「ミッションスクールに通う女子高生×2と離島で暮らす男子高生の、将来への悩みを抱えながらもバンド活動に勤しむ姿をゆったりと描いたドラマです。良作。」きみの色 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
ミッションスクールに通う女子高生×2と離島で暮らす男子高生の、将来への悩みを抱えながらもバンド活動に勤しむ姿をゆったりと描いたドラマです。良作。
山田尚子監督作品なので観ておこう、と思ったのですが
予告編を観ても内容がいま一つ頭に浮かんできません。・_・;
題材は何? 音楽? 踊り? そして 色?
うん 気になります。
気になる作品はやはり観ておかなければ というわけで
鑑賞してきました。
鑑賞開始。
ミョションスクール。通う女子高生2人。
一人はトツ子。 3年生。髪がクリーム色(金?)の子。寮生活。
一人はきみ。 トツ子の同級生。祖母と二人暮らし。
そしてもう一人。男子高生ルイ。離島で医者の母と暮らしている。
トツ子たちの学校生活は、お祈りに始まりお祈りに終わる。
規律違反をやってしまったなら、反省文と奉仕活動。
みんな良家の子女なのだろう。揉め事など特に無さそうだ。
トツ子には変わった能力がある。人の色が見える。
人ひとり一人には色が付いていて、彼女にはそれが見えるのだ。
中でも、色が鮮やかではっきりと見える人がいる。
その中の一人が ” きみ ” だ。黒髪ロングの子。
体育でドッジボールの時間。トツ子ときみのチームが対戦中。
きみの色に見とれていたトツ子。
” あの子、綺麗な青 ”
きみが投げたボールに気がつかず、顔面キャッチ。 きゃー。
” 大丈夫? ” と駆け寄ってきたきみ。 冷汗たらたら。
” 大丈夫… ” と応え昏倒するトツ子。 鼻血だらだら。
こんなきっかけでも、きみとの接触が嬉しいトツ子。
翌日、きみの姿を校内で探すが見当たらない。
数日後、きみの友人を見かけてきみのことを尋ねると
” 彼女、学校を辞めてしまったの ”
胸に穴。ぽっかり。そんなトツ子が耳にした噂。
” きみを街の本屋で見かけた ”
もう一度会いたくて、「 街の本屋」を探し歩くトツ子。
と、トツ子の足元に白いネコがすり寄ってきた。
白ネコに導かれるように付いて行った路地の先。一軒の本屋。
「…しろねこ堂」
店に入ると、訊いたことのある曲。学校の聖歌隊の曲だった。
そして、カウンターのそのまた奥に、” きみ ”がいた。
この店で、もう一人の登場人物との出会い。
ルイはたまたま入った店できみを見かけて気になり
きみもまた、入ってきた客=ルイの事が気になって。
トツ子が ” きみとバンドを組んでる ” とウソを言ってしまい、
その言葉にルイが反応する。
” 入りたい ”
こうして、この出会いの「何となく」の流れから、この3名のバンド
が結成することになるのであった。・_・
◇
その後の活動。
練習場所に、離島の古い教会を使用し
次第に演奏機器も増えて(ルイが拾ってくる ・_・♫)
学校を辞めたことを祖母に言えないでいる ” きみ ”のため
修学旅行に行ったコトにしなければいけない " きみ " のため
仮病を使って自分も修学旅行に行かないことにして、
きみを寮の部屋に泊めてあげるトツ子。…規則違反。
(結局バレて二人揃って奉仕活動… *_*)
離島に着た日に天候が荒れて連絡船が欠航となってしまい
帰れなくなったトツ子ときみが廃教会に泊まれるようにと
ルイが母に内緒で毛布とかを調達し一緒に泊まったり
そのことを報告したシスターが、3人が島に一緒にいるのはバン
ドの練習のためだから「必要な合宿」との計らいをしてくれたり
(良いシスター♡ ヘタすると無断外泊+不純異性交遊…)
3人それぞれが曲を作って、それをパレンタインコンサートで演奏
することを目標に、ゆるゆると頑張る3人。
果たしてコンサート演奏は成功するのか。
◇
この作品、好きです。
鑑賞後にじわじわと感じる幸福感。 といいますか。
ふわふわ くるくる
そんな形容が頭に浮かんでくる水彩画のような世界の中で
登場人物たちが織りなす、穏やかなお話を楽しみましょう。
スローテンポで派手なイベントも起きない内容です。人によって
は、物足りないと感じる人も出そうですが、この作品、
その地味なところをゆったりと味わう作品かと思います。
(あ 地味って言っちゃった ・_・; けど好きです)
鑑賞して良かった作品です。
充分楽しめました。
◇あれこれ
■舞台はどこ?
関西弁が聞こえた気がするのですが、関西から修学旅行で
いろは坂(日光?)って行くものでしょうか? とすると
関東?東海? うーん。舞台はいったいどこなのでしょう。
離島との往来がある世界。瀬戸内とか長崎とかかも? とも
思ったのですが、船が欠航するくらいの雪は降るのでしょうか。
気になってます。うーん。
■トツ子の髪の色
母親と同じ、クリーム色(金色?)でした。
欧米人と日本人のハーフという設定なのか、地色があの色なのか。
ミッションスクールに通っていること、寮暮らしをしていること。
それも何か理由があってのことなのか。 …気になります。
※トツ子が愛されていないとかでは無い。それは分かります。
あ、それと「トツ子」って名の由来も気になります。
…もしや 凸子? うーん。・-・
■色がキレイな人達
音楽とかバレエとか、芸術的な世界を内面に秘めているヒトが
鮮やかな色に見える …ということなのでしょうか。 はて。
思えばストーリーの早い内、トツ子の目にはシスター日吉子にも
綺麗な色が見えていました。シスターも何か特別な一面がある人
なのかな? と気になっていたのですが、シスターもこの高校の卒
業生で、在学当時バンドを組んでいたエピソードにつながる伏線
になっていました。
トツ子たちの演奏を聴きながら、くるくると周りながら会場を後に
す姿が印象に残ってます。
◇最後に
トツ子がバンドを始めた時、クラスメートに「ガールズバンド」と
言っていた気がします。コンサートでのバンド演奏当日、メンバーの
一人が「男」と分かり、問題となる展開なのでは? と心配したのです
が、杞憂でした。 残念…。あ、いえ。 ・_・;;
別にルイ君の女装姿が見たかった訳では…。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。