「現在に還る物語。」スナイパー コードネーム:レイブン MARさんの映画レビュー(感想・評価)
現在に還る物語。
2014年、ドンバス地方に住む男がロシア兵に妻を殺害されたことから、スナイパーとなり復讐に燃える物語。
まずは本作、戦争真っ只中の2022年に制作されたことに驚き。
クリミア危機に始まり、キーウ方面侵攻に至るまでの中で、凄腕のスナイパーとして闘う迄になる男の姿を描いていく作品。
物語性もそうだが、映画作品としても哀しきドラマをわかりやすくみせているし、いきすぎず且つ地味すぎない戦闘シーンも多く、全体を通し見易い印象。
映画作品なので多少の脚色はあるだろうが、悲劇の数々は見ていてツラいものがありますね。
何なら現実は寧ろより酷い仕打ちもあるのでしょう。
そんな中、軍人として敵を倒していく主人公の姿は見応えもあるし、スナイパーだけでなく潜入作戦まで。クリミアのお返しか…。
印象深いのは、ブダペスト覚書に触れた番組を見つつお風呂に入っているシーン。
スマホか…。不思議な違和感。つまり、こんなに銃で撃ち合う戦争が、云十年前の過去の話ではなく、現代に起こっていることだと改めて痛感させられる。
そして彼、つまり親露派だったってことか。やりきれないね。
継続中の悲劇を描いているだけあって、少し気が沈むこともあるが、未体験ゾーンとしても完成度が高い印象。
1週で終わらせるのは勿体ない、ドラマも戦闘もかなり見応えのある作品だった。
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