きみの色のレビュー・感想・評価
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あらまほしきものは何ー山田尚子監督の「反骨心」により通底されたこととは
(まだ見ていない人に)
やりたいことがハッキリあって、そこに全力投球できたなら、結果がどうあれ、それは最高の青春だと思います。
けれど多くの人は、青春時代そこまで燃焼しきれず、自分がやりたいことをハッキリ捉えられず、なんだか思い通りになっていない状況に悶々として、誤魔化したりして、真っ直ぐ歩けずに立ち止まったりしていることが多かったのではないかと思います。
主人公たち三人は、まさにそんな状況です。
題材として扱っている色や音楽は、彼彼女らの心の内を表す一つの舞台装置だと思います。
音楽は何かを訴えたい人間にとっての自己表現でもあります。
彼彼女らの心が、出会いや周囲の大人たちを介して、どう変化し、開けていくのか。自分自身を見つめ、捉え、前に進むことができたのか。
それを、鮮やかな色彩と音で丹念に描いた映画でした。
ストーリーの起伏とか、凄い、圧倒的とかではなく、感性で受け止めるべき部分が多く、多くの場合、物凄く癒しになる映画だと思います。
見終わった後、鑑賞者の中に何かが浮かび上がることも多いのではないかとも思います。
映像美と音の良さ、楽曲の良さはとにかく素晴らしいので、IMAX推奨です。
舞台は長崎と五島。五島列島に一度行ってみたい人にもお勧めです。
また楽器を何かやっていた人にも、感じられる所があると思います。
(以降見た人向け、5行改行)
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この映画には物凄いハッキリした芯が通っていて、それは「嫉妬心や妬み、悪意や敵意を描かない」というものです。パンフレットでの監督コメントでは、「現実社会がストレスだらけなので、映画の中ではそれを描く必要がないのではないか、それが一つの反骨心」と。
主人公たちを見て思うのは、「ああ、こんな風に勇気を持って、やってみたい方向に向かい、最後には保護者にも向き合いしっかり説明することができていたら」
シスター日吉子を見て思うのは、「こんな風に、引き締めるところは引き締めつつ、若い子を支え、寄り添い、エンパワーメントするような指導者であれたなら」
保護者陣を見て思うのは、「言いたいこともあったろうに、それを飲み込んでこんなにも子供のやりたいことに乗っていける保護者であれたなら」
つまり、この映画は、「こんな風であれたなら」=あらまほしきもの を、それが成立するごくごく小さな世界で、色鮮やかに描いたものだと思います。
現実社会は監督の言う通り、嫉妬心や妬み、悪意や敵意、利害の衝突だらけです。ので歳を取れば取るほどシビアにしか世の中を見れなくなる。けれど、こんな風にポジティブにお互いあれたら、と言う気持ちもどこかにあったりします。
大人であればあるほどその価値は分かります。
よほど強くなければ、他人はおろか自分にもそうそうポジティブでいられないのですから。
だからこの映画は人を癒し、泣けるのだと思います。
また女性を描く上ではやはり女性監督は素晴らしく、トツ子やきみの人物造形には一定のリアリティがあったと思います。逆にルイ君は女性の願望全部乗せで男性からするとリアリティはないですが笑(高身長、医学部志望=高学歴、将来の高収入、イケメン、性格穏やか)。
またMr.Childrenの主題歌は映画のテーマや世界を捉えた素晴らしいものでした。
チャイムから始まり、一定のリズムをメトロノームあるいはマーチのように刻むドラムは否応なしに過ぎていく時間、これは同時に何かを選び、進まねばならない圧力を隠喩しているかのようです。その一方でメロディと歌詞は「迷いは去年の上着のポケットに置いてきた」けれど「心はずっと不安定でカーテンのように揺れる」と、リズムの一定感と真逆にグラグラしている様子が歌われて、最後はそれも受け入れて「好きな色を手にとって描いていい」「自由でいる方法はいくつもある」と、まだ覚束ない足取りでも自分を肯定していい、と言う所に向かっていく内容。
主人公3人はバンド活動を始めて、ついにライブまでできたけれど、まだ不安定。
特にきみは、自分の思いを言葉にしてハッキリ表現するのが苦手です。
大サビ前のシャウトは、映画のラストシーン、そんなきみの絶叫に重なります。
ああ、やっと、自分を解放できたんだな。
