劇場公開日 2023年2月17日

「【”思い出ボックス”今作は、一人の若き余命僅かな窓拭き清掃人の男が、幼き息子の為に懸命に彼を幸せにしてくれるであろう”家族”を探す、父としての善性溢れる姿を描いた作品である。】」いつかの君にもわかること NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”思い出ボックス”今作は、一人の若き余命僅かな窓拭き清掃人の男が、幼き息子の為に懸命に彼を幸せにしてくれるであろう”家族”を探す、父としての善性溢れる姿を描いた作品である。】

2023年6月18日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

ー 今作では、幼き息子マイケルを一人で育てるジョン(ジェームズ・ノートン)の病名は明らかにはされない。
  だが、今作を観ているとジョンが衰弱していく様が幾つかのシーンで描かれる。ー

■窓拭き清掃員として働く33歳のジョンは若くして不治の病を患い、残された余命はあとわずか。
 シングルファーザーとして幼きマイケルを育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。
 理想の家族を求め、何組も面会をするがマイケルは中々理想と思える家族には会えない。

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・ジョンの腕や首には刺青が有る。そして、彼が言うように4歳までは父親と暮らしていたが、その後は施設や里親の下で暮らしていた事が観る側に伝えられる。
ー ジョンがマイケルを自分のようにしたくない、という想いが伝わって来るのである。ー

・ジョンはマイケルを連れ、様々な里親候補と出会う。
 1.裕福な若夫婦
 2.何人かの養子を引き取って育てている夫婦
 3.若い時に妊娠し、中絶したが故に子供が出来なくなった独り身の女性(夫はいたが自分の子でないと嫌だと言って別れている。)
 4.赤ちゃんが来ると思っていたセレブなダブルインカム夫婦。(奥さんは子供を産む意思はない。)
ー 様々な里親候補と出会い、ジョンの迷いは深くなる。誰が、マイケルを幸せにしてくれるのか・・。-

・ジョンは窓拭きの際や何気ない時に、顔を顰め痛みに耐えている。
ー 身体の内部の病による痛み。そしてマイケルと永遠に別れなけばいけない心の痛み。ー

■切ないシーンが続くが、堪えながら観賞。
 ・公園で死んだ甲虫を突くマイケル。それを切なげに見つめるジョン。
 ・マイケルはストレートにジョンに問う。”ようしってなに?””いやだ!”
 ・ジョンの34歳の誕生日に作った型が崩れたケーキに、34本の赤い蝋燭を立てていくマイケルの姿。そして、35本目はジョンの指に握られている・・。
 ・ジョンが”思い出ボックス”に入れたモノ。
  それは”君が免許を取った日に・・”と書かれたマイケルが成長する過程で読んで貰う多くの赤い手紙や、ジョン達を置いて居なくなった露西亜人の母親の写真と手袋。
  マイケルの好きなトラック。そしてジョンの窓拭きモップ・・。

<そして、ジョンがマイケルを連れて行った新しい家族。それは、子供が出来なくなった独り身の女性だった。
 マイケルが呼び鈴を押し、出て来た女性はマイケルの顔を見て優しき笑顔を浮かべ言う。
 ”又、会えて嬉しいわ。マイケル。”
 ベストな選択であると思う。
 ジョンのマイケルを想う気持ちが伝わって来るシーンであり、マイケルも納得しているのだろうと思うシーンでもある。
 そしてラスト、マイケルがつぶらな瞳でジョンを見上げる所で物語は終わるのである。
 今作は、一人の若き余命僅かな男が、幼き息子の為に懸命に彼を幸せにしてくれるであろう”家族”を探す父としての善性溢れる姿を描いた作品である。>

■今作は、映画館で鑑賞する筈が物理的に厳しかった作品である。
 が、矢張り足を運ぶべきであった・・。

NOBU
レントさんのコメント
2023年6月18日

こんにちは。私も本作の評判は聞いていて、ギリギリ公開中に鑑賞できました。鑑賞中、泣くのをこらえるのに必死でしたが。
自分の書いたレビュー読み返すだけで涙が出そうです(笑)。

レント