ディヴォーション マイ・ベスト・ウィングマンのレビュー・感想・評価
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”忘れられた戦争”と、忘れてはいけない英雄。 グレン・パウエル、またまたテイクオフ✈️
1950年、朝鮮戦争に従軍した2人の飛行士の友情と使命を描く戦記ドラマ。
Netflixオリジナル作品。
考えてみると、ハリウッド映画で朝鮮戦争が描かれた作品って初めて観たかも。
”忘れられた戦争”と言われていたが、アメリカだってこの戦いで3万人以上の兵士が戦死、10万人以上の兵士が負傷したり行方不明になっている。
これだけ多くの血が流れたにも拘らず、結局は忘れられてしまうんだから、つくづく戦争って無意味で意味不明な行為だ🌀
主人公は当時は非常に珍しかった黒人飛行士ジェシー・ブラウンと、彼のウィングマン(僚機)を務めるトム・ハドナー。
この2人の友情が本作のキモとなっている。
トムを演じるのは『トップガン マーヴェリック』(2022)のハングマンでお馴染みのグレン・パウエル。
同じ年に2度もパイロットを演じるという、筋金入りのパイロット役者。
本作では製作総指揮も務めているパウエル。『トップガン マーヴェリック』でパイロットを演じることに手ごたえを感じたのだろうか?
いずれにせよ、『トップガン』では自信家の鼻持ちならないパイロットだったが、今回は紳士的で冷静なパイロットを演じている。同じパイロットかつあの特徴的なにやけスマイルはそのままなのに、全く違う人物に見えるのだから、グレン・パウエルはやっぱり素晴らしい俳優さんなのです。
作品の性格も『トップガン』とは真逆。
白人優位の社会における黒人差別の厳しさを描いた社会派映画であり、主人公たちの内面描写に重きを置いた文芸的な作品である。
丁寧な作りの作品ではあるのだが、丁寧すぎるが故に勢いに欠けるという印象を受ける。
また、ジェシーの死亡フラグをこれでもかというほど描いているので、彼の死という悲劇的な展開を「まぁそうなるよね…」という若干引いた目で見てしまった。
予算の少なさ故か、CGのクオリティの低さも気になるところ。
ところどころ、00年代の映画っぽいチープな映像が挟み込まれるのでちょい冷めちゃう。撮影に使われた飛行機なんかは本物なんだろうし、飛行中のコックピットの映像もリアリティがあって良かったから、余計にCGの弱さが目立ってしまっていた。
派手さのない地味な作風な上、ランタイムも約140分と長めなので、正直退屈してしまった。
とはいえ、朝鮮戦争について考えるきっかけになったし、ジェシー・ブラウンという英雄がいたことを知れたので観た甲斐はあった😊
未だに北朝鮮の森の中で眠り続けるジェシー。
彼が祖国に帰れる日が来ることを願う。
※原題は『Devotion』(献身)。
出ました日本お得意のクソダサ横文字副題。これいい加減滅んでくれんかね。なんやねん『マイ・ベスト・ウィングマン』って。一つも意味わからん。
こんな意味わからん副題をつけるより、『ディヴォーション』という日本人に馴染みのない単語を上手く訳すことに力を注げってーの💢
戦争の爪痕…
英雄が生まれた、どちらが勝った、何人が死んだ…教科書はそれで終わりだが、戦った者は忘れ去られてしまう。戦争は何も残さない。この映画見てつくづく思う。ジェシーは戦い続けた。当時の黒人パイロットは相当珍しかったのだろう、心無い差別は死も覚悟したのだろうし、だからこそ白人以上に努力し、戦い抜いてきた。だからこそ、相棒には同じ目線を本気で求めた。トムも真摯にそれに応えた。まさに命懸けの友情物語。生きててほしかった。
人種差別と闘いながら、王道と大空へ飛び、友情を謳う
昔も『トップガン』の大ヒットを受けて、似たような航空アクション映画が製作。『アイアン・イーグル』とか、日本では劣化パクりの『BEST GUY』とか。
今回も。アメリカではひっそりと公開され、日本ではNetflix配信のみ。どーせそんなもんでしょ、と思うなかれ。
多少の便乗はあったかもしれないが、実話を基にした興奮と感動の“別機”。