そういう強烈に浄化されるようなカタルシスがありました。
いや、映画っていいものですね、と水野晴雄さんのように映画館を後にしました。
消化不良。設定の曖昧さがファンタジーではドラマはなりたたない。
青春の甘酸っぱい系のアニメなのだけれど、ちょっと設定などにわかりにくいところがあった。
主人公の女の子の人が色に見えるということ、そのことがうまく消化できなかった。
色弱という障害のことを言っているのか、それとも何か特殊な能力なのか、ファンタジー的な表現なのか。そこが未消化のままドラマが進んでいき、何が伝えたいのかよく理解できない、もやもやのまま進んでいった。
18歳の女の子が高校を退学するのに、保護者の同意無しで可能なのだろうか。お堅いミッションスクールらしいのに。物語の革新部分で設定の少しファンタジーな部分が見えてくると、どうなんだろうと消化できないまま、物語の進行を見つめることになってしまう。そこが微妙な感じがした。
また、音楽が少し残念だったかな。素人の子達が作り出すバンドの音楽なのだから、感動するような演奏を期待するのは間違いだとは思うのだけれど、ラストのライブのところでそれほどのれる感じの楽曲とは思えなかった。歌詞も聞き取りにくかった。
そして、ミスチルのエンディングがかなり唐突な印象があった。正直よくわからない。楽曲に歌詞とかあってる?みたいな。
還暦前のジジイを対象にしていませんと言われれば、それまでなのだけれど、そういった点を上手に織り込んでもストーリーは立てられたようにも思うのだけれど。
学校は長崎なのだろうか。主人公の女の子が自宅に帰る際の手土産(たぶんカステラ)の紙袋のデザインに見覚えがあった。
音楽映画っていいよね🎶
内容が薄く共感できないが音楽と映像は、良かった。
普段は、アニメの映画は、見ないのだけど、長崎、佐世保市が舞台と言うことで、期待してIMAXで見てきた。世代や性別が違うからか、共感があまり出来なかった。しかし、学園祭のバンド披露時は、音楽と青春を実感出来た。特に、3曲目で生徒、シスター、お婆ちゃん、お母さんが音楽に合わせてダンスするシーンは、涙がこぼれた。ただ、残念なのは、音は大きくて良かったが、歌詞が全然聞き取れなかった。また、映像で佐世保市を実感したかったが、長崎市は、実感できたが、できなかった。エンドロールで佐世保市が見えた時、ここか~って思った。期待が大きかったため残念な、作品に写ってしまった。
単なる映画ファンではわからないような気がする
台風の中の封切り。初のオリジナル作品。山田監督を観てきたからこそ、期待感は嫌でも高まっていた。。
第一所感。正直、レビューに困る。大方の方と同様、きれいだし、ストーリーもいい。イズムはそれなりにある……けど内容の起伏が少なく、映画としてのエンターテイメント性に欠ける。物足りなさは否めない。
今日は4日目の朝。
日を追うごとに自分の誤解、先入観を感じ入る。
山田さんがしたいことは何か?
この視点が無かった。
不思議だが、本作を観て思い浮かぶのは、唯だった。けいおんの唯。もちろん、系統は違うのだけれど、日常の平穏。まだ何者でもない純粋と優しさ。山田さんの根底はいつもここにある。脚本で確かに起伏は付くけれど、最も大切なのはそこなのだ。
本作の公開前にはびっくりするほどの宣伝があった。毎時間流れてくるトレイラー、記事、インタビュー、番組まであった。それをほぼシャットアウトして臨んだのだけれど、もしかしたらあまりに単純な、それでいて難解な作品のために、事前に答えを教えてくれていたのではないか?とも思う。
普通に映画を観る感覚で行ったら、私と同じようになるのではないか?それは、他の方のレビューを読めば確認できる。
でも、そこは天邪鬼なのかもしれない。答えを教えそうで教えない。迷路みたいに色々投げ散らかしては、そして、どうせこんな感想ばっかになるんだろうな、でも、実はね……みたいに曇りガラスの向こうから楽しんでいる。
どなたかのコメントで、2回目が感動した、と有りました。私もそれを感じて来ようかと思います。
やっぱり、山田さんは凄いな…そう感じた4日目の朝でした。
主人公たちの苦悩や葛藤がまったく伝わってこない
淡い色彩の美しい絵柄と、悪人が一人も登場しない優しいストーリーには癒されるが、面白かったかと言えば、首を横に振らざるを得ない。
まず、タイトルにもなっている、主人公の「人の色が見える」という能力は、一体何だったのだろうか?
