「期待外れ」きみの色 たまさんの映画レビュー(感想・評価)
期待外れ
本作が好きだと感じた人には、確実に気分を害する内容と思うので、読まないでください。
まず、他人の色が見えるという主人公の特性。
非SF作品でも、多少のフィクション要素が物語に彩りを与えるものだが、本作では主人公の特性が、物語の展開に全く活かされておらず、別にこの設定なくてよかったよね?としか思えなかった。
主人公は最後に、自分の色に気付くのだが、色とストーリーが説得的に結び付いていないので、だから何?という感想。
色の場面の演出も、センスを感じない。
きみの色という割に、色に物語上の必然性が与えられていないのは、いかがなものか。
次に、主要キャラの魅力のなさ。
上記のとおり、主人公の特性は全く展開に活かされないため、ただの不思議ちゃんである。
あからさまに冴えないよう描かれたルックスも相まって、現実世界なら陰湿なイジメの標的になっていてもおかしくないだろう。
きみちゃんは美少女で性格も良いようだが、これといったキャラづけもなく、ひたすら地味。
メガネ男子は見た目はイケメンだが、話し方が女々しい陰キャで、主人公やきみちゃんとの恋愛展開もない。
制作陣は何故わざわざ男子を配置したのだろう?
主人公は男子禁制の全寮制女子校で、異性との交流が固く禁じられている設定と思われたが、メガネ男子は当たり前のように主人公らと組んでバンド出演を果たし、そこに何の葛藤もない。
正直な話、知的で生白いイケメンとバンドを組んで青春を楽しみたかったという、オバ…中年女性の気味の悪い妄想を見せつけられたのではないか?
※中年のリビドーを反映した作品自体を否定するわけではないが、こちらは爽やかな(ほろ苦い)青春映画を期待して行ったのである、、
最後に、ストーリーの薄っぺらさも指摘しておく。
(観客の立場からは)よくわからないきっかけで、きみちゃんとメガネ男子は、家族と向き合うことを決意したようだが、そこの過程は殆どすっ飛ばされてしまった。
それぞれの家族にライブ観に来てくださいと懇願し、それに対する家族のアンサーも描かれることもなく、ライブの場面へ。
ライブ後は適当な後日譚が描かれ終了。
何なのこの茶番?
かといって音楽活動に向き合う描写もない。
主人公やきみちゃんは初心者だという割に、なんの葛藤もなく作品を完成させているし、メガネ男子も、親に隠れてという割に何の障害もない。
水金地火木土天アーメンは耳に残る良曲で、その評価としてギリギリ星0.5をつけます。
上映時間中、ひたすらつまらなく、苦痛でした。
本作が気になる方は、サブスク配信で十分です。
※追記
ある人が「この作品は、あえて嫌な部分を徹底的に排除して、女の子からみた綺麗な世界のみ描いている」とレビューされていたのを拝読し、腹落ちした。
なるほど、たしかに本作には主人公らに対して嫌なことを言う奴が全く出てこない。同級生も、教師も。
そういえば、父親も出てこない。
※見送りの場面で父親が出てくるとの指摘を受けたので、訂正します
主人公以外の二人は父親不在の家庭であることが明示されているが、両親がいるはずの主人公も、何故か、母親しか会話のシーンがなかった。周りの大人たちは、主人公らに暖かい声援を投げかけこそすれ、厳しく説教はしない。
そのような方針で作品を作ったようであることは、何となく理解できたが、なおさら、この作品を通して観客に何を伝えたいのか、私には理解できなかった。
※再追記
様々なレビューを読み漁ってみたが、結局のところ、本作はそれっぽい雰囲気とビジュアルを楽しむべきもので、(公式サイトの宣伝を事前に読んだ上で)青春映画として期待して観てしまったのが、そもそも間違いだったように思う。
酷いというより、私にとって期待外れでした。
とうや殿
両親二人が映ったシーンが一瞬あったかもしれませんが、会話等のシーンがないのだから、物語的な役割が与えられていないことは明らかですよね。
「父親が出てこない」との表現は不正確でしたので、その点は訂正しますが、それだけで「ちゃんと見ないで批判している」などと一方的に決めつけられるのは心外ですね。
最後の追記の部分についてなんですけど、主人公の父親が出てこない、母親との会話シーンしかない。と仰られてますがトツ子を新幹線の改札口まで送った時に父親出てきてましたよね??ちゃんと映画を見ていない上で批判するのは関係者各位にとても失礼ではありませんか?低評価をするにも映画をちゃんと見てからレビューしたらどうですか?