「父が追い求めた理想的な家庭とは」いつかの君にもわかること レントさんの映画レビュー(感想・評価)
父が追い求めた理想的な家庭とは
余命いくばくもないジョンは幼い息子マイケルのために里親探しに奔走する。だが、彼の求める里親はなかなか見つからない。
最初は直感的にわかると思っていた。最愛の息子を託せる家庭は見ればわかると。しかし、それがわからない。自身も里親のもとで、また施設で育ち、暖かい家庭を知らずに育った彼には真の理想的な家庭像が描けないのだ。
きっと彼がマイケルを託せるのは彼自身がこんな家庭で育ちたかったと思える家庭なのだろう。両親が揃った暖かい家庭で育ったなら自分はこんな人生をたどらなかったはず。息子には同じような人生を歩ませたくない。しかしそれはどんな家庭なのか。部屋中オモチャにまみれた家庭なのか、高い教育を受けられる裕福な家庭なのか。
そして最後の最後に彼が選んだ里親はかつて自分の産んだ子を手放した単身女性だった。自分の子を自分の手で育てられなかったことを悔やみ続け、離婚してでも養子をひきとり自分の愛を注いで育てたいという女性。
ジョンはその女性に片親で子を育ててきた自分と同じものを感じ取ったのかもしれない。
本作は親の子への思い。そして死生観についてもテーマになっている。
ジョンは自分の死を息子マイケルに伝えるべきか悩む。幼い息子に死を受け入れさせるにはあまりにも酷なためそれを告げずに息子の前から静かに去ろうとも考えた。しかし死期が近くなるにつれ彼自身に変化が起きる。以前は顧客の老婆から聞いた亡くなった夫の話を聞いても実感がわかなかったが、それを次第に理解できるようになる。
彼の中で死への受け止め方が変わったのだ。けして死は恐ろしいものではなく悲しいものではないということを。それを悟ったからこそ彼は息子に自分の死を伝えられたのだろう。
ここにパパはいないけど天気の日には暖かい太陽の日差しの中にいてお前を温めてあげる。雨の日には雨粒の一粒一粒にいてお前を濡らしてあげる。ブドウを食べるときにはその味の中にいてお前の舌を満たしてあげる。
日々生きてゆく中で常にお前の感じる中に父はいるのだと教える。生きている限りパパを感じられるのだと。
前半からはやくも涙をこらえるのに必死で、終盤あたりは嗚咽が漏れるのを抑えるのに必死だった。まさに声を上げずに号泣した。ここ十年で一番泣かされた作品だった。
おはようございます😃そう言えば
最近アプリがしょっちゅうログアウトの状態になってしまい、今も。価格コムですが、映画コムに引継ぎにしなさい、でしたら引継ぎならずアドレス登録済だからログインだけになり、訳わからないです。違うアカウントで以前のが見られない、なんて⁉️登録しなくても見れるのに。レビュー削除はたくさんおられるようです。
今晩は。
コメント有難うございます。
今作を劇場で観れなかったのは拙レビューで記しましたが、本日自室で鑑賞していたら、序盤から涙腺が崩壊してしまい、大変な事になってしまいました。劇場で観ていたら、穂の間違いなく「七番房の奇跡」もしくは「湯を沸かすほどの熱い愛」レベルの涙流れる映画でしたね。ウベルト・パゾリーニ監督のセンスには前作同様に参りましたね。では。(あ、元祖、パゾリーニ監督は別の意味で参ります・・。)
レントさんのレビューを読んで、この映画を見た時の感情を思い出してしまいました。
「ここにパパはいないけど・・・」のくだりは、特にダメでした・・・。
この後のマイケルくんが幸せに生きていくことを祈ります。
さすが、「おみおくりの作法」の監督さんだなと思いました。