主人公のトツ子は、その能力のことを秘密にしているが、それで悩んでいるような様子はなく、その能力が、生活に役立ったり、支障をきたしたりすることもない。
トツ子だけでなく、バンド仲間の3人は、それぞれに秘密を抱えているのだが、3人が自分の秘密を打ち明ける場面では、他の2人の秘密は現実的なのに、トツ子の秘密だけは何ともファンタジックで、そのギャップに違和感を覚えてしまった。
トツ子の能力のお陰で、何か問題が解決したり、物語が大きく動くような展開もなく、どうしてわざわざこのような設定を導入したのか、最後までよく分からなかった。
同級生のきみちゃんにしても、学校をやめた理由がなかなか明らかにならなかったせいで、共感することも、感情移入することもできなかった。3人の打ち明け話の場で、それが、「良い子を演じることに嫌気が差したから」だということが分かるのだが、その割には、学校をやめた後も、そのことを祖母に内緒にして、良い子を演じ続けていたのはどうしてなのだろう?反抗しているのか、お婆ちゃん孝行なのかが、よく分からなかった。
先輩のルイくんに至っては、受験生なのにバンド活動をしていることを親に黙っていることを悩んでいたのだが、バンドか進学かを選ぶのならいざ知らず、どちらもあっさりと両立させて、めでたく医学部に合格してしまうところには、あまりの優等生ぶりに唖然としてしまった。
物語そのものも、フワフワとしている分、テンポが悪く、バンドを結成して、「さあこれから!」と思っていると、トツ子が修学旅行をサボってきみちゃんを寮に泊まらせたり、雪のために3人で離島に取り残されたりといったエピソードが続いて、一向に話が転がらない。ここで、印象に残るのは、シスターの日吉子先生の「善い人」ぶりばかりで、肝心の3人の結束の強まりのようなものは、今一つ感じることができなかった。
皆で作っていた曲も、何の苦労も困難もなくいつの間にかでき上がっているし、クライマックスのコンサートのシーンも、初心者のはずなのに演奏が上手すぎて、逆に心に響かなかった。
創作活動には、苦悩や努力や葛藤がつきものであり、そうした「産みの苦しみ」があってこそ、作品は輝くと思えるのである。
ガラス玉に光を透かしたかのようなきらきらした作品
人の大きな岐路の物語ではなく、不幸な人間が救われるわけではなく、強力なライバルが現れたり躓きに奮起する作品ではない。退屈だと思う人は多くいる作品かもしれません。
おそらく多く語る必要も深堀る必要もない、基本的に普通の人間たちばかりの物語なので、強い個性や所謂キャラクター性を愛でたい人にもあまり向いていないでしょう。
けれど人生をそれなりに送っていると悩みきっていたことが「話してみれば意外と」という機会は多いし、自分が硬く高い壁だと思っていた障害は実は薄いベニヤ板だったとみたいなことはよくあることだし、何よりキャラクター性の強い人間というのは実際のところあまりいない。この設定や世界観の抑揚の少なさは逆にリアリティを感じました。
この国のどこかにこんなにやわらかな愛ばかりに溢れた世界があったらいい。
きみちゃんの自主退職の理由とか、兄と家を出たとか、確かに気にかかるエピソードはありましたが、正直この映画の物語の中では語る必要はないと思ったので、個人的にはあまり気になりませんでした。
寧ろそういった終わってしまったことの深堀りはノイズになりそうだし、そもそもきみちゃんは自分のしたことの大きさも理解しているので反芻させる意味が無い。
きみちゃんがたくさんの優しさを受けて、ゆるやかにまた進み出せることに喜びながら鑑賞していました。
こういう友達が欲しかった、こういう大人にいて欲しかった、そういうものの疑似体験のようで、劇場から離れたくなくなるほどとても居心地が良かったです。
色がテーマというだけあって色彩と、何より光が美しく眩しい。
極彩色ともパステルカラーとも違う華やかさと穏やかさで、この色彩を浴びるだけでも行った価値があります。
劇中歌たちは彼らが白い画用紙に好きな色や画材で描いた絵で、しろねこ堂、そして「きみの色」は彼らの小さな展示室なのではないかと感じました。
なので「水金地火木土天アーメン」を主題歌にしなかったのは良い選択だったなと思います。様々な色を楽しむ作品なのに、水金〜だけを強調してしまうと、作品がトツ子ちゃんの色の絵ばかりになってしまうので。
彼らの音楽は彼らが自由に描いた絵なんだと教えてくれるミスチル、という構成が素晴らしく胸を打ちました。
自由に絵は描くのは実はとても難しくて、力がいる。彼らが自分の作品を舞台で披露できたということは彼らが小さな力と自由を手に入れた証明。
何よりかつて「大切なことを大切な人に伝えることができなかった」彼らが大きい声や音で好きなものを主張できたことはとてもすごいこと。人生を大きく動かすことはないけれど、人を少し良い方向に向かわせるような、半歩前に足を進ませるような経験なのだと思います。
子供が懸命に描いた作品が張り出されているを見て「この色がすてきだね」と言っていたい、そんな気持ちで心にちょこっと余白を作りながら観るととても楽しめる気がします。
ミスチルも言っています。堅苦しくならずに楽しんでいいんだって。多分これはそういう作品なのではないでしょうか。
(後日追記)
池袋グランドシネマサンシャインでIMAX、立川シネマシティで極音、川崎チネチッタでライブザウンドを観ました。
それぞれの音響設備の違いとこだわりに映画初心者は圧巻です、というのは余談。
回を重ねるごとに気付きがあり、とても驚いています。これは作品の中にというより、見る側がどれだけ考えながら視聴し、見終わったあと余韻に浸れるかなのではないかと思いました。かっこいいアクション大作のような見るだけで楽しい作品とは全く別の作品です。これはハンバーグとスルメくらい違います。
噛まないと味が薄いですが、噛めば噛むほど味が出る。受け身で見たい人にはあまりおすすめではないかも。
なのでストーリーを追うだけでは足りない二回目以降がとても良かった!
初見では作品の流れに任せていましたが、主にきみちゃん、そしてルイくんの救いの物語なんだなと思いました。
きみちゃんという女の子は純粋できれいなんだけれど押しに弱くて、良くない友達が出来たらきっと流されるしかなくなってしまうんだろうなという危うさを感じました。そこから自分で立ち上がる力もなく、拠り所がないからどんどん悪循環を重ねていってしまいそう。きっとあのままおばあちゃんから逃げていたらそう傾いていってしまって、事が起きてからようやく気付いてもらえるような気がしました。
学校に連れ込んだのもルール違反ではあっても、学校が子供を守る施設なのだから、学生という選択肢が少ない中でよく決断したなあと感心します。
きみちゃんが最悪の結末にならなったのはトツ子ちゃんの愛のおかげなんだよな……としみじみ思います。まあ、これはただの妄想で、きっとトツ子ちゃんは特に意識していないのでしょうが。
そんな子供間の優しさと、大人たちの子供に対する信頼が眩しい。
トツ子ちゃんとお母さんとの修学旅行の話が最も印象的で、お母さんはこの時叱らずに済ませたのは、トツ子ちゃんがきちんと状況を理解し、今後こんなことはしないという反省を自分の中で出来ているとわかっているのではないか、叱る必要がなくただ傷付けるだけになるという判断なのではないかと思いました。
これを優しさや愛と呼ばずに何と言うか、私には分かりません。
きみちゃんとおばあちゃんとの会話、ルイくんとお母さんの会話も根底には「自分の人生の決断に対する責任は自分できっちり持たねば」という心を感じ、これは三人が大人になる話なのだと思いました。
きみちゃんが学校を辞めたことを謝らず、秘密にしていたことを謝ったのが個人的にすごく良かったです。
きみちゃんにとって学校を辞めた判断は彼女が熟考した結果、それはリスクやこれからの大変なこともすべて自分のもので、他者に謝ることではないのだと思ったので。
そして何より、おばあちゃんがこれまでどれだけきみちゃんを大切にしていたかを言外に感じた気がします。
しかし普通年頃の男女が揃ってこっそりバンドをしていたら不純異性交友を怪しまれそうなものですが、そこで一切問題になっていないのは、彼らがこれまでそれだけ素行が良かったのか。
でもかっこつけたがりそうなバンドのライブで「昨日のごはんはあったかソーメン」をあんなに楽しそうに歌われてしまったら、毒気も抜かれてしまうかもしれません。
何度見ても新しくて眩しくて、人生でどれだけこんな作品に出会えるだろうと感じています。
苦労や不幸、ドラマチックな展開ばかりが物語ではないと教えてくれてありがとう。人の苦しみからくるものではなく、優しいからくる幸福を喜ばせてくれてありがとう。
これは私がずっと出会いたかった作品だったのではないでしょうか。ひとまず、わざわざアカウントを作って、こうして長いレビューを二度書くくらいには。
当初「あまり大衆受けはしなさそうだな」と思って4.5を付けましたが、とんでもない。世間が好きでなくても私が愛していればそれでよし。
私にとって大切な作品になるに違いないので5を付けます。私の世界に優しい光をありがとうございます。
説明不足はエモでゴリ押せてない
主人公トツ子が聖歌隊の次期トップとも言われるも急に学校を辞めたキミ、医者になるように親からプレッシャーを与えられてるルイの3人でバンドを組む話。主人公は他人のオーラが色で見える特性を持つが自身の色は見えない。でもバンドを組んで見えるようになったね♪で映画は終わるしバンドは速攻解散。
他のメンバーもあまり深掘りされずモヤモヤ感が残る。説明不足で何故学校辞めた未成年がいきなり古本屋経営?しているのか分からない。保護者も全く知らないって学校はなにしてんだ。最後のルイの別れ時の行動も他人が持ってたアイテム強奪して海に放棄したのもよく分からん。厳格シスターのキャラ付けと男子といるのバレたらまずいって言うシーンに意味はあったのだろうか。
けれど雰囲気エモ系が好きならきっと楽しめるし小さい子もカラフルな映像と音楽で喜びそう。主人公が作った相対性理論みたいな曲がすごく良かった。
10代で観たかった。
よく言えば穏やか、わるく言えば抑揚がない
思っていたより感情の動きが微細な作品だった。
キャッチし切れた自信は正直無い。10代でこの作品に触れたかったな。
高校3年生、将来への不安や不満、希望よりそっちが先に来る状態がまずベースにあるんだろうな。そこは薄っすら雰囲気で感じるが終盤まで口に出さない。バンド活動も具体的な目標も無い。なので衝動的な楽しさはあるものの、がむしゃらさは無い。それが目的ではなかったんだろうな。
向かっていくものがハッキリしないまま進行するので観る側も迷いながら観てる人が多かったのでは無いだろうか。
正解を探しながら観ると納得行かない作品かも知れません。
自分は特に目標無く高校時代を過ごした人間だったので共感出来る点はありましたが、映画館でこれが観たかった!とは言えないかな。
人の色をイメージしてしまうという仕掛けは面白かったが、トツ子がそれを押し隠してる事もあり前面には出て来ない。自分の色がわからないのは、自分がわからないという事なんだろう。最後にそれが見えるのは良い仕掛けだったな。具体的ではない色で納めてる、ぼんやり色しかわからないのが良い。
とにかく淡い色合いのフィルターがかかった作品だった。
音楽的には、バンド物という頭で行ったので「あ、こっちか!」と思った。アンダーワールドのボーンスリッピーが流れたとこら辺からボンヤリこっちの方に行くのかと思ったら、音楽監督の牛尾さんって電気グルーヴと関わりが深かったりもしてるんやね。合点がいった。ちょっと相対性理論ぽさもあったのでそっちかと思ったらこっちだったw
これはと思いIMAX上映で観てきた。が、そこにこだわらなくてもよかったかな。auマンデイで観たから1700円で観れたけどね。TOHOシネマズなんばのスクリーン2、H列はちょうど良かった。字幕読むならもうちょい後ろかな。
退学は自己的な卒業
山田尚子と吉田玲子に期待、大衆路線(俳優起用やミスチル主題歌)には不安を抱いての鑑賞。
キャストに関しては、多少の違和感や物足りなさはあれど雰囲気にはしっかり合ってた。
最後の「がんばれ〜!」の声の揺れは見事。
ただ、やはり脇の悠木碧と寿美菜子がトツ子ときみをやった方が質は高かったのは間違いない。
主題歌は、作風からも劇中バンドの音楽性からもミスチルじゃなかったかなぁ…
作画や色遣いなどはやはり抜群。
『けいおん!』から『聲の形』や『リズと青い鳥』、そして『平家物語』の経験を強く感じる。
生き生きと動くキャラクターや色彩が目に楽しい。
しかし突き抜けたものを感じないのは、登場人物の物語(背景)の薄さ故か。
きみの退学理由が語られないどころか、「兄と家を出た」なんて言葉だけがサラッと出る。
祖母への秘密もルイのそれと一緒にアッサリ解決。
トツ子に関してはバレエを辞めたとかも特に活かされないし、大きな悩みも目標もない。
寮でのお泊りや、罰としての奉仕活動を入れた意味も感じず、“反省文”が多少関わったくらいか。
冷静に見てしまうと、なんとなくバンドを組んで、発表して、上手くいきました、ってだけになってる。
タイトルにある“色”関連やきみの恋愛感情の匂わせ含め、散りばめられた要素が有機的に絡んでいなかった。
相対性理論のような曲調の『水金地火木土天アーメン』演奏シーンの雰囲気は最高。
モブシスターはキャラ崩壊レベルのノリ方してたが。
最後が“See you.”だったことを考えると、続くのかな?(シスター日吉子の掘り下げは見たい)
生涯見てきた映画のなかで一番つまらなく、内容が薄かった
映画の色彩は美しいと思いました(そこだけはよかったです)が、内容の薄さと絵と音響のバランスの均衡がとれていないと思いました。そんな壮大な内容じゃない。
まず、主人公は周囲の人たちのオーラに色がついて見える、能天気な少女。特に深刻に悩むようなことでもありません。映画で掘り下げるような、そして学校の教会に足しげく通い、神に悩みを告白する?ようなものでもない。
黒髪の主人公の友だち「きみ」は学校をやめてずっと塞ぎ込んでいます。何かしら深刻な背景があり、物語が進めばわかるのかと思いきや、それは全く語られず、不完全燃焼。
この作品は全体を通して宗教(キリスト)色が非常に強いです…懺悔や許しや神という言葉がゴロゴロと出てきます。挨拶も「ごきげんよう」。馴染ない思想なので、この要素がないほうがまだすっきりと、違和感なく見れたと思います。キリスト教のテーマと物語がなんだか噛み合ってないような気がしました。
それを踏まえて…
眼鏡の男の子「ルイ(日本人です)」が登場し、上記の登場人物たちとバンドを組むことになります。やわやかい物腰の、おとなしい青年。それなのに久しぶりに会う時は、はしゃいで二人にがっしりと抱きつきます(違和感満載)。二人のキリスト教学校は男性との交流が基本禁止されています。二人はバンメンに男性がいることを隠そうとしますが、結局ルイも彼女たちの学校でバンドメンバーとして登場します。それなのにすんなりと受け入れられる違和感。女の子やシスターたちの衝撃的なリアクションもなし。バンドの曲もかなりのロック調。一曲で終わってくれるかと思いきや三曲も。かなり間延びしてました。普段厳格なシスターたちが笑顔でばりばり踊り出すのも、違和感しかなかったです。
ルイは母子家庭でお母さんはお医者さんです。家業を継ぐことを期待されています。彼はずっと何かにかなり深刻に悩んでいたようですが…最後にお母さんに打ち明けたのは、「自分はバンドをやっている。大学にはちゃんと行くから許してくれ」ということでした。バンドと言ってもあれは部活レベルです。バンドマンを目指すから大学行きたくない、というのならある程度重大(お母さんにとっては特に)になるかもしれませんが、やっぱり悩みもちっぽけ。
内容が薄く退屈過ぎて、途中で何度も席を立ちかけましたが、最後に何かどんでん返しでもくるかと思い座り直しました。でも最後まで内容がない。
一番最後にルイが海の上で色んな色の長い紙(?)テープを手放してしまう場面がありました。あたかも美しい演出のように描かれていましたが…これ、普通に考えたら海洋汚染では?
はじめてのレビュー投稿ですが、時間がたまたま空いたので暇つぶしに見た映画で、時間とお金(しかもIMAXで鑑賞)をもっと有効的に使えばよかったと後悔をまだ引きずるような映画は今までなかったので投稿しました。早く帰ってTVでラピュタ最初から見たかった!
3人の、それぞれが悩みを抱えた高校生がバンドを組む―言ってしま...
3人の、それぞれが悩みを抱えた高校生がバンドを組む―言ってしまえばそれだけのお話で、同じプロットでも岡田麿里脚本なら、もっと波乱万丈の三角関係と情痴に溢れた痛々しい青春ものに仕立て上げたことだろう。そういった派手なイベントを一切廃し、一貫して抑制的、老成しているといっていいようなトーンを支えているのは、主人公トツ子のキャラクターか。敬虔な信仰者でいながら(だからこそ?)強烈な自己と欲望と瞬発力の持ち主で、物語を下支えしてくれる。仮病で修学旅行はサボるは、寮に女連れ込んで同衾するわ、さらに意中の女に捧げたラヴソング(「私は惑星」「このままふたりで宇宙の果てまで」歌詞もスゴイ)をそいつ自身に学園祭で歌わせる!?「アーメン」といえば何でも許されると思ってるだろコイツ!不良を通り越してロックである。そういう内側で真っ赤に燃え盛る情念(ラストシーンで自分の「色」を知るシーンは「でしょうね…」という納得感しかない)を、敢えて台詞にせずに色彩と歌と踊りで表現するのも、アニメーションの醍醐味という感があって素晴らしい。
ふわっとした映画
尊く大人な映画
山田監督の作品はアニメ「けいおん」からファンで全作品観ています。久しぶりに音楽×青春ものでバンドアニメとしては良い具合に音楽と全体の作品感がマッチしてて、あっという間に終わりました。
バンド要素:
バンドとしての音楽性は近年よくあるロックスタイルとしては一線違う感じがしました。どこか80年代の未来派やデュランデュランが活躍していた時代感があって、そこが他のバンドアニメとは違うと感じました。
キャラ:
けいおん、たまこまーけっと、リズと青い鳥、聲の形、平家物語と山田監督が辿ってきた要素が全て詰め込まれており。特にキャラの輪郭が曖昧でふんわりとして木漏れ日のような光の演出は平家物語で描いたキャラ描写をさらに進化させた部分がとても洗練されていました。
物語:
多くは語らず、けれど難しくないほどに考察要素を残しながら物語において「考える」部分の空白の合間は映画としての重さは少なく、観やすくて終わったあとに誰かと語りたいと感じました。
まとめ:
久しぶりに綺麗な映画を観たと思いました。
ここまで細く描写された映画でありながら、最後の最後まで変なところで終わらせずに余興を少しずつつ残しながら静かに物語が終わっていく幕引きは素敵だな思いました。終わったあと直ぐに劇中歌をダウンロードしました。
マイナーコード
悪くはないが・・・
人物像の背景が薄すぎて、そう良かったねで終ってしまっている。
とつ子自体がなぜ親元離れてまで寮生活しているのか?突然退学してしまったのか?医学部受験前までにあの楽器に出会ったのか?全然ないままハッピーエンドは映画として昇華しているのか?そんな感じで見ていた。すいきんちかもくどってんアーメンは楽しかったw
色彩が柔らかく気負わず見られた
人が色でみえるトツ子。その特性を色彩で表すアニメーションがキラキラしていて魅力的だった。
だからこそ作中でもっと多くの人の色が見たいとおもった。影があるからこそ光が眩しいように、トツ子の中できみちゃんはどれほど群を抜いて輝いていたのかが冒頭でくっきり理解したかったなと思った。
ストーリーについてはきみちゃんのバックグラウンドや行動になぜ?の展開に疑問が浮かぶことがありましたが、全てをコトバで語る必要はないとも思うし行間できちんと描かれているのを読み取れていないだけかもしれないので、機会があれば「聲の形」を見てみようと思った。
しろねこ堂までのネコの案内は実際には起こり難いですが、一緒に鑑賞した子どもはこっちを向いてかわいいねといわんばかりに微笑んでいました。くすっと笑える場面が散りばめられており、作品を楽しんでいるようでした。個人的には日向子先生の人物像が目新しく強くてしなやかでだいすきになりました。
男か女かで評価が分かれるかも
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