンで全作品観ています。久しぶりに音楽×青春ものでバンドアニメとしては良い具合に音楽と全体の作品感がマッチしてて、あっという間に終わりました。
バンド要素:
バンドとしての音楽性は近年よくあるロックスタイルとしては一線違う感じがしました。どこか80年代の未来派やデュランデュランが活躍していた時代感があって、そこが他のバンドアニメとは違うと感じました。
キャラ:
けいおん、たまこまーけっと、リズと青い鳥、聲の形、平家物語と山田監督が辿ってきた要素が全て詰め込まれており。特にキャラの輪郭が曖昧でふんわりとして木漏れ日のような光の演出は平家物語で描いたキャラ描写をさらに進化させた部分がとても洗練されていました。
物語:
多くは語らず、けれど難しくないほどに考察要素を残しながら物語において「考える」部分の空白の合間は映画としての重さは少なく、観やすくて終わったあとに誰かと語りたいと感じました。
まとめ:
久しぶりに綺麗な映画を観たと思いました。
ここまで細く描写された映画でありながら、最後の最後まで変なところで終わらせずに余興を少しずつつ残しながら静かに物語が終わっていく幕引きは素敵だな思いました。終わったあと直ぐに劇中歌をダウンロードしました。
マイナーコード
色彩が柔らかく気負わず見られた
人が色でみえるトツ子。その特性を色彩で表すアニメーションがキラキラしていて魅力的だった。
だからこそ作中でもっと多くの人の色が見たいとおもった。影があるからこそ光が眩しいように、トツ子の中できみちゃんはどれほど群を抜いて輝いていたのかが冒頭でくっきり理解したかったなと思った。
ストーリーについてはきみちゃんのバックグラウンドや行動になぜ?の展開に疑問が浮かぶことがありましたが、全てをコトバで語る必要はないとも思うし行間できちんと描かれているのを読み取れていないだけかもしれないので、機会があれば「聲の形」を見てみようと思った。
しろねこ堂までのネコの案内は実際には起こり難いですが、一緒に鑑賞した子どもはこっちを向いてかわいいねといわんばかりに微笑んでいました。くすっと笑える場面が散りばめられており、作品を楽しんでいるようでした。個人的には日向子先生の人物像が目新しく強くてしなやかでだいすきになりました。
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