1950年代。米ロードアイランド州ノースキングスタウンにあるクォンセット海軍航空基地。第32戦闘飛行隊=“VF‐32”に転属となったトム・ハドナー中尉。そこで、唯一の黒人パイロット、ジェシー・ブラウン少尉と出会う…。
穏やかな性格のトムに対し、ジェシーの態度は素っ気ない。
他のクルーからも明らかに浮いている。他のクルーも接する事はほとんどない。
が、パイロットの腕は確かなもの。切磋琢磨する内、互いの実力を認めるようになっていく。ジェシーの家族とも交流を持つようにもなり、友情を育んでいく。
死と隣り合わせの訓練を繰り返しながら、遂にその時が来た。朝鮮戦争にアメリカが介入。ジェシーとトムも愛機に乗り込み、敵地に飛ぶのだが…。
実話とは言え(多少脚色はされているだろうが)、王道。
出会い→競い合い→絆を深め合い→出撃…。
クライマックスにはドッグファイトや戦闘シーンが用意されているが、基本人間ドラマベース。それもかなりじっくりタイプ。
演出も脚本もテンポもスローペース故、ちと間延び感は否めない。『トップガン マーヴェリック』のような熱く、エキサイティングな作風を期待すると、瞼が重く…。
それでも、CGを駆使したドッグファイトやクライマックスの緊迫感ある戦闘シーンは見応えあり。配信なのが勿体ない。
映像や音楽は一級品。
主人公二人の絆はドラマチックに感動を呼ぶ。
『トップガン マーヴェリック』からの興味本位でもいいから、見て損はナシ。
でもちゃんと、『トップガン マーヴェリック』とは違う特色も打ち出している。言わずもがな、
『42 世界を変えた男』が黒人初のメジャーリーガーであったように、本作は黒人初の海軍パイロット。必然的に人種差別問題も絡む…。
軍内では人種差別はNGとなっているが、やはりそういう空気は漂う。ジェシーと他のクルーたち、距離を置いているのもそう。ジェシーが一匹狼なのもそう。
訪問地でも、黒人のパイロット!?…と白い目で見られる。(カンヌでエリザベス・テイラーと出会ったエピソードは本当なのかな…?)
自宅周辺では、明らかな嫌がらせ。
それに対し、ジェシーは…。堪え忍ぶ。そういう時代だったのだ。
印象的なシーン。ジェシーが鏡に向かって差別的な発言を繰り返す。これまで自分に向けられた差別発言をメモし、こうやって自分自身にぶつけ、抗う内面的の力を得る。
だが、何も周囲は“敵”ばかりではない。空母内で働く黒人労働者たち。ジェシーが飛ぶ姿に憧れと誇りを持っていた。いつしかジェシーは彼らの“希望”となっていた。
そして、トムの存在。
トムは人種差別者ではないが、意図せずそんな言動をしてしまった事もあるにはある。ジェシーの奥さんに自宅に招かれるも、断る。自分でも気付かず、壁を作っていたのかもしれない。
しかし、ひと度足を踏み入れれば…。快く迎えてくれる。その一歩を踏み出せるか、否か。
欠けがえのないパートナー、友人になっていく。
苦境の黒人に白人が救いの手を差し伸べる。この『グリーンブック』的な設定は、一部では本当に人種問題について描いていないと度々批判浴びるが、ベタでもご都合主義でも私はこういう作品にどうしても心奪われるのだ。
実話が基。知らなかったとは言え、まさかあんなラストになるとは…。
王道ストーリーだから、安直ラストになるとてっきり思い込んでいた。
『オンリー・ザ・ブレイブ』のようなやるせなさと、感動…。
EDの後書き。見捨てない、諦めない。続く交流。それは子~孫世代へ受け継がれている。今も。
ジョナサン・メジャースの熱演。今年は『クリードⅢ』やMCUの新たなラスボスとして初お目見えする『アントマン&ワスプ:クアントマニア』など期待作続々。本作でもその実力はたっぷりと。
『トップガン マーヴェリック』に続き、パイロット役のグレン・パウエル。これは偶然? 狙った?…はさておき、あちらとはまた違う魅力を発揮。
二人が男の絆を体現。
『トップガン マーヴェリック』という超ビッグメジャー機との比較は避けられないが、こちらだってなかなか。
共々、王道と大空へ、人は高揚をさせられ続ける。